■上信越国境/白砂名川猟師ノ沢~魚野川渋沢西沢~魚野川本流~草津白根山 [沢登]

2010/08/03 – 08


大部 良輔


行程:上信越国境・白砂名川猟師ノ沢~白砂山~魚野川渋沢西沢~魚野川本流~岩菅山~草津白根山


8/3 17:15花敷温泉 - 20:00白砂沢大橋

 

夜勤明けなので、朝帰宅後にパッキング。少し寝てから行くつもりも何やかんやで寝る時間は無く電車に飛び乗る。吾妻線の長野原草津口からバスに乗り花敷き温泉へ。そこからは野反湖への車道を歩く。もう一本早いバスに乗れれば大自然村入り口までバスで行けたのでショック。林道を白砂川大橋まで。先ほどからの雨が本降りになったので寝床を探すと橋の左岸側の下に斜めっているが1人横になれるスペースがあるのでそこに泊まる。セルフを取ってのビバークとなる。


8/4 05:10発 - 08:00白砂川 - 10:00猟師の沢 - 14:45白砂山 - 17:00滝沢出合

 

雨は夜のうちに止んだが、川はとても増水している。昔の資料はここから入渓しているが、この上流に今はダムが2つありらしいので林道を行く。林道が四万川方面に分かれる所に白砂川沿いの林道にはゲートがある。ここまでの林道の状態は悪くない。第3ダムへの道を左に分けると道は急に悪くなる。

しばらくすると林道が有るのか無いのか分からない状態になるので沢に下降する。木戸沢の左岸に流入する支流にノーロープで降り立つ。そこから木戸沢を下降して、白砂川の本流へ。暗い木戸沢に対して本流は明るく気持ちよい。少し下流の対岸に黒渋沢が出合っている。濁りは無いが、水量は多く小柄な自分では渡渉にかなり難儀する。本流がゴルジュになる手前で猟師ノ沢が右岸から出合う。猟師ノ沢の最初の滝は左の凹角から登る。その先は特に何も無く、平凡な渓相。右岸に3本目の顕著な支沢が入った先で赤茶けたゴルジュになる。ゴルジュの中に体系には無い2段10mの滝が掛かる。左から登る。その先の5m滝は左から巻く。この辺は何か不思議な珍しい渓相だった。少し行くと沢はガレてきて伏流になる。水が復活した先で2俣。体系の記述では左に行くようだが、圧倒的に水量の多い右に入る。右に入ると沢はルンゼ状になり登れる小滝を何個も掛ける。

藪こぎ無しで稜線に飛び出し、白砂のピークまで5分ほど藪をこぐ。さっきまで晴れていたがガスってきた。登山道を堂岩山方面へ下り、2042のピークの手前のコルから渋沢に向かって下降開始。っが、ネマガリタケの藪が濃くて全然思うように下れない。流水に出合うまで20分ほど苦戦した。渋沢に降りてからは特に問題も無く下り、滝沢出合の右岸で快適にビバーク。

関東周辺の沢の遡行図で伏流となっている箇所はしっかりと水が流れていた。ノコギリで切りそろえられた薪も少し残されていて焚き火は簡単におこせた。昼に行動食を食い過ぎたせいか、棒ラーメン一食でお腹一杯。夜は寒くて起きてしまったので焚き火を熾しなおしてその脇で寝た。


8/5 06:00出発 - 08:00東俣 - 12:00魚野川 - 15:30幕営地

 

直ぐにゴルジュになる。朝一番から水に浸かると膝上までとは言えつらい。30m大滝は一つ上の小滝も一緒に左岸から巻く。左岸の凹角を登り右の灌木をトラバーして30mロープ一本の懸垂3発で沢床へ。佐武流にピストンする予定の沢は予想以上にショボくて登って直ぐに水が涸れたので諦める。こうなると時間に余裕ができたので昼寝をしたりしながらノンビリ下降。魚野川の出合付近のゴルジュでは少し泳いだ。最後の滝はジャンプして釜に飛び込んだ。魚野川に出合った箇所から遡行しようと思ったが、渋沢は渋沢ダムのバックウォーターに流れ込んでいて100mくらい泳がなくちゃならないので諦める。

登山道に上がり100mほど野反湖方面に行き、少し悪いクライムダウンで沢に降りる。ちなみに避難小屋は崩壊していたのと鍵が掛かったのがあった。ここから千沢出合までは重たい渡渉の連続でかなり辛い。千沢を分けるとそれほど問題は無くなる。連続する2つのゴルジュはへつりで突破。簡単だが落ちたらヤバそうな感じ。そのままジャボジャボ遡行し、左岸にブルーシートがデポしてあった河原でビバーク。

やたら大量に薪が残置してあったので有り難く使わせてもらうことに。タープを張り終えると雨が降ってくる。一回止んだと思ったが直ぐに大雨になる。沢は増水して濁ってきた。30分ほどの本降りで3~40cmほど水位が上昇した。雨が止むと晴れ間も出てきたし水も徐々に退いてきたので焚き火。ブルーシートを薪に掛けて置いたので問題無し。焚き火が楽し過ぎてウイスキーをチビチビやっていたら12時近くなっていた。


8/6 09:30出発 - 12:30魚止め - 17:00南沢

 

5時に起床して朝飯を食うも、眠いので少し寝てから出発の準備しようと思い二度寝。っが、起きたら8:30。流石に寝過ぎた。出発の準備をしていると後ろから5人組の釣り師がくる。会話をしていると1人の人がお袋の味・ミルキーを10個くらいくれた。良い人だ。出来ればミルキーじゃなくて岩魚が欲しいとは流石に言えず、先に行かせてもらう。黒沢を分け順調に進んで行くと魚止めの滝の手前でにわか雨が降り出す。そう言えば昨日の大雨も降り始めはにわか雨だったな~と思っているうちに本降りに。魚止めの滝の100mほど手前の左岸に水面より3mほど高い位置に岩穴があったのでそこに逃げ込む。中は平らじゃないからビバークには向かないが3人は余裕で入れそうな広さ。ミルキーを舐めながら雨が止むのを待つ。30分ほどて雨はあがるもまた増水して濁っている。出発しようと沢に降りるも先ほど簡単に渡渉してきたポイントが恐ろしすぎて渡り返せない。しょうがないので左岸を嫌らしいへつりで突破。魚止めの滝は水量は凄まじかったが左から少しのシャワーで登れた。

 

そこから上部が魚野川の一番良いところらしいが…

青い空・白い雲・緑の山々・茶色い沢のコントラストが非常に美し…

 

ければ良いのだが、今自分がナメを歩いていると認識できるのは足裏感覚によってのみだ。目で見る分には何も分からない。水量が多く最初は戸惑ったが、時間が経つにつれ平水に近づき遡行もスピードアップ。大ゼン沢付近でまた5人組の釣り師の別パーティーに遭遇。リーダーっぽいおじさんにテン場と詰めの情報を教えてもらう。抜かせてもらい先を急ぐも巨岩帯の石積み滝が連続する地点では疲れも出てくるし雨もポツポツきてスピードダウン。途中また釣り師2人を抜き、南沢出合の右岸でさっき教えてもらった快適なビバーク適地着。場所は平らで水面よりは高くて安心だが、薪があまりない。またあってもビシビショ。頑張って薪を集めて一応焚き火を試みる。試行錯誤しているうちに、力を入れすぎたかライターの火花を起こす箇所が壊れて回らなくなる。ライターは2つもってきていたのだが、実は昨日の幕営地でコッヘルを洗おうと沢の前で屈んだら胸ポケットに入れていたライターが水没&紛失していたのだ。火がない!ガスヘッドは着火装置が付いていないタイプ。ガスが切れたライターでも火花だけでガスに着火できるがその火花もおきない。30分も下れば先ほどの釣り師からライターを借りれるかもしれないがそんな元気はもう無い。幸い、明日には下山できるし、α米は水でも戻る。冷たい米と乾きものを食って、服はビシビショなので下山後用の服に着替えて寝る。シュラフカバーに入るとまた雨が降り出し、本降り。また増水&濁る。まぁ、ここは問題ないので安心して寝る。


8/7 05:20発 - 09:00稜線 - 13:00岩菅山 - 15:00一ノ瀬スキー場 - 16:30蓮池 - 18:30硯川

 

