■八ヶ岳/鳴岩川河原木場沢[アイスクライミング]

2003.12.20‐.21
治田敬人、鮎島仁助朗

ショーユダル大滝を登る治田
 大月を過ぎるころから雪がちらほら降り始め、諏訪南I.C. 前のコンビニでは2cmほど積もっている。強い冬型になっているという事前情報はあったが、さすがにこの降雪は予想外。道を間違えながらも、何とか三井の森の別荘地に入り、そこからくねくねと別荘地内の道をたどると唐沢鉱泉に行く道と桜台に行く道の分岐に車を置いてテントで就寝。
 朝、6時半に起床するといつのまにか雪がさらに5cm積もっている。桜台への林道はそれなりに整備されていて、チェーンをつけた4WDならば河原木場沢の出合までは絶対に行けるだろう。私たちは車の性能と帰りのことを考え、分岐に車を置き桜台に行く林道をテクテク歩く。
 予想より早く出合に着くと、水量がかなりあって、雪の多さととダブルで我々を暗い気持ちにさせる。さらに林道を300mほど上がると、「醤油樽まで此れより800米」と書いてある道標があり、そこから沢をつめる。この道はしっかりビニールテープがついているので間違うことはないが脛までのラッセルである。
 しばらくし、F1。左壁に木製の梯子がかかっているが、我々はアイスをしにきたので、ここで準備をする。
 F1(5m)はノーザイルで簡単に登る。上で夏道とであったので、それを辿ると下にF2が見えるので、もったいないということで強引に下に下りてF2(7m)を登る。しかし、氷結状態が悪く、鮎島が水ポチャ。新しいヤッケで良かった〜。
 F3、F4を簡単に登り、肝心のショウユダル。確かに迫力あるゴルジュの大滝で40m 近くありそうだ。段差があるのでそれほど難しくなさそうだ。治田さんにリードしてもらう。7本ほどスクリューで支点を取り、落ち口に抜ける。ザイルスケール45m。ルートどりは、最初は中のカンテ状から氷結のよさそうな80度くらいのところを選びながら行き、中間部で左寄りに登ると、傾斜がなくなる。そこからずぼずぼ氷を踏みぬきながら(!)、上へ抜けるというもの。グレードはWくらい。上の支点は木があり、しっかりしているといえるだろう。かなり、楽しめる滝だ。この大滝だけが目当てなら、出合まで車では入り、そこから1時間以内で取付けるだろう。こんないい場所であるのに、ぜんぜん人が来ないなんてもったいない!!
 この沢自体、あまり訪れる方はいないようだし、上部まで抜ける人はさらにいないとのことだが、我々は「冬季溯行」ということで稜線まで抜けるのが目的。大滝の上も脛までのラッセルだが、うぉりゃ〜と根性入れて登ると、本流には何もなかった...。
 「日本の渓谷98/99」の溯行図で出ている鋭いルンゼが左岸から入ると2段10mの滝。簡単に登って、さらにつめていくと、左岸から面白そうな氷瀑を発見。時間もあるし、ここを登ろうということになる。長さは15mほどだが、段差が多く取付きやすそうに思えたので、アイス初リードをさせてもらうことにした。初めてということで、3mおきにスクリューをとり、安全を期す。途中までは真中を登り、中段から左に逃げってしまったので、グレードはV+くらいになるのだろう。治田さんも上った後、懸垂下降して、再び本流へ。シンシンと振り続く雪の中、ガツガツっとラッセルをして、結構ビバーク適地はあったが、その中でも良さそうなところにツエルトを張る。外はなおも雪が降り続いていた。

 ペラペラのインナーシュラフだけだったが、結構眠れた。しかし、昨晩降り積もった雪は10cmを楽に越え、ラッセルの厳しさを予想できたので予定よりも早く4時半に起床。これから先はロープを使うところはないだろうという予想で、ハーネス・メット類など登攀具はザックに収めてさぁラッセル開始。
 膝以上、急傾斜のところは胸まであるラッセル。ワカンが欲しいよぉ〜と思いつつもないのだから仕方がない。右岸が崩壊壁のある二俣を過ぎ、本流が左に曲がるころ、治田さんと交代。そこから先、急傾斜となる。かな〜り雪崩そうな斜面だ。さらに悪いことに思いっきりピーカンで気温上昇が激しい。アイゼンに履き替え登っていくが、あまりいい気分がしない。せっせと登り、ようやく稜線へ。
 西天狗岳が右手に見ることができるが、結構遠そうなので割愛。天狗岳西尾根を夏道沿いに降りる。トレースはなかったが、途中唐沢鉱泉から上ってきた4人とすれ違い、トレースができる。唐沢鉱泉と枯尾の峰の分岐で枯尾の峰方面(まっすぐ)行くと、やっぱり歩きにくい。枯尾の峰につくとそのまま稜線を下りるのをあきらめ、唐沢鉱泉ちかくの車道へと下りた。
 ここから延々1時間半ほど車を置いた地点まで歩く予定だったが、なんと運の良いことに唐沢鉱泉のバスが我々を拾ってくれて、車のところまで送ってくれた。これも治田さんの人徳がなせる業!!核心だった、車のエンジンも我々の心配をよそにあっけなくかかり、果たして山行は終了。

鮎島 記

【行動概要】
12月20日(土)雪
 林道〜出合〜支流〜途中幕営
12月21日(日)快晴
 幕営地〜稜線〜車道

山登魂ホームへ