■奥美濃/板敷川川浦谷(海ノ溝洞ゴルジュ&本流中流部ゴルジュ)

2011.7.16
鮎島、山崎
 前日金曜日に滋賀出張というオイシイスケジュールもあり、奥美濃随一の名渓といわれる板取川川浦谷のゴルジュ突破2本立て(川浦谷中流部&海の溝洞)を計画した。しかしながら、諸事情により、2日間予定が、1日だけとなってしまった。 まぁ、それでも、それぞれの溯行時間は5時間程度であり、がんばれば1日に両方できなくはないんじゃない?!ということで、両方狙うことにした。

海ノ溝洞最初の2m滝

海の溝洞核心CS滝

本流中流部の渓相

本流中流部ゴルジュ核心の水路
 深夜に岐阜から1時間ちょっとぐらいでついてしまったが、誰もいない。いやー、こんな連日暑く、またそんなに雨も降っておらず、ゴルジュ突破条件には最適で、それでなお奥美濃随一のゴルジュとなれば、他にもたくさんいるだろう!と思っていたのだが、やはり東京と比べると、沢登り人口自体が少ないのかもしれないね☆。ともあれ、満月の下で宴会して寝るが、あぢ〜。眠れねぇぜ。


●海ノ溝洞ゴルジュ
 朝、遊歩道のような林道を進んで、東屋から10mぐらいのところから川浦谷側に下るふみ跡をたどって川浦谷の海の溝洞出合に向かう。最後は懸垂下降10mぐらいで出合に降り立った。
 海の溝洞最初の1m滝を右からへつるが、ヌメヌメじゃ〜。花崗岩ヌルヌル、ここもか〜。まぁ、それでもなんとか越える。(山崎さんは落ちてた)
 続いて、ゴルジュ内の2m滝。ここは少し戻った左のルンゼから巻けなくはなさそうだったが、せっかくなのでじゃんけんに負けた山崎さんがトライ。左壁側をへつったり、泳いだりしていたが、ヌメヌメが激しく、また水勢は激しく、時間がかかる。最終的には、左壁にエイリアンが決まるところがあったらしく、そこに体を安定させた上で、落ち口に向かって投げハンマー!。それでA0をかましながら左壁をきわどくへつるという形で抜け出た。30分以上はかかったんじゃないかな。でも、ひとり突破すればフォローは、楽チン!…と思いきや、そうではなかった。ロープにつかまって、滝下までは簡単なのだが、その滝。2m滝とはいえ、水勢が激しい!!うぉぉ〜〜。山崎さん、そんなに引っ張んないでぇぇ〜〜。はぁはぁはぁ。あやうく、溺れるところだったぜ。結局、これまた10分以上の格闘の末、左壁を慎重にへつって越えました。
 そこから20分程度、フツーに遡行して(といっても腰まで何度も浸かるが)、大きな釜の1m滝。泳いで取り付く??バカ言ってんじゃねぇよ。幸い、左壁にリスがあるので、人工で越えることにすると、残置ありました〜。ありがたく使わせてもらうが、最後の1手だけないので、エイリアン青を使用。なお、このエイリアンは微妙なバランスで引っかかっていただけなので、トップのときは運よく外れなかったが、フォローでは外れてしまっていた。山崎さん、ごめんね。
 その後、一瞬開け、正面にゴルジュ最大の5m滝。っえ、ここをフリーで登った記録があるって?ウソだろぉ〜。山崎さん、ライン見えます??やっぱ、見えないですよね〜。…というわけで、右巻き。いやー、この巻き。ちょっと、子供が生まれたばかりの我が身にはちょっと恐ろしく、何度も山崎さんにスリング垂らしてもらっちゃった…。エヘッ。安全第一ですよ。
 さて、ブヨがメチャ多いが、懸垂下降20mで沢に戻ると、トロがある。っえ〜。ここも泳ぎ突破できるって?!バカ言ってんじゃないす。見る限り、絶対に無理なんですけど。おかしいな〜、最近、まったく雨降っていないはずなんだが、水量、全然少なくないんですけど。いやー、これって水量少ない方なのかな〜。でも、7月の溯行記録はあんまり見ないしなぁ〜。やっぱ、8月とか9月とかの方が溯行適期なんだろう!…ということにしなきゃ困っちゃうの。というわけで、そそくさとあきらめ、左岸まき(これは簡単)。
 すると、この谷の核心とも言うべき「灰色のチョックストーン滝3m」となる。…ここも泳いでCSまでたどりつけったって…。う・そ・だ・ろー。でも、こっちも山登魂随一の変態、山崎さんがおるんじゃい、はははっ!というわけで、山崎さんが泳いだり、左壁にエイリアンを決めたりして頑張る!っが、最後は体が冷えたらしく、もどってきた。実のところ、山崎さんも、どうやら泳ぎだけは得意じゃないらしい。…選手交代。山崎さんが左壁に設置したエイリアンで体を固定し、私もしばらく頑張ったが、まったくわからん。泳ぐにしても、ちょっと水流強すぎるでしょ。というわけで、投げハンマー。こう見えても元野球部なのよ。2回目の投擲で見事にCS左に決まって、A0でCS基部までたどり着き、あとはオポジションでCSにずり上がって、突破できた。荷物を持つとずり上がるのはたいへんらしく、山崎さんにフォローしてもらうのもいろいろ苦労した。
 そのあと、噂の洗濯機滝…。いやー、実はこっちのほうがビビります。いやー、なにせ釜が完璧に渦巻いてて、落ちたら明らかにヤバそうな上に、へつるのがツルツルヌメヌメの壁なんだもん。いやー、順番的に山崎さんでよかった。左岸側の壁に引っかかっている木から1段あがって、ヌメヌメのところでナイフブレードを1本根性で埋め、あとは左岸の壁をへつり滝を越す。おお〜、フォローでよかった。
 そんなんで、ゴルジュを越え、あと一箇所を泳いで越えれば、渓相は明るくなった。どうやらゴルジュは終わったらしい。
 適当に左岸を上がって、林道に出て、海の溝洞終了とした。


●本流中流部ゴルジュ
 林道を30分戻り、今度は本流中流部を遡行すべく、板取川キャンプ場から入渓する。
 入渓点のつり橋には、ギャルとギャル男がなんともグループデートの様相でいちゃいちゃ水遊びしているが、そんななか、怪しいいでたち(とくに鮎島は、ハデハデな蛍光ウェットスーツ着用)のため、完全に好奇の目にさらされるが、もはや、どうでもよい。
 はっきり言って、2本目ともなると、あまりやる気が無く、楽な方へ、楽な方へと進むと、泳ぐのではなくヘツリを多用して進むことになる。というか、よくプカプカ泳いで〜〜という記録があるが、そんなんじゃないぞ。少なくとも、我々が遡行したときには、それなりに流れがあり、見た目的にも泳ぐのは疲れそう!という感じがした。ともあれ、このへつりも部分部分、マジトラバースがあったりる。いやー、ホント、疲れるぜ。記録にはそんな困難もなく、海の溝洞出合に到着とあるが、我々はそこにたどりつくだけでも、けっこう困難でした…。
 さて、ここからが核心部。1mの滝を従えた釜。っえ?右壁から突破できるの??バカ言ってんじゃねぇよ、そんなことしたら死んじゃうぜ…。完全に疲れている二人にはそう見える水量のため、左側から巻いて、懸垂下降10m(鮎島のみ)。
 慎重にヘツって1m滝を越すと、左に曲がってなが〜いトロがある…。とっても疲れそう…っというかもう、疲れた。でも、仕方が無いので、鮎島が泳いだり、飛び込んだりして、都合40mロープを伸ばし、山崎さんをロープで引っ張る。
 次いで、山崎さんがヘツっていくと、「うげぇ〜、なんじゃこりゃ〜」という声が聞こえる。まぁ、来てみろというのでいくと…。
 う・そ・だ・ろ・・・・・・。
 なんじゃこりゃ〜〜。明らかな「核心」という風情で幅わずか2〜3mの岩壁の間を川浦谷の膨大な水が突き抜けているではないか…。目測で長さ70mというところか。見る限り流れもしっかりあり、泳ぎはちょっと無理っぽいので、右壁トラバースするしかないような、まじ勘弁してくれ〜。俺はもう疲れたぜ。山崎兄さん、お願いしますっ!(すいません)
 といういわけで、兄さん(44歳、会社員)は果敢に右壁をトラバースしていき、飛び込んで、這い上がっていく。さらに幅50cm高さ1.5mの垂壁を腕力でマントルした先で、ピッチを切る。トラバースなので、フォローもいやになっちゃう。とくに、マントルのところは、完全ゴボウですわ。そんな姿を、橋の上の観光客にガン見されているのは哀しい。
 そのあとも、残置ハーケンに体重を預けてA0で下り、なおも左トラバース。まったく嫌になっちゃうよね。っというか、記録では、右壁にハーケンベタうちされているという記述があるが、まったく無いのはどうしたものか。まぁ、落ちてもドボンといえばドボンだけれど、体力的に厳しい状況で「振り出しにもどる」というのは避けたいのよね。エイリアンとかロストアローとかを駆使し、なんとかトラバース。あの不死身を誇る兄さんもお疲れのようだ。とにかく、この通過には馬力が必要で、なんとかトラバースし終わったら、2時間たっていた。
 時間は17時前。噂には、この上に100mトロがあるらしいが、冗談じゃない。もう、いやだ!というように合意して、遊歩道に向け、木登り開始。けっこう悪いが、ロープを出すことなく登れたのでよかった。
 そこから駐車地は徒歩30秒。あぁ長い一日だった。
 事前の情報で、海の溝洞がだいたい6時間、本流中流部が4時間ぐらいだから、1日に2つできるじゃん。そう、思ったのが、失敗だった。いや、実際には、確かに、そのコースタイムどおりだったよ。しかし、水に浸かると体力消耗が甚だしいということを忘れていた。とにかく、本流中流部のあの一筋の水路を突破しようとしているときは、二人とも(特に鮎島)、疲労困憊だった。どうりで、2本を1日でやっている記録見ないと思った。あの、ヘンタイ山崎兄さんも、「おかわりしよ〜よ〜」という言葉が皆無だったぜ。
 個人的な感想からいえば、本流中流部のほうがイヤだったし、迫力満点だったな。もちろん、海の溝洞のほうがテクニカルなんだけど、なんとなく「ゴルジュ遊び」という感覚が拭えないのよね。一方の本流中流部はマジだぜ。馬力が必要です。少なくとも丹波川本流みたいなもんという感覚で出向いた私は痛い目に合いました。もっとも、2本目だったからもあるでしょうが…。
 でも、とにかく奥美濃随一の沢というのはうなずけるぐらい、充実した一日を過ごせた。なかなか、素晴らしいゴルジュだった。
 山崎兄さんさん。突発的なお誘いならびに計画変更にもかかわらず、お付き合いありがとうございました。今度は根尾西谷川本流廊下帯(http://nagoya-acc.pepper.jp/kuramisichiri.htm)も行ってみようね☆。もちろん、ちゃんと担いで登る山もぜひ。寺本さんも足が治ったら次回はぜひ〜〜。

2011.7.19 鮎島 筆

【記録】
7月16日(土)晴
 駐車地0645、海の溝洞出合0700、CS滝下1000、海の溝洞遡行終了1230、板敷川キャンプ場1300、海の溝洞出合1340、幅3m水流下1415、終了1650

【使用装備】
 ロープ60m×1、ハーケン(ナイフブレード、ロストアロー)数枚、カム(エイリアン青〜赤)、アブミ1s各自、ライフジャケット各自、ウェットスーツ各自
※ロープは50mぐらいが適当だと思う。60mだと長すぎた。



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