■関越/魚野川茂倉谷[滑降]

2007.3.10 高橋、武井 天神平07:30 - 茂倉岳12:30 - 土樽駅17:00


前代未聞に雪が少なかろうと関越道を水上に近づくと、姿を現す谷川岳は別世界のように白く、トマの耳から下りる正面の神々しい斜面は西黒沢。

オジカ沢の斜面も大きく、そこにシュプールを刻まずおくべきかというところだが、見えない下部の大滝の存在があり好条件を掴む必要があるようだ。南面だし。

一方、トンネルの向こうからの谷川は、茂倉の三角のピークを頂点とした茂倉谷がスキーを対象にした場合一番目を引くのではなかろうか。

連峰に内包する谷はシッケイ沢、芝倉沢をはじめとして実はもっと素晴らしい斜面は多々存在するが、これらは山に入って見えてくるもので、ある意味、山ヤだけに通用する暗号である。

ということで、ミーハー心をくすぐる茂倉谷に行ってきました。


天神平は、積雪180CMということだ。ゴンドラ終点から天神尾根までは堅い雪に薄雪が乗った状態でシールがきかず担いで登る。武井さんはクトーでガシガシ先行する。

熊穴沢避難小屋は、屋根が見えていた。山頂に近づき、またスキーを担ぐが、武井さんのクトーはまさに本領発揮というところで問題なく登りきる。

 

途中ふりかえると、晴天にも関わらず山スキーヤーは自分達を含めて5人が数えられるだけで、まだ3月上旬だというのに異常寡雪の今シーズンの谷川山スキーは、シーズンオフになりつつあるのだろう。

何度目であろうと、谷川岳山頂はいい。登頂できて満足。ここからは武井さんもさすがにスキーを担ぐ。

 

オキの耳のすぐ先で、滝沢ルンゼ状スラブを登りきったパーティが休んでいた(先週は3スラ登ったそう)。

1/2沢中間稜はどうですかねと聞いてみると、下は藪こぎじゃないでしょうかということだが、まあ見てないな。彼らの対象ではない。

ノゾキでは3ルンゼを登ったパーティが。"無事でおめでとうございます"と声をかけると"ありがとうございます"と。

どちらのパーティも悪かったといっているが、成し遂げた充実感がにじみ出ている。

一の倉出合が3-4時頃だったそうで、今は10時半だ。みんながんばってるなあ。すばらしいよ。幽の沢の高田・長嶋コンビももう登り終えた頃だろうか。

 

鞍部からは、一の倉岳と谷川岳が前後に聳え、トレースがない道を交代でラッセルしていると、俺達もプチがんばっているよ、と言う気になる。

晴天だったのが、ふりかえると谷川山頂は雲に隠れたりするようになり、風が舞っている。

一の倉岳からすぐと思っていた茂倉、は結構遠く明らかに別の山だと知った。

初めての山頂。風が強く休んでいると逆に体力が奪われてしまいそうだ。

早速、茂倉谷を覗き込むと、土樽まで一直線に見える。だが、ずどんと落ち込んだ先は沢筋が黒々と現れていてぞっとする。相当時間がかかりそうだ。

山頂直下はシュカブラがひどく、左手の茂倉新道の小屋(屋根が見えていた)あたりからと右手、武能岳側に降りた鞍部からがきれいな斜面となっているが、山頂から谷にドロップインしないと後悔を残しそうなので、気持ち武能岳側向かったところから強引にシュカブラに突っ込む。

下手なくせにラインにこだわりってしまうのが悲しい性である。わずかでシュカブラ帯を抜けると、パウダーとクラスト斜面が入り混じりスピード出しすぎ厳禁、しかし結構快適な斜面が続く。

 

下りてくるにしたがって雪質が変わり、滑る足元から下が流れる不安定な斜面が出てきたところは、小尾根をこえて隣の沢状に入ったりしてやり過ごす。

標高差にして600-700メートル一気に下り、沢が割れたところで武井さんが持ってきていたチューハイソーダで乾杯。ここからが地獄っぽいけど、とりあえず無事滑降を祝う。

 

狭い谷筋は、我々の技量では潔く担いだほうが早いということで意見は一致して、数え切れないほど渡渉を繰り返し、腰まで水没あり、ドロ壁の滑落ありで、いけそうなところはジャブジャブ沢の中を下る。

背中のスキーはむなしく、何しに来たのか忘れてしまった頃、ようやく蓬沢の合流点にたどり着き、土合に戻る終電に間に合うことを確信できた。

 

土樽駅までの道は除雪が入ったわけではないのに雪が無かった。あわよくば蓬峠経由戻って来るなんて、無知丸出しの計画書を出してしまったものだ。


マイリマシタって感じだが、不思議な充実感がある。
異常寡雪の年の記録として。

高橋 記


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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