■奥鬼怒/鬼怒川オロオソロシ沢〜鬼怒川根名草沢(下降)

2011年9月10-11日
治田、中館

オロオソロシ沢の初っ端の滝。
水多く迫力有り。右を登る

オロオソロシの連瀑帯でナメ状の滝。
見てのとおり豪快だ

根名草沢を降りると右岸から崩壊の谷に滝が現れる。
何とも壮大だ

根名草沢をさらに下るとまた崩壊の山と沢。
しかし本流は下りやすい
 土曜の朝、久喜駅で治田さんの車にピックアップして貰う。昼行というのに殆ど寝ていなかった中館は舟を漕いでしまう。
 女夫淵温泉駐車場には10時過ぎ頃到着し、10時半頃出発する。

 天気は上々で残暑の厳しい日差しが照り付けていたが、「雷雨注意報が出ている」と治田さんはゲリラ豪雨を心配していた。
 暑い中の登山道歩きは辛いが、樹林内が多いのが救いだ。鬼怒川本流の水量が多いようで、前夜降雨があったのかと思いきや、八丁の小屋の人曰く「昨日も一昨日も降っていないが、ここ1週間ばかり続いた雨のせいで、これでも大分水量が減って来た」とのこと。「源頭部が湿原のため」だなと治田さん。
 八丁の湯で休憩し日光沢温泉を過ぎて12時過ぎ頃「オロオソロシ沢」出合に到着、中館が靴を履き替え、入渓する。

 「オロオソロシノ滝」はネットで調べたら「滝の連ばく帯」となっていたので何とかなるだろうとは思っていたが、「名前が恐そうなので少し不安」に思っていたら、滝名は「恐ろしい」という意味ではないことを治田さんが教えてくれた。しかも治田さんはしっかり遡行図も持っていた。他会の会報なのだろう。迂闊だった、「他会の会報」を読んでこの沢に思いを馳せていたのだろう。自分は最近、その類の資料の読み込みが足りないと、反省。
 オロオソロシ沢は川幅も小振りで「オロオソロシノ連ばく帯」も構えていた程の滝数はなく、岩登り的に登った感のある滝は4つ程しかなかったので少々肩透しを食らわせた感じだったが、赤いナメとナメ滝、滝はどれも美しかった。脆い処もあったりしたが、どれもノーロープで慎重に登った。登山道の横断が「オロオソロシノ滝」の終わりの目印だ。
 時刻は14時前だったか ? 1本取るが、遡行記録を見ながら治田さんは「時刻が早いのと、この沢が小振りであまり開けていない為、本日は稜線迄抜けて、念仏平避難小屋に泊まろう」と言う。小屋なら雨も寒さも凌げるので、時間的に大丈夫なら、勿論だと中館も賛同する。
 一旦平凡なゴーロ状となったが、また小滝が現れたりし、もう終わりかと思っていたところに少し大きめな滝も現れたりして楽しませてくれたが、多少緊張する登りもあったものの、全てノーロープでこなせた。
 二股、二股、二股が3つ位続き、地図と遡行図を確認しながらルートを選んで進む( 一つはインゼル ) と、やがて沢は大きなガレとなった。登攀はないが体力勝負、沢内でも着いて行けないものを、中館は治田さんに遥かに差を付けられた。「途中で登山道が横切っている筈だから」と言っていた治田さんだったが、1本取った後歩き始めて直ぐに「あったよ ! !」叫ぶ。
 ガレの右端を登っていてドン・ピシャリで、治田さんが凄〜く判り辛い登山道を見事に見付けてくれた。2年前の会山行の折に歩いて下山した筈の登山道だったが、登るとなると全く覚えていない。かなりトラバース気味にジグザグと長い長い登りが続いて漸く根名草山山頂に辿り着く。ここでも中館は大幅な遅れ。「あのままガレを詰めていたらまだまた長いガレ登りで、最後は大変な藪漕ぎになっただろう」と治田さん。本当に登山道を見付けてくれて、感謝、感謝、感激です。

