■八ヶ岳/ジョーゴ沢・横岳西壁日の岳稜
2013年3月9-10日
高橋・山崎
例会で高橋さんたちが一ノ倉尾根の計画を出していた。これがどうしても気になって、僕が後からくっつき、挑戦することになった。
3月9日(晴)
美濃戸口からWISH号で林道に侵入すると伊佐見・U号が歩いていたので拾う。ウッキーと乗り込んできたけど50mも走らないうちに轍が深くて進めなくなり、橋のたもとに車を駐車することになった。今期はこの林道2勝2敗だ。
北稜の時間を気にする二人を夕方行者小屋で会おうと見送る。
こちらはゆっくり出発準備をしていたら、山チャンが勝負バイルじゃないほうのDMMを持ってきてしまったことが判明。先週も泊まりのアイス行っててなんで間違うのかねえ。理解に苦しむぜ。とにかく俺は戦力外だしして、赤岩氷柱はやめにしてジョーゴ沢になった。だいたいにして聞いてみると赤岩氷柱は登ったことがあるということだし、ジョーゴ沢はその昔向ったら混んでいて大同心大滝に転進してしまったということじゃないすか。ジョーゴ沢からそこに転進するかっ!
乙女の滝とクリスマスルンゼを山ちゃんがリードしたあとトップロープで5回くらい登らせてもらった。12月の広河原のあとで、せめて装備を供出しないとと生涯初めて買ったスクリュー二本を登りながらねじ込んでみたけど、トップロープでのデビューでスクリュー君に申し訳ない気がした。
ジョーゴ沢のボウル状に開けた谷はスキーで滑っったら気持ちいいいだろう。こんなところが八ヶ岳にあるとは新鮮な驚きだった。
帰り路通りかかった赤岳鉱泉はアイスキャンデーフェスティバルみたいなのをやっていて、ダックスのブースを通りかかったら年季の入った俺のダックスザックを写真撮らせて下さいと言われてしまった。そこにはシモン(ダックスが輸入代理店)のバイルが2本くっついていて感涙ものだったろう。簡単なアンケートに答えたら、17Lと20Lどっちにしますか?色は?え、いいんですか。うれし〜、デイパックもらってしまった!
行者小屋で伊佐見達に峠の向こうの賑わいと”明日は初心者コンペで豪華景品みたいだぜ”と伝えて今日の戦利品を見せたら、U号が山よりそっちの気になってしまって伊佐見が困っていた。なんにせよ一日の行動を終えて山の中で落ち合って、こうして一緒にテントで宴会するのは最高だ。明日も今日に引き続き風が強い予報なので危惧していたが、今日の北稜では大したことがなかったというのを聞いて安心した。年末のショルダーは吹き飛ばされそうな勢いだったからねえ。
3月10日 (曇→雪→みぞれ→雨)
主稜に向う伊佐見とU号を見送って5時半に出発。
中山尾根の第一岩壁が見えてくる樹林帯が切れたところから左の日ノ岳ルンゼに降りる。雪は安定している。
日ノ岳稜の取りつきは3週間前の敗退行で知っているのでトラバースしながらまっすぐ向かったので登り返しもない。とにかくあのときは寒くて前夜のテント内も寒気が抜けず、大雪の降った直後でラッセルも深かった。取りつきもどこが良さそうか左、右と彷徨ってよく1Pだけでも登ったと思うよ。
1P (高)
草付き左上-もろい壁左トラバース-雪壁右上。40m
2P (山)
右上してリッジ通し。45m
3P (高)
既に2Pで下部岩壁終わってるが、安定したビレー点までモナカ雪を踏み抜きながら移動。
ロープを解いて雪稜100mくらい。
4P (山)
上部岩壁始まり。右に少し回り込んだとこの凹状部を左上する形で正面壁に出る。20m
5P (高)
70度くらいのガバフェース。岩は15mくらい
ロープを解いてガスった日ノ岳山頂まで
*いやらしく、ルーファイ迷うのは1P目。技術的核心は4PのワンポイントW級
曇り空。上部岩壁を終えるまでは稜線が見えていたが、ロープを解いたあとガスってきた。風は強かったが気温は高かったので寒さは感じなかった。テンバに戻ってボタ雪が落ちてきた。
テントを撤収してると主稜隊も無事登攀を終えて戻ってきた。さあ向おう、峠の向こうの約束の地に。
重荷に喘いで会場に着くと山ちゃんと伊佐見がアイスキャンデーに登り始めるところだった。U号は張り渡されたロープのこっち側でその足元には缶ビールが既に2缶転がっていた。コンペは残念ながら既に終わっていたがお試し無料体験をやっていた。えぐれたコンペルートを山ちゃんが鮮やかにトップアウトしたあと、伊佐見が平爪アイゼンで粘ってどうにか登りきったが、降りてきてから "パンプしすぎで腕が苦しい〜" と呻いてうずくまってしまった。そんな伊佐見の姿をみて俺は取りつく気もしなくなった。U号はもとより、若い女の子と "良く登れますよね〜"と缶ビール離さずくっちゃべってる。他にそんなやついねーよ。そのために来たかったのかよ。
表彰式に続くじゃんけん大会で山ちゃんはミレー 45+10Lザックをゲット。関西からの高速バスはチャラだろう。うらやまじい。俺も探してたんだよね55Lくらいのザック。あ、でもデイパックもらったか。こっちのパーティは収穫祭だったなあ。さっきからの雪は霰、みぞれ、雨と強風を伴ったものに悪化の一途を辿り、週末の喧噪を終えた寂しい行者小屋の濡れて翻っているであろうテントに戻る二人に哀れを催しながら別れた。これまた勝手な妄想だったことは翌日の中山尾根無事下山メールで思い知ったのだった。
日ノ岳稜、まず他パーティと一緒になることは考えられず、静かに燃えられます。
【装備】
50mロープ一本(上部は左右にエスケープできそうだし、下部は灌木を繋げば退却できそうだったので)、岩のノブに巻いたり、灌木のランナーに使うのでスリング多め。小カムも有効。ハーケン?なくて行けるかっ。因みに山崎さんは登攀中3本指ミトン・・・手袋に迷っていた自分の小ささを思い知りました。
【記録】
3月10日
0530 - 行者小屋テント発、0645 - 取りつき、0940 - 日ノ岳山頂、1030 - 行者小屋戻り
【参考】
*1:原村(1017m)の朝7時の気温 気象庁
2013年2月17日 - 17.4℃
2013年3月10日 + 12.0℃
記)高橋
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