■平標沢・平標山(新潟・群馬)
2013年3月23日(土) 前夜発日帰り
L鮎島、加藤
東京では桜満開なのですけどねえ…。ここ上越国境稜線は強風、低温、視界不良の三拍子そろったゴールデンな冬山でした。
平標山→仙の倉岳→毛渡沢西俣下降のはずでしたが、荒天のため平標山→平標沢に現地判断で変更しました。なかなかピリリとした山行でした。
今回目指すのは仙の倉岳から毛渡沢西俣下降(結局平標沢に変更)。いかれた山滑り屋なら誰しもいつかは訪れてみたい珠玉ルートだ。
2台体制で前夜土樽に集合してやる気は万全。が、しかし深夜ににゃんと雨ですよ。除雪されていない毛渡沢出合の林道入口の路肩で車中泊。
翌朝、雨は止んで1台デポして元橋へ向かうと、平標山登山道入り口駐車場は除雪済みだった。この時点では群馬側は青空も時に見えていてまあまあな天気だが、見上げれば雲の流れは早く強風が予想できた。
登路はヤカイ沢を直線的にとり、途中からは尾根地形をいった。二股まで複数の大規模デブリが達していて先週からの高温がうかがえた。
二股過ぎてしばらくして(1400m?)板を担ぎ進むと、すぐに雪面は硬くなり、その上部ではアイゼンの必要性があった(この日はもってこなかった←必要装備)。でも仕方ないので少しは良かれと思い「キックステップ・キックステップ」と一歩々々口ずさみつつ蹴り込んで登った。
対岸には全層崩落、自分の周囲には多数数箇所の亀裂、そしてデブリの源とみられる既に崩落した雪の跡が破断面(厚さ4〜5m=積雪量)として見えていて恐ろしい。まあ恐ろしいのだけれど、仕方なくすぐそばの亀裂をうまくかわしながらトラバース気味に頂上めがけて右上すると頂上のちょい西側直下に出た。
でも、そこでは強風で、しかも新潟側の視界は利かず風上に顔を向けると、氷を額に押し付けてるみたいで頭が痛くなる冷たさ。東京では桜満開なのですけどねえ…。不条理ですよね。ここ上越国境稜線は強風、低温、視界不良の三拍子そろったゴールデンな冬山。
目指す仙の倉岳は全く見えず、せっかくだからと風雪の中ガタガタ震えながらしつこく頂上で天候回復を待ってみたものの好転なんかしませんでしたね(笑)。
結局プアーな視界で、しかも低温で雪面がカリカリなので、毛渡沢西俣や西ゼン沢はあきらめ総合判断で平標沢を下降することに変更とした。
平標山から安易に滑ると西ゼン沢にはいってしまう可能性高いので注意が必要だった。実際に滑り出し地形は広く平坦でわかりにくいものだった。(←沢に入ればOK。)視界は10mといったところ。離れないように注意して下降する。体感では滑り出しは傾斜が結構急なものだったが、見えないのでとにかくはっきりしない。ブッシュを掴んで何手か降りたからやっぱり40度くらいあったのでしょうか。
ガス&強風の中「カカッカー! カカッカー!」ってエッジの音があれだけはっきり響いてたからまあ急で硬かったってことですね。
視界のなさが残念でしたが、下降し出せば沢中は意外にも積雪浅いながらパウダーで快適。しかも下部では視界が得られ静寂のツリーランが楽しめて癒されましたね。酷寒・無視界から一転しての快適な滑りで、そのギャップに涙が出そうになりましたよ。
人気ルートが密集するあの界隈で、平標沢はなかなかファーストチョイスにできないですよね。荒天のおかげで経験できない希有ルートを、ゲット!しちゃいました。
【気象まめ知識】
高度100mごとに気温は0.6度下がり、風速1mごとに体感温度は1度下がるといわれます。元橋(1000m)で国道情報表示が気温-2℃だったので、平標山(1984m)では-6℃下がり、-8℃だったことになります。
また頂上ではゴーグルつけないと目が開けにくかったので風速15〜20mくらいとして、体感温度は更に15〜20℃下がっていたことになります。
これでいてこの日東京の桜は満開ですから、すごいギャップ感ありますよね。でも天気は誰にも変えられないからね、山ヤはただそれに寄り添うだけ。まっ、今回も勉強させてもらいました♪
記)加藤
【天候】
曇り→雪、風15〜20m、マイナス10℃くらい
【行程】
前夜毛渡沢出合P(土樽)
毛渡沢出合P-0700平標山登山口P(1000m)-ヤカイ沢-1030/1100平標山-1350毛渡沢出合P(毛渡沢出合)-平標山登山口
山登魂ホームへ