■愛鷹山/須津川1ルンゼ〜須津川割石沢(下降)

2007年11月17日
鮎島仁助朗
 愛鷹山は前々から興味があった。つまりは11月に登る山としての対象として、ずっとお気に入りリストに入れていた。2007年の大目標「毎月名山登頂」で11月登頂の山としては妙義相馬岳を当初の候補に考えていたが、よくよく考えれば愛鷹山も200名山だ。天気も良さそうだし、行くことにした。
 4時半に起床して、ずっと下道で3時間ほどで到着したが、よくよく持ってきた装備を見ると、沢靴を家に置き忘れたことが判明した。せっかく、ここまで来たのに・・と思うが、10分ほど戻った須津の街中に、ワークマンがあったのを思い出した。そこで、戻って靴を物色すると、テレビでも紹介された脅威のグリップを持つ「ハイパーX」なるゴム底を持つ安全靴が売られていたので、まさにうってつけ。購入後、また戻るが、資料では須津山荘まで車では入れると思っていたが、実際は高棚の滝付近のキャンプ場先にゲートがある。
 さっそく、先ほど購入した安全靴を履いて進もうとするが、実際履いてみるとまったくスタンスに立てそうもない。これはヤバイと思って、念のためもってきていたクライミングシューズを念のためザックにしのばせることにした。30分弱の舗装道で須津山荘で、そこからは大堰堤まで林道が続いている。大堰堤の上には鋸岳という看板があるが、無視して川沿いに進むが、そこからもところどころ道があり、ペンキや赤テープが張られてある。野猿沢出合や大岩、位牌沢出合などポイントとなるところにはしっかり看板があり、地形図を忘れた私にはまったく現在地が分かってなかったけれども、見間違えることはない。そして、ポイントとなる割石沢出合にもバッチリ看板がある。はっきり言って看板がなければまったく分からなかったであろうみすぼらしい出合を右に行き、さらに看板に導かれて左。あとは忠実にこの沢状地形を辿る。するとやはり看板があって3ルンゼ、2ルンゼと右から入り、最後に1ルンゼとなる。3ルンゼはともかく、看板さえなければまったく分からないほど、“なんだかなー”という感じのルンゼだ。
 1ルンゼ出合でクライミングシューズに履き替える。なにせワークマンで買った靴がやはり全然ダメなのだ。まぁこれが正解。出合の壁は簡単だが、次のどこでもホールドがありそうな8メートル滝は上に上がるにつれてホールドがないし、なんだか傾斜が強い。おまけに脆いときた。なんかハーケンがあるがボロッと取れるし、なんかなぁ。ディレティシマをあきらめ、結構、切羽詰りながらも右へ巻くように行くとなんとか滝上に上がれることができた。ついで6メートルのチムニー滝。まぁこれは楽勝だろうと思ったが、結構怖い。V程度だろう。ただし、チムニー登りで荷物を持っては上がれないので、空荷&ザック引き上げで。これをこえるとすぐに登山道だった。
 この鋸岳南面のルンゼも目的だったが、それ以上に最高峰、越前岳に立つのが大目標だったので、ここから越前岳まで往復する。とはいえ、かなりバテ気味。久々のバテ具合だ。石鎚山を思い出す。足を痙攣させながらようやく越前岳に着くも、すぐ割石峠へ戻る。本来、ここから鋸岳・位牌岳・袴越岳を縦走して駐車地に戻る予定だったが、とんでもないほど足やその他がやばいことになっている。うーん、久しぶりの山だったからであろうか。
 しょうがなく、割石峠からそのまま須津川へ下りる割石沢へと下る。“よく下降に使われる”とあるが案外滝が多い。一度、懸垂下降をして、薮を巻いたりしたりして下っていく。なおも滝が続くが、これらは右から薮を漕いだりして下る。ある程度まで下れば、滝場もなくなり、見覚えのある割石沢の出合に着き、あとは往路を下るだけだった。

 実のところ、この3本のルンゼのうちどれに行くかは最初から決めてなかったが、3ルンゼは難しそうだし、2ルンゼは簡単そうだったので真ん中を取って選んだのだが、外れではなかったようだ。確かに馬蹄形縦走できなかったのは心残りだが、主峰は登ったしで、もう一度くるかどうかはかなり微妙だが、よかったのだろう。


【記録】
11月17日(土)晴
 ゲート0830、須津山荘0850、割石沢出合0955、鋸山1100、越前岳1150、割石峠1230、ゲート1420

【使用装備】
クライミングシューズ、ロープ30メートル、シュリンゲ5メートル分、下降器

2007.11.19 鮎島 筆