■北ア/唐沢岳 幕岩左方ルンゼ

2004.4.1
鮎島仁助郎、和田岳史(千葉大学山岳部)

1P目をリードする和田
 4時半に七倉ダム下のゲートを出発。前日、ケチって勝沼から下道で来たので睡眠時間は2時間半。さすがに眠い。荒川出合で駆使したキックボードを今回は2人で1台しかないので交互に使い、高瀬ダムまで1時間。キックボードを高瀬ダムの樹林にデポして、もうすでに明るくなった唐沢を辿る。
 唐沢はもうすでに夏の雪渓状態のように固く引き締まっており、足跡も見えるのであまり苦労をせずツボ足でガンガン行くが、時折現れる水流の渡渉で何度かはまったり、また梯子がかかっている堰堤下は厳しいへつり(そこだけ雪がないので…)を強いられたりする。まぁそれも何とかしのぎ、金時の滝も左のルンゼの踏み跡を雪訓のなみのキックステップで忠実に辿り、高瀬ダムから1時間半でB沢出合。B沢出合にかかるワシの滝も右のトレースを忠実に辿り、傾斜の強くなった雪渓を辿る。っと、奥に氷柱が…。まさかあれが左方ルンゼ?ハングしてるし登れるはずないよ〜と思ってそれに近づいたら、実際はその一本前のルンゼが正真正銘の左方ルンゼだった。ここまで、高瀬ダムから2時間。
 出合でアイゼンを履いて、傾斜の緩いF1をノーザイルで越えF2基部右でアンザイレン。ここは、すでに前に来た人が整備してくれたのかものすごくいい具合にバケツが掘ってある。感謝感謝!夏にムスタン王国に行く和田の壮行会ということでF2のリードを任せる。途中1回テンションをかけてしまったが、それほど時間もかけずさくっと登ってしまう。フォローだしカッコ良く決めてやろうと思い取りつくが、完全に垂直。凹角を使ってうま〜く登ろうと思うが、もうアイスをすることもないだろうと思ってデュアルに代えてしまったアイゼンの歯が全然刺さらず、結局テンションかけまくりで登ってしまった。要はヘッポコなのだ。あぁ情けない。F3は山田がリード。出だしは70度くらいあるが難しくはない。一杯いっぱいロープを伸ばすと、いつのまにかF4のナメ滝は越えていた(完全に雪で埋もれていた)。これまでダブルロープでやっていたが、必要なしと判断しロープを一本しまう。3ピッチ目のF5も簡単で実質ノーロープで登り、F6へ。F6も出だしは70度くらいの傾斜があるものの総じて簡単。セカンドのビレイをしていると、セカンドの和田が墜落。こんなところでまさか落ちるとは思わず油断しており、スクリュー一本でビレイ点を作りしかもビレイは肩がらみ。制動確保で支点に負担をかけなかったのが良かったのか、それとも運がよかっただけなのかピンは抜けなかった。もしこれが抜けていたら、御陀仏だっただろう。油断大敵だと心を引き締め、F7を実質ノ―ザイルで越えるともうその上には滝らしきものは見えなかった。
 B沢のコルに降りるのが一般的らしいが、面倒なので同ルート下降にする。幸い木もたくさんあるし、おいしいところにハーケンがあったりして、1時間とかからず出合に到着。そこからさくっと高瀬ダムに降りると、お楽しみのキックボードでの下り。荒川出合のように、ひたすら下りという訳でなく、平坦なところが多いので、それなりに疲れるが、それでもやはり速い。高瀬ダムより30分でゲートに着いてしまった。
鮎島 筆

【記録】
4月1日(木)快晴
 七倉ダム下ゲート0430、高瀬ダム0530、左方ルンゼ取付0730、終了点1030、取付1130、ゲート1330