針ノ木雪渓 スキー


ようやくフリートレックで歩いたり滑ったり何とかなってきたので、今週は 自分でどこか行ってみようと思った。
でも沢と違い地図を見ても、どこが面白そうで雪が残っていて私にでも行けるのか 見当がつかない。なので、雪も約束されている扇沢にした。

新宿発のムーンライト信州、乗っているのはスキーヤーか登山者で空いている。翌朝 5時過ぎに信濃大町に着き、客を集めていたタクシーに相乗りで扇沢へ。 扇沢まできたら青空が広がった。運がいい。前日・前々日に降雪があったところで、 山の雪も真新しくてとてもきれい。(といっても上から眺めると、ある標高から下 は黄砂色をしていた)

すでに扇沢の駐車場は車で一杯、次々針の木雪渓へスキーを担いだ人たちが歩いていく。 なんだ、なんだ。この人の多さは。
とりあえず、爺ヶ岳へ行ってみようと誰もいない扇沢沿いの林道へ下った。 扇沢から爺ヶ岳・鹿島槍、そして昨秋遡行した谷の上部を眺めて滑ってみようと思ったのだけど、 少し林道を進むと谷が黒く割れていそうに見えたため、すごすご引き返し 人波と共に針の木雪渓へ向かった。

大雪渓はさすがに大きな斜面。ボーダーも山スキーヤーも、20人近い大パーティーも えっちらこっちら登る。だんだん雪質は新雪の気持ちよいものになる。しかし登りは しんどい。なんとか山頂に到着。へばった分だけうれしい。
立山側もよく見えて、御前谷などびっしり雪がついている様子。いつか行こう。足元の針の木沢はどうかとのぞくとハイマツが頭を出している。ふーん、南面だしも う遅いか。
さてメインの滑降は、というとまぁまぁだった。亀のような足取りで山頂についた頃には、美しかった斜面はゲレンデ並に シュプールだらけで荒れてしまっていた。人より早く登れたらよかったのだけど、とても無理だし仕方がない。 また、ざらめ雪+昨日おとついの新雪という条件だったので、人による小さな表層 なだれが頻発、特に山頂直下を滑降しようとした人たちは巻き込まれかけていた。

人のいない上部の灌木帯でビバークするつもりでいたが、翌日滑るつもりの谷も、 既にシュプールとデブリで埋まっている。昼寝をしながら、見れば見るほど意欲がなくなっていき、 表層なだれの多さも気になった。 ということで、荷物を詰めなおし脱いだ靴を履きなおし、 下まで滑ることにした。滑っている最中も、右岸の上部斜面から音もなく表層なだれがおき、止まるのを待っ て通過したりした。

その日は、再度爺ケ岳にでも向かってみようという心積もりで林道脇で焚火をして適当にビバークしたが、夜中に降った雨で、 装備も濡らし戦意喪失。何をやっているんだ。温泉に変更。朝一のバスで、他のスキーヤーから昨夜大雪渓の上部全体が雪崩れたと聞いた。 すごい音がしたらしい。下でテントを張っていた人たちも皆下山してきたとか。そうか、昨日上で泊っていたら危なかった。 降りてきてよかったんだ、うん、うん。

針の木雪渓は、スケール大きくて、雪もたっぷり、あとは人の少ない平日なら いいところだと思った。