寒くて寝れなかったので4時から飯を食い始める。火を使わなければ出発が早いかと思ったが、体が動かず結構時間が掛かる。今日はひたすら本流っぽい方を選んで登るだけ、昨日会った釣り師は藪こぎ無しで稜線に出られるルートを作ってあると言ったが、肝心なそれがどこに有るのかは分からない。上部の1:3の二俣は右の方が水量が多いのだが、多分自分はそっちを左に入ったよう。ハルさんから藪こぎは1時間じゃ済まないかもと言われていたので覚悟していたが、20分ほどのネマガリダケの藪こぎで稜線に飛び出した。稜線の登山道は所々ぬかるんでいるが歩きやすい。だいぶ赤石山よりに出たようで寺小屋峰まで1本掛かった。靴下をいつものと変えたせいか、左足の人差し指が痛くてスローペースでノッキリまで。そこから空荷で岩菅へピストン。晴れて気持ちの良いピーク。山頂の避難小屋は立派。ただエアリアにある水場はどこなのか不明。あとはたらたら下るだけ。用水路の脇の道に出てからはサンダルに履き替えて一ノ瀬スキー場まで。志賀高原は小学生だか中学生だかの塾の夏合宿が盛んなようで「絶対に合格するぞ~」と聞こえてくる。俺もこの位勉学にやる気があればなとしきりに思う。帰宅ルートを草津経由にすれば途中でついでに草津白根が登れると思ったので、湯田中駅へ行くのは止める。っが、草津方面に行く最終バスは早く(1日6本しかなく、終バスに乗るにはもう30分早ければ…)もう無いので、とりあえず歩く事に、途中の蓮池or硯川まではまだ沢山バスがあるが、そこまで早く着いたところでしょうがないので延々と歩く。閉店間際の蓮池のロープウェイ駅でライターとパンを買う。ここらへんで適当に寝て明日の始バスで白根火山バス停まで行こうとおもうが、ホテルやらロッジが立ち並ぶこの辺りには泊まるのに適当なところがない(ホテルやらロッジに泊まれればよいのだが)。

東屋とかないかなと草津方面にとりあえず歩くもなかなか良いところが無く硯川まで歩く。ベンチで飯を食い、ぼーっと星を眺める。木々に視界を遮られることが多い沢中のビバークと違い星が凄い綺麗だった。某所での睡眠は暖かく快適。


8/8 5:45発 - 9:15白根火山バス停 - 湯釜見学 - 10:20/11:20本白根ピストン

 

始バスは遅いのでとりあえず歩けるとこまで歩くことに。陽坂まではスキー場を突っ切りショートカット。そこからはひたすら車道を行く。車が脇を通るとかなり怖い。白根火山バス停の一つ手前のバス停・渋峠に8:00に着く。まだ始バスまで一時間以上あるのでここまできたら最後まで歩く事に。結局始バスに乗るよりも5分ほど早くついた。かなり疲れたがこの国道292号線・志賀草津道路は眺めが良くて気持ちが良い。バイクのツーリングが多いのも頷ける。国道など作らずにハイキングコースでも作ってたら最高だっただろう。

 

とりあえず湯釜を見学。ここに来るまで、ここまで観光地だとは知らずに人の多さにかなり驚いた。国道を歩いている最中は湯釜で体洗えるかな?とか思っていた阿呆な自分が恥ずかしい。本白根へとピストンはバスの時間もあってかなり飛ばした。ちゃんと遊歩道の最高地点まで行って一時間もかからずにピストンできたが望みのバスには乗れず。ハイカーを100人以上は抜いたが、かなり迷惑だったろう。

 

結局、草津温泉で風呂に入る時間も無く、トイレで体を拭いただけで、ドカヤッケを着たままワンゲルの飲み会に行きました。

 

因みに、2年間夏冬問わずに酷使したドカヤッケを今回新調したのだが、いや、新しいドカヤッケってこんなに素晴らしかったのか感動しきり。


猟師ノ沢はアプローチを考えると遡行価値があるかどうか…。白砂川本流に行きたい気もしますが、もし次行くならアプローチは黒渋沢下降か、四万川と合わせて木戸山周辺に突き上げる四万川の右岸の沢と白砂川の左岸の沢を継続してアプローチしたいな~と思いました。

渋沢と魚野川は言うに及ばすです。

今、googleで調べたら、車道を26,7km歩いたみたいです。浮いたバス代は1350円。


 

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