■谷川/一ノ倉尾根 [雪攀]

2010/03/13~14(夜行1泊2日)


細谷宜朗、大部良輔(記録)


山登の最年長&最年少コンビ!?で一ノ倉尾根に行って来ました。自分は雪稜に行くのはまだ3度目で、「3級か~、登れるのかな??」と少し心配だったが、5回目の沢登りも5級下だったからまぁどうにかなるだろうとたかを括っていたが、いや~厳しかったです。


3/12(金)

東上線東松山駅に21時集合。細谷車にはペットボトルホルダーに可愛い犬のぬいぐるみ入っているのが気になる。2時間強でロープウェイ駅着。6Fで少し飲んだ後に12時前には寝袋に入る。しかし、その後、どんどん山屋が来て宴会を始め、2時過ぎまで騒がしかった。繊細なオーブは結局30分くらいしか眠れず。


3/13(土)

3時起床。まだ飲んでる人達がいた。羨ましい限りだ。駐車場で準備をして出発。荷物を詰め込んだ45Lザックはパンパンで、自分のザックはチャチいので本当に張り裂けそうで怖い。ヘッドランプを点けて林道を進む。星が良く見え天気は良さそう。トレースはバッチリで1時間10分で出合着。まだ暗いのでのんびりギアの準備をする。5時30分には大分明るく行動可能。一ノ倉の岩壁を眺めながら衝立前沢まで進む。途中まではトレースがあるが、トレースが無くても、足首~脛まで潜るくらい。衝立前沢の左岸の尾根に乗り尾根を忠実に詰める。尾根が平になった箇所で休憩。快晴、暑い。

 

ここで一応アンザイレンする。そこから、右上のルンゼを目指して登る。途中から傾斜が急になるのでスタカットに切り替える。ここからルンゼを抜けるまで5ピッチつるべでブッシュ&スノーバーでランナーをとりながら登る。湿雪のためアイゼンに雪団子がつくというか、足自体が団子になる。このルンゼは傾斜がそれなりにあり部分的にチョット悪い箇所がある。実際3P目の出だしでオーブはプチ滑落。天気も雨が降ったり、雪が降ったり、晴れたりと目まぐるしい。正直天気が悪くなってきたので帰りたかった。今のルンゼも所々灌木&残置スリングがあったので、50m2本なら懸垂で下れる。ルンゼを抜けるとトレースがあった。どうやら、もう1本北のルンゼを登ってきたようだ。そこからは、歩きと簡単なクライミング。残置スリングで7m懸垂。そこから少し行くと岩角にスリングが残置されている所で、もう1回30mほど一ノ倉側の沢に懸垂(残置スリングは使わず立ち木で懸垂)。ロープを引っこ抜くと、「あ~これでもう帰れないな」とショックだったが、後で上から見ると稜線通しでも行けそうだ。そこからは、急な笹やぶのルンゼを登る。オーブが先行していると、細谷さんがビレイを要求してくるので灌木で細谷さんをビレイ。ここからスタカットでもう3ピッチで懸垂岩基部。トレースの主の「まつど岳人倶楽部」の3人組はここにビバークするらしく、「良かったら人工ピッチはFIXしてあるので使ってください」とのこと。この3人組、自分が言うのもなんだが、山では珍しく若者だった。しかし天気もかなり悪くなり、今からここを登っても上まで抜けられる自信は無いので、自分たちもここでビバークすることに。

 

岩の基部を整地する。ハルさんのアドバイス通りスコップを持ってきて正解。ありがとうございます。少し狭く、スグ下は急斜面なので、ブッシュと残置ハーケンにロープを張りそれにツェルトをかけてツェルトの中からもセルフがとれるようにした。先行パーティーに良い場所を取られたなと思ったが、後で聞くと彼らは座りながらのビバークだったらしい。ラッキ~。ツェルトの中でラジオを聞きながら、ウトウトしながら、飯を食い、水を作り、19時30分に就寝。外はかなり風が強く雪も降っていた。明日中に下山できるのか心配だった。まぁ、自分は春休みなので携帯の電波のあるとこまで行ければ良いのだが。まぁ大学があっても大して困りませんが。

 

自分は雪山で、シュラカバ&インナーシーツ&マット無しで寝るのは初めてで不安だったが、疲れと前日の睡眠不足と細谷さんから貰った漢方薬のおかげか案外熟睡できた。むしろ寝袋を担ぐのが馬鹿らしく思うほど快適。


3/14(日)

4時30分に起床予定も寝坊して5時15分起床。谷側の細谷さんが転がり落ちてないか心配だったが、大丈夫だったらしい。細谷さんもそれなりに寝れたらしい。風は相変わらず強く視界も良くない。朝飯を食い、テルモスの行動用の水を作ったりしているとツェルトの脇をまつどPが登っていく。凍ったギアに苦戦したため時間がかかり、7時前に出発。

 

一ノ倉尾根尾根の懸垂地点あたりに後続者がいたように見えたが、その後いくら振り返っても見えなかったので、一ノ倉の亡霊か…。核心の人工ピッチの始まる箇所まで移動し、細谷リード。ピンの間隔が近いので細谷さんは安定して登っていく。上に抜けでも順番待ち。ちなみにロープがカチンコチンなので、今日はほぼ腰がらみorグリップビレイ。またロープがキンクしやすく解くのに手こずった。このこらから天気がまた回復してきた。少し待ったあと、オーブフォローも最後のフリーの1手が怖い。次のピッチは左の凹角草付き。ここが悪いという記録も見たが簡単だった。その後ルンゼを詰めて尾根上に戻るまではつるべ。

尾根上でフォローの細谷さんビレイをしていると、登ってきた細谷さんはゴルゴ13風のサングラスをしていた。サングラスとマスクで顔を完全に隠しているはずなのに、どこか堅気を感じさせないオーラがある。ここまで、計4ピッチ。先行Pのトレースがあるので有りがたい。結局この日は終始トレース泥棒と化す。簡単な岩稜を越えると岩壁にぶち当たるので右のダイレクトルンゼに入る。結構急な斜面で怖い。アイゼンの前爪をけり込むと脹脛が攣りそうだ。下を見たらそのまま落ちそうで怖いので一切見なかった。このルンゼを抜けるとまた簡単な岩稜。簡単だが一ノ倉側も幽の沢側も切り立っており怖い。少し歩き、国境稜線も近付いた場所でアンザイレンを解除。

 

東尾根上部に人影が見えたので、治田・高橋Pか。国境稜線はすぐそこで雪庇の発達してない場所から稜線に抜ける。快晴、風が少し強いがそれも行動中は気持ちが良い。景色も壮観。細谷さんと握手。谷川岳に向かうトレースはしっかりしていたので安心する。夏道より早いくらいの時間でオキの耳に着く。オキの耳には2人組が見え、細谷さんが後ろから「治田さんたちじゃない??」と言うが、パッと見小奇麗な装備を身にまとっていたので、山登の人間じゃない気が自分はした。案の定、違う人たちだが、この2人も1・2の沢中間稜を登ったらしい。肩の小屋の脇で1本とり、後はトレースバッチリの西黒尾根を転がるように下っていく。途中にあった2人組から、治田・高橋Pはもう下山したと聞く。やっぱり自分たちより早かったか。なんとかヘッドランプのいらない時間に下山でき安心。いや疲れた。

 

下山メールを流そうと携帯の電源を入れると、丁度治田さんから電話がかかってきた。心配かけて申し訳ありませんでした。水上で温泉に入り、関越が混んでいたので、本庄児玉で下り、本庄駅で降ろしてもらう。高崎線で飲んだビールは美味かった!!


条件は別に悪かったわけでは無いのだろうが、丸2日掛ってしまった。最初は鮎さんとワンデイで抜けようとしていたが、僕には無理です。もっとロープを出さなければ良いんでしょうけどね。ロープが要るような、要らないようなピッチが多かったです。トレースのおかげでそれなりのペースで登ってもこれだけ時間がかかってしまったわけですから、要修行です。ただ細谷さんとは初めて山でロープを組んだため、慣れればもう少しスピードアップできるかも。

細谷組長ありがとうございました。


<コースタイム>

3/13 ~ 3:45ロープウェイ駅~4:55一ノ倉沢出合~6:00衝立前沢~7:30アンザイレン~15:30懸垂岩基部~19:30就寝

3/14 ~ 5:15起床~7:00出発~14:30アンザイレン解除~1545肩の小屋~1735ロープウェイ駅

* オーブは時計もカメラも持って無いので、時間は大体です。


<使用ギア>

・ダブルロープ50m×2 (2回目の懸垂をせずに稜線通しで行けば1本でも良かったかも)

・スノーバー×2 (最初のルンゼでランナーに使用)

・スリング多数 (ブッシュからたくさんランナーを取った)


 

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