■大菩薩/葛野川小金沢本谷

2008.7.12
鮎島仁助朗、渡辺剛士

倒木の多い淵
 駐車場からゲートをくぐってトンネルを越えると草刈り作業中だ。立ち入り禁止みたいなのを無視してきているので“注意されるのいやだなー”と思うが、逆に“泳ぐんけぇ?”みたいに驚かれ、理解ある人たちでよかった。左から発電所用のトンネルを過ごし、支沢を一本越えて2度目の左に曲がったところで沢へ降りる。
 本格的な沢っぽいところを5分ぐらい歩くと、いきなり泳がねばならぬところが出てきた。ここでライジャケ&ウェットを装着して越えるとすぐに堰堤だった。うーん、どうやら第2堰堤の上で入渓するつもりが下だったようだ。でも、巻き道がしっかり右岸につけられているので大丈夫。いやぁ、それにしても滑る滑る。わたしは“ウォーターシューズ”というよく海辺で履くようなペラペラ靴を履いてきたのだが、チャートの岩質はヤバい。フリクションが利くとか利かないとかそういうレベルではなく、本当に参った。(その後、基本的にロープを出すところはクライミングシューズに履き替えた)
 さて、右岸から支沢を二つ入れると、鶏淵。高橋さんから「ここがポイントだよ」とアドバイスを受けていて、かなりビビッていたのだが・・。うーん。見た目からしてノープロブレムなんですけど。とりあえずロープを出してじゃんけんの結果、ナベのリードで左側から越えるが、別に泳ぐわけでもなく、厳しい登攀があるわけでもなく、まぁねぇという感じ。トポは右のクラックからって書いてあるけど、逆に危険だぜ。結論。昔はもっと釜が深かったんだろう・・。ハイ。
 左から滝沢を入れて、第3堰堤。これも左から行くが、トポにある50m淵がいくら待ってもない。少し行くと崩壊地形が現れ、どうやら埋まったようである。
 すぐ2m滝が現れる。この滝はよほど鶏淵よりも険悪そうな雰囲気がある。強いていうなら北又谷の大釜淵みたいな。ちょっと気合を入れて、空荷になって私が左から突っ込むが・・。まぁ巻き込みが強いけど、簡単に立てるし、難しくなかった。さて荷揚げしようとすると、ナベの様子がおかしい・・。完全に焦って何か探しているようだ・・。私のザックがない!おいっ車のカギはいってんじゃん、それはマズいよ。ナベひとりに探させるのもなんなので、せっかく登ったけど飛び込んで戻る。流されたに違いないということで10分ほど川を降りてみるが、どうも見当たらない。どこかに引っかかっているのかなと思って、さっきの2m滝まで戻ると、やはりすぐそこの岩で挟まっていた・・あぁ良かった良かった。・・・しかし、完全に水流中に晒されていたので、あえなくモバイルフォン死没なり(完全防水にしたつもりだったのに)。さて、気分を取り直して今度はナベがリードし、荷揚げするが、激流中に荷物が行って苦労する。やはり流芯を外して荷揚げしないといけないね・・勉強したが、この行ったり来たりする姿ならびに荷揚げに苦労する姿はバッチリ釣り師に見られており恥ずかしいっす。
 その後も、しばらくショートの泳ぎや、胸までのつかりなどを繰り返していくと、大きな流れで大樺沢が右岸から流入する。
 やがて、泳ぎが入る釜のあとに2段10mの滝。これは絶対に登れない(と思う)。左岸から簡単に巻くと続いて7mの滝。これも登れないので左岸巻き。下り口にはトラロープがあった。
 このあとは・・。実は明確な記憶がないのよ。確か大樺沢出合から塩道沢出合まででロープを出したのは2箇所。@倒木が多くみえる淵=ボルダーキング・ナベが左壁をへつって越えたA白泡が立っている30cm落ち込み=鮎が左壁からの飛び込みで落ち口の石をつかんで越えたの2箇所だったと思うのだが・・。いや、そのほかに2つほど4m滝(強烈巻き込み滝とスラブがイヤらしい滝=どちらも左壁をノーロープで直登)があったし、数多くショートの泳ぎや、胸までのつかりなどもやったような気もする。そーいえば、スラブがイヤらしい淵があってそこは左壁の木(残置カラビナがあった)を伝ったのとヌルヌルが激しい淵があって、そこはフェルトソールのナベが突っ込んでお助け紐にしがみつくも、やっぱり滑りゴールキーパー並の横っ飛び(ナベ談)で何とか越えた2つはあったなぁ。でも順番がどうだったかなんて忘れちゃった。でも、途中の休憩で悲しいことが・・。ナベの柿ピーが完全になんかわからない物体になっていた・・・。
 塩道沢出合の不動滝は左岸巻き。その後も何個か胸までの渡渉やショート泳ぎを繰り返し(ひょっとするとここにGK淵があったかも)と、もういい加減、疲れてきたころ、5mスラブ滝+2m滝がある。ここはクライミングシューズに履き替えてロープをつけて左壁を登った(鮎リード)が、我々の実力では絶対に沢靴では立ち込めない小さいホールドに頼るしかない。おそらく技術的な核心はここだった。これを越えるとすぐに大菩薩沢出合で終了とした。
 その出合から30m戻ったところから右岸を登る。すでにヘロヘロだ。なにせレーション忘れや柿ピー沈没でシャリ不足。しかし、ほんの少し登ると踏みあとがあってそれを辿ると林道についた。あとは舗装林道を1時間半ほど下ると駐車地の小金沢公園。途中でスコールにあったが、一番ひどい雨は車についたあとでよかった。

 総括。
 小金沢本谷は関東を代表する秀渓だ!確かにゴミは多いが、大水量とこの静けさ。我々は大菩薩沢出合で帰ってしまったが、大菩薩沢やマミエ沢を継続すれば確かに最低2日はかかり、本当にいい沢す。これだけ泳いで漬かって攻められるのは期待以上で、大菩薩沢出合までだけでもものすごく楽しめたし、右岸にずっと走る林道もまったく視界に入らず気にならない。ぜひお勧めしたい。やっぱり「本谷」を名乗るからにはこうでなきゃ。水無とか葛葉とか「本谷」を名乗っちゃいけないよ。
 なお、帰りに、近年ものすごく気になっていた相模湖駅前の十字路にデカデカと「まぐろとんかつ」と看板を出しているお店で飯を食ったが、これがなんとも。騙されたーという感じだが、だいたいあの店にマグロなんて置いてあるのかよ。気になる方はぜひ。
【今回学んだこと】
@空荷で登る際、荷物はしっかりビレーをしなさい。もしくはしっかり見ておくこと。
A荷揚げは流芯を避けること。
B特にゴルジュ系では貴重品は最低3重の防水を。
C食料も貴重品。しっかり防水対策を。
Dチャートの沢にラバーソールはヤバい。
Eナベとのじゃんけんでは必ず負ける(通算5戦5敗)

2008.7.15 鮎島 筆

【記録】
7月12日(土)晴のち雨  駐車地0800、入渓点0830、大樺沢出合1200、大菩薩沢出合1530、駐車地1730

【使用装備】
ロープ8mm×50m、ウェットスーツ、ライフジャケット、クライミングシューズ、小カム
※ロープは30mロープで十分
※ウェットはあったほうがよい。ライフジャケットは重宝したが、別になくてもOKかもしれない。
※クライミングシューズは沢靴ではとても厳しいところがあり必要と感じたが、巻くのならいらない。

【写真】

鶏淵をリードするナベ
(まぁあっさりと)

2m滝を泳いで取り付く
(私のハデハデライジャケを見せるに及ばず)