<マイモーズ 懺悔録>


やってしまった。実に6年ぶりくらいに、前進用にボルトを打ってしまった。

最近ゴルジュにハマり、「ゴルジュはなんでもアリ!」みたいな固定観念があったのか、ダウンエイドで戻るという選択肢は

無かった。まあ、その前のピンが半分しか入っていないハーケンのタイオフで、戻る気にならない代物だったのもあるが。

「どうも、、ボルトを打つのはあまりよくないらしい」と気付いたのが2000年ごろ。その後もちょくちょくぶち込みながら、いろいろな本を読み、「ボルト、カッコ悪い!」と認識するに至った。そう、身動きの取れない岩肌に、一方的にジャンピングを叩きつけるのは、いじめみたいなものである。

特に岳人の連載「俺は沢屋だ!」に大きく影響された。成瀬さんが佐藤さんと組んで、どっかの沢に行ったときの写真はすごかった。滝の側壁の、どっかぶりハングを足ブラで登る佐藤さん。

たしかキャプションは「日本の沢史上、これほど高難度のラインがオンサイトで挑戦されたことがあっただろうか?結局人工でした」だった。

フリーをしっかりやって、NPを使いこなして、ハーケンワークを磨く。そうすればボルトに頼らなくても済むのではないか?

そう思い、それなりに努力してきたはずだった。

そしてマイモーズ。まあ、濡れているとはいえ、傾斜はせいぜい垂直。そこにしっかりイヤリングをつけてしまった。

まあ、昔とった杵柄というか、沢で打たれているボルトとしてはしっかりと深く埋めれたことがせめてもの慰めか(打つならしっかり打たんとね。)。

続登者は、ぜひフリーで抜けて欲しい。いいとこXくらいだから、クライミングシューズなら行けるはず。(下部の人工部分はどうだか知らないが)

そのときに、「あのリングボルト、バチ効きだったよ」といってもらえれば、少しはこのモヤモヤも晴れるだろう。

 

渡辺 筆