■南ア/石空川南沢

2004.7.17‐.19
治田敬人、佐藤益弘、高橋弘、山田秀明
 この海の日3連休は下田川内の杉川〜赤倉沢に行く予定であったけれども、下田川内は新潟集中豪雨の影響がもろに出ている地域であってそんな中を沢登りすると言うのは大変不謹慎なことであり、また行ったとしてもかなり荒れていて岩魚もいるわけがないし、また天候不順もしばらく続きそうだということで、急遽水曜日になって治田さんの提案で石空川南沢に転進することにした。こういう機会で行くことになるとは予想だにしていなかったが、私としてもいずれ行きたい沢の1つだったのでもちろん賛成。木曜日に納入されたばかりの治田ガイア号に乗って精進ヶ滝の駐車場へ。
7月17日(土)
 予想外にテントが張ってあった。やはり北日本の天気が悪いため転戦したパーティーがいたのだ。そのパーティーよりも早く出発して、吊橋を渡って精進ヶ滝の遊歩道を進む。個人的なことだがちょうど2日前から忙しくなった仕事の影響があるのか、久しぶりに体がものすごく重い。遊歩道なのにもうすでに息が上がっている。久しぶりの3日間行動なのにこの先大丈夫だろうか??
 さて精進ヶ滝。確かに素晴らしい。下の9段45mと相なってとても大きく見える。展望台から踏み跡を下り、その後も踏み跡を辿って9段45m滝。右岸から巻くと資料に書いてあるがかなり大高巻きになりそうだ。下の方はツルっツルだが傾斜が緩いので水流右を簡単に登れるのですこたら登って行くと上段はちょっと立っている。右岸から草付を巻き気味に登るが行き詰まる。しかたなく、ロープを出して滝の水流左を登るが5mほど登ったのだが、これがものすごくイヤらしい。治田さんがリードしたがよく登れたなァと感心する。実際に私は落ちました。。。

 というわけでなんとか9段45m滝を越えて精進ヶ滝の真下に来ると、やはり名瀑の所以、かなりの威圧感がある。もちろん登れないので、定石通り左岸のルンゼから巻き、適当なところをトラバース。懸垂下降25mをして滝上に出る。この大高巻き、懸垂下降に失敗してかなりタイムロスをしてしまったことは覚えているが、それ以外のことは覚えていない。まぁよいルートファインディングをしたと思う。
 沢床に下りると魚影が見える。そういえば精進ガ滝の下で釣り師がたくさんいた。今回の沢で釣れるという事前情報はなかったので釣り竿を持ってこなかったが、これだけいれば絶対に釣れたのに…。後悔である。ツルツルにすべる沢床を慎重に進むと二俣。しかしこの二俣、かなり分りづらい。というのも正面から見る限り滝が架かっているようにしか見えないのだ。この滝は南沢のもので北沢はそこから直角に右に曲がっている。とりあえず休憩。
 二俣に架かる滝、時間をかければ水流左をシャワークライミングでなんとか登れなくはなさそうであったが、資料によるとこの滝を越えてもしばらくゴルジュが続くらしく、直登しても無駄らしい。また資料は右岸から大高巻きすることになっている。でも少し戻ってから大高巻きするのも面倒だし、左岸も行けそうなので、北沢の左岸を少し巻いてお助け紐で北沢に降り、そこから南沢の左岸を巻くといい具合に南沢に出ることができた。しかし、なおも登れなさそうな滝の連続!なおも左岸を巻いて巻いて降り立つと、どか〜んとまた登れなさそうな滝が続いている。左にCSがあってそこが穴があいているというので高橋さんが見に行ってみたが登れなさそうなので、今度は右岸を巻く。やはり前にきた人がいて、残置ハーケン&ロープがある。しかし、このトラバースかなり悪い。治田さんがリードしていき、Fixで越えたがすでにスタンスが崩れてしまっており残置を掴まなければ抜けられない!!
 次の10mくらいの滝も登れるはずもなく右岸から巻いたが、次の滝も登れるはずもなくそのまま右岸を行く。そのあとの滝もその次の滝もそしてその次の滝も、次の次の次の…、、、美しいヒョングッている滝が次々と現れるが、どれもこれも傾斜が強い上にツルツルしていてまったく弱点がない。鑑賞用の滝の連続だ〜。っというわけで右岸からが多かったような気がするが右へ左へ巻き巻き巻き巻き・・・。ものすごくヘロヘロになりながらようやく滝のない広河原に到着。当初の予定では、南沢を溯行して北沢を降りるという壮大な計画だったが、南沢も北沢も同じような渓相であろうということを考えると北沢の下降にはやたら懸垂が連続することが考えられる。しかしスリングの数が…。や〜めた。多少時間が早いが、今日はここまでとする。それにしても、やたらトゲトゲしたアザミが生えているな…。今日も豪華な食事と盛大な焚き火で夜を彩った。
 
7月18日(日)
 明るくなってから起きて昨日のナベの残り物ときのこご飯を食べて出発。出発して数分は平凡な河原だったが、いきなり現れた鑑賞用の滝!左から巻く。何個かこのような滝が現れ、その都度巻いていくと二俣。この二俣、両方滝が架かっていて、右に行くのだが、定石だと左の滝ノ左のルンゼを登って尾根を越えて右の沢に入るというものらしく、のんびり朝食を楽しんでいる間に先に行かれたスズランパーティーはそのように行っていた。しかし、高橋さんいつの間にか右の滝を登っていって偵察しているではないか。ってどうやらいけそうだということで、高橋リードで突っ込む。ハーケン3本とエイリアン黄色を決めてこえた。私はセカンドでいったがかなり悪い。。。よく越えたものだ。
 次は30mくらいの滝が出現。これは右から巻く。すると予想もしない方向からスズランの声が聞こえる。迷っているのかもしれない。その後も何個かの10m〜30mくらいの滝を巻いて傾斜が緩くなった20m滝。左から行き、ザイルを出して山田リードでCSを右から越える。その後も何個かの10m〜30mの滝をいき、二俣を左へいき、次の二俣も左へ行く。もうヘロヘロだ。ようやく稜線に出ると、気持ちのいい岩稜だ。左下には鳳凰小屋が見える。ここから鳳凰小屋に降りても良かったのだが、とりあえず地蔵岳のピークを踏まないことにはということで、かなりへばりながら、ハイマツのヤブ漕ぎをしたりしながら上へ上へいくと、なんとかオベリスクのある頂上へ。オベリスクには残置ロープがあったが、いまにもはちきれんばかりなので登るのはご遠慮させていただいた。

 もう結構いい時間なので、そそくさと下山開始。鳳凰小屋はものすごい人の群だ。テントもひしめき合っている。とてもタープなんて張れる状況になくなおも下る。駐車場に行くには燕頭山を越える方がいいのだが、そうすると水が取れないのでドンドコ沢沿いに下りる。大きい滝の下にいい場所を発見し、そこに設営。かなり疲れた。
 
7月19日(月)
 BPから下りること2時間で青木鉱泉。ここから廃道も近い山道で御座石鉱泉へ1時間。そこから2時間で駐車場へ。最後はパンツ一丁で林道を歩いていた。下山という割りにはかなり登りがあったような…。つかれた…  

 石空川南沢にはいずれは行きたい沢の1つであったが、実際に行ってみて確かにきれいな沢ではあるのだけれどもものすごく楽しい沢であるかといえばそうではない。本当に巻きの連続で登れない滝の連続であるからだ。その中でも3つほど上ったというのは結構頑張った方だと思っているが…。
 それにしてもいいメンバーで行ったと思う。この沢は地形図では予想のできない地形であるため確実なルートファインディングが要求される沢であるが、それを完璧に行った治田さんの経験。難しい滝を果敢に突っ込んだ高橋さん、体力の佐藤さん。確かに沢自体は楽しくはないものだが、かなり充実感がある。やはり沢の楽しみ方を知っている人と行くというだけでもかなり面白いなとつくづく帰ってきた後感じた山行だった。

【記録】
7月17日(土)曇時々晴れ
【駐車場(8.00)‐精進ヶ滝展望台(8.30)‐広河原(14.00)】
7月18日(日)曇時々雨のち晴
【広河原(8.00)‐地蔵ヶ岳(15.00)‐五条ノ滝下BP(16.30)】
7月19日(月)快晴

鮎島 筆