 「後は小屋まで稜線漫歩」と足早な治田さんに遅れまいと走る中館だが、度々現れた登高にまたまた遅れを取ってしまった。16時過ぎに何とか小屋に辿り着く。
 念仏平の避難小屋は建替えられたばかり (この小屋は、旧念仏小屋より1400m程上に建てられたと、後で判明。) とのことで樹の香りがして素晴らしい小屋で、おまけに毛布まであり、快適そのものだった。トイレの設置はないがスコップが備え付けてあり、「汚物は穴を掘って土に還してくれ」との注意書きあり。「栃木県に出ていた雷雨注意報は那須方面だったみたいだ」とラジオや空模様から治田さんが安堵した旨を伝える。外の椅子とテーブルで未だ明るいうちからラーメン、炒め物、つまみ、鍋等で宴会していたが、暗くなってから小雨が降って来た為小屋に入り未だ暫く飲酒して話していたが、いつの間にやら治田さんの相槌が聞こえなくなり、ヘッ電を灯したまま沈没していた。ヘッ電だけ消すべく手を出した時に治田さんは目を開けたが、翌朝本人は覚えていないとのこと。平和な小屋での幸せな眠りの様だった。


 日曜日は5時過ぎに起床したが、既に明るくなっていた。昨夜のカップに呑み残していた酒を治田さんは朝になって平らげたそう。ラーメンを食べて、キジを撃って、支度して出発する。
 と、小屋の直ぐ外で、沢に入って以来、初めて登山者に出会う。数秒ズレていたら出会わなかった偶然である。

 登山道を根名草山方面に暫く戻り、尾根を越して沢状になっている処から左に下り始めると、やや急な下りから間もなく沢となってドン・ピシャリで根名草沢に行き当たる。中館はとても治田さんのペースには着いて行けないが、それでも慎重に下降すべき滝等の要所要所では往き同様治田さんは待って居てくれて、懇切丁寧に指導してくれた。
 沢を集め、次第に水量も多くなり、沢らしくなって来る。途中、丸沼温泉への登山道が横切る箇所があるが、気を付けていないと見落とす赤布でかろうじてそれと判るものの、赤布があっても丸沼温泉方面への道の発見は、容易では無かった。昨夜広がった雲が中々取れなかったが、それでも徐々に晴れて来て、根名草沢半ば過ぎにはすっかり晴れ上がった。
 登山道を過ぎてからの「ゴルジュ通過」が核心と少々緊張していたが、思っていたより楽に巻けた。しかし最後に出て来た大滝は、巻き道からはよく見えないが、本流の水を束ねて轟音を立てて落ちる豪快な滝で、戻って見る価値がある立派なものだった。大滝下には台風の影響か ? 多大な岩が堆積しており、通過に手間取った。

 昼前頃、やっとこ日光沢温泉に到着し、トイレ休憩等し、小屋の飼い犬の柴犬母娘、手白沢温泉から出張して来ていた黒犬を構ったり、中館はトイレついでに小屋廊下の写真等を見ていたりして、時間を食う。12時45分頃出発し、流れるような足運びの治田さんに遅れまいとドタドタ走りながら中館も着いて行っていたが、終わり近くの上り坂でブッチ切りに離され、吊り橋を渡った最後の長い登りにバテバテになって、14時20分頃、出発地点である女夫温泉駐車場に辿り着いた。

 天気の良い休日なので渋滞を心配して風呂はおあずけだったが、めしは治田さんお勧めのラーメン屋が2軒ともやっていなかったため「他の (治田さんが) 気になっていた中華屋」に寄ったらここが大当たりで、値段も味も量も (武ちゃん向き) 満足行くものだった ( すみません、店の名前は覚えていません。治田さんに聞いて下さいませ。) 。

記:中館


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