■谷川岳・一ノ倉尾根

2013.3/16
高橋、伊佐見
 例会で高橋さんたちが一ノ倉尾根の計画を出していた。これがどうしても気になって、僕が後からくっつき、挑戦することになった。

一ノ倉沢出合

登ったルート(右が衝立前沢)

γルンゼを登った

γルンゼ
 暗い中、駐車場を出る。今週末は土日ともに快晴の予報だが、高橋さんの情報によると夜だけは天候が悪くなるらしく、ビバーク予定なのにちょっと不安。
 指導センターから先の林道から積雪がある。暗くて見えないが右側は結構落ち込んでいるはずなので滑落しないよう気を使った。
 一ノ倉谷出合に着く頃に明るくなり始める。出合には去年の暮からいるという物好きな爺さん(ヌシ)がおり、「先週の一ノ倉PTは全部下りてきたよ。23℃もあったからな。今日も8時にはグズグズだ」とか不安にさせてくれる。
 他にも続々とPTが来た。左方ルンゼを登るおっちゃん曰く、「一ノ倉尾根は衝立前々沢を詰めるんだよ。俺は30年前に登ったきりだからどこだかわかんねぇけど」らしい。

 とりあえず右岸を進む。尾根下部は地面が見えてしまっていて嫌な感じだったので、さらに上流の支尾根(衝立沢と衝立前沢の中間稜だった)に取付く。完全に明るくなった頃に略奪点から左の衝立沢へ移り、顕著なコルを目指してγルンゼを詰める。すでに真夏のように暑い!コルからロープを出した。


1P目(高橋):
 高橋さんが岩を左のルンゼから巻いて、上からロープを出してくれた。出だしの張り出した腐れ雪壁をフラフラしながら解決する様は見ているこちらが怖かった(それでも解決しちゃうんだからすごいと思う)。

2P目(イサミ):
 雪壁を懸垂岩基部まで。こちらも出だしの積雪が割れていて垂直になっていて、なんだか嫌な感じ。

3P目(高橋):
 岩の左側へ回り込んでA1で7mくらい登る。基部右はビバークポイントとして紹介されている。エイドは途中まで残置支点があるが、中間部で無くなることもあり、一部フリー。全然簡単じゃない!グラグラのピトンを引っ張ったら、ピトン自体がちぎれてしまい、ぶち落ちた。あーいやだ。アブミも残置して、後ろのホカイチさんに回収してもらった。

4P目(イサミ):
 傾斜の落ちたリッジから左のルンゼ(βルンゼの支谷と思われる)を登る。ルンゼへは本来2ヶ所のA1で行けるようだが、左奥の一つはスリングが凍りついて使えなかった。仕方がないので右足はアブミ、左足は笹の上になんとなーく絡ませ、両手カチ、頭上の張り出した岩を避けるようにかがんでトラバースした。水が滴るルンゼは1ポイントエイドで越え、グッズグズの雪壁を登った。

5P目(高橋):
 左にβルンゼを見ながら、3mブッシュの垂壁。


 ここからロープを解いて、βルンゼを詰め、岩稜まで登る。目の前には五ルンゼの頭がそそり立っており、その右側基部へ回り込み、ダイレクトルンゼも飛ばし、幽ノ沢側の雪壁をひたすら登る。まさにフィナーレといった印象だったが、支尾根を挟んで300m近くあるので息が上がった。あとは笹が見え隠れする雪尾根を登ると一ノ倉岳に着く。一日で抜けちゃったぜー。


 「俺はゆっくり歩くよ」という高橋さんを尻目にオキの耳まで。さっきまで「ワンデイだぜ」と元気そうだったのにやっぱり疲れたよなー。
 今日は肩の小屋までだなぁなんて思っていたが、オキの耳に着くなり「下るぞ!ワンデイというからには下りないと駄目だろ。いやぁ西黒尾根を下るための力を温存しておいたんだよ!(高橋)」と手のひらを返すように俄然元気なった。なんだよそれ。早く言ってくれよ!もう終わりかと思っていた僕らは結構な精神的ダメージを喰らい、高橋さんは「俺、西黒20回ぐらい下ったことあるから」と先行して行ったのだった。

 装備はロープ50m2本でピトンは使用しなかった。しかし僕が残置ピトンをちぎってしまったこともあるので、ピトン携行を推します。岩はだぶんV+〜W+ぐらいだと思う。
 1日で抜けたのは下部の第一岩壁とピナクル群を飛ばしたのが多少あるのかもしれない。積雪が少なかったからということにしておこう。そのぶんγルンゼの登攀はかなり時間を食うので場合によっては雪崩の危険が高くなりそう。また下りは雪→ミゾレ→雨と予報どおり悪くなり、びしょびしょで駐車場に着いた。やっぱり谷川は谷川だった。
 とりあえずヌシの情報から予想するに今期一ノ倉尾根第一登だろうし、来週から入山禁止らしいので、僕らは運がよかった言える。誘ってもらえてラッキーでした。

記)イサミ
【行程】
3/15 西国分寺2030 ロープウェイ駐車場2300
3/16 駐車場発0430 一ノ倉谷出合0530 γルンゼのコル0730 一の倉岳1419 オキの耳1523 駐車場1730



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