■北ア/鳴沢岳赤沢大斜面滑降

2014.5.10
鮎島、佐藤
 2014年積雪期シーズンも、気づけばもう終わりだ。今年も、それなりに充実した山スキーをすることができたし、娘を担いでの山スキーもそれなりにこなした。でも、何か足りない。そうだ、今シーズン、一度も北アルプスに行ってないやんけ。アルペンムード漂う雰囲気をしばらく感じていない。やっぱり1年に1度は行かないとねぇ…
 というわけで、北アルプスでスキーをしようと考えたが、そのなかでも興味がわいたのが、扇沢周辺の山域だった。なにより、私が山登りを始めて15年になるが、その間で蓮華岳に行ったきり、扇沢周辺の山には無縁だったのである。最近は、これまで無縁だった山域を訪れることでイマジネーションが膨らむことになんかワクワクするのだ。
 扇沢周辺の山、岩小屋沢岳、鳴沢岳、赤沢岳、スバリ岳。うん、マイナーだね。その位置関係が完璧に言える人は、きっと多くないに違いない。私もそうだ。でもアプローチは遠くない。逆に、扇沢まで車が入る頃には近いぐらいで、スキーの記録も多くはないが、それなりにある。
 まずは快適な赤沢大斜面があり、それほど怖くなさそうなルンゼ滑降ができるという鳴沢岳にいこうということで計画を出すと、トーマスさんが乗ってきてくれた!ありがたや。
鳴沢
赤沢大斜面をアイゼンで登っていく
鳴沢
コルに到着
鳴沢
稜線は「マジ冬山の世界
鳴沢
鳴沢岳山頂にて記念撮影
鳴沢
コルにて滑降準備。後ろは剱岳。快晴だ!
鳴沢
ルンゼの滑り出し
鳴沢
ルンゼを滑降する佐藤
鳴沢
ルンゼを滑降する佐藤
鳴沢
滑ったルンゼは右奥。左奥はダイレクトルンゼ
鳴沢
赤沢大斜面の滑降A
鳴沢
赤沢大斜面の滑降A
鳴沢
最後はデブリを避けるように右トラバース
 東京から4時間。深夜2時に扇沢に到着。
 晴れているぜ!と思っていたのは大町まで。扇沢はなんだか霧雨というか、そんな感じ。そんなことより、とにかく風が強い。おかしいなぁ。天気予報はいいのだけれど。朝、起きれば収まるだろう…そう思っていた。。

 しかし、朝、5時におきてもあの強風が収まる気配がない。天気予報とはまったく違う。
 出来る限りの準備は車の中で行い、いざ出発。いやぁ、でも車中泊でよかったと思う。前泊テントだったら、きっと飛ばされていて、初っ端からやる気はうせていただろうからね・・・。
 トーマスさん、シール忘れているし…。


 さて、扇沢から少し歩いて、雪上へ。雪の量は、うーん、例年と比べてどうなのかなぁ。残念ながら、扇沢の残雪量を語れるほど、ここには通っていないのである。
 私は、蓮華大沢以来2回目、トーマスさんもかなり昔に針の木に行って以来らしい。
 …でも、トーマスさん、昔、針の木から白馬まで夏に縦走したことがあるらしい・・・。なぜそのルートで縦走するかなーという感じだが、鳴沢岳はすでに登頂済みらしい。まぁ、でも付き合ってくれるのでうれしいねぇ。
 蓮華岳方面は天気がいいのだが、鳴沢岳のほうはずっと雲にかかったまま。でも、視界は悪くなく、赤沢出合は、一目瞭然で30分程度でついた。

 赤沢に入ると、赤沢岳の屏風尾根を登る方が何名か、いらっしゃった。自分の中ではマイナー尾根だが、登ろうという方いらっしゃるんだなぁ。
 我々は鳴沢岳方面に行くので、赤沢を忠実に進むが、鳴沢岳へ行くには基本、右に右に進む感じ。
 私はシール登高、トーマスさんはツボ足で進むが、それほど大差はないので、私も途中から公平性を期すためツボ足で登った。フリートレックは担いでもそれほど荷物にならないしね。
 ある程度登ると、出合からは隠れていた赤沢大斜面がようやく望めるようになる。いい斜面だね。

 昨日、降ったものなのか、新雪が10〜20cm程度。
 出来るだけ、吹きたまっていないところをアイゼンを利かせて登っていくが、すねまでのラッセル。
 後ろを振り返ると、赤沢岳屏風尾根はロープを出すほどではなさそうだけれど、かっこよく見える。次は、あの屏風尾根から赤沢岳を登って山頂から滑降したいなーと思う感じ。なかなかクライム&ライドの課題って少ないが、ここで発見できたのはうれしい。トーマスさんも同調してくれたしね。来年以降、またどうぞよろしくっす。

 さて、赤沢大斜面をやっとこさアイゼンで登っていくと、今度は鳴沢岳は左側に見える。そこに向かう広いルンゼが見えてきて、あーあれが直登ルンゼか…、まぁ恐怖感なく滑れそうだなぁと思うが、少し登るとそのさらに左に本当(?)に山頂へダイレクトに突き上げるルンゼが見える。そして、そっちは狭いし傾斜強いし、そしてさらにいやーな感じで雪庇があるように見える。
 直登ルンゼそれなのかよ・・・。まじでー。
 登りはダイレクトに登ろうが関係ないので、無理せず右のルンゼに逃げる。が、記録の写真と付き合わせると、どう見てもこの登った広いルンゼが、記録にあった直登ルンゼ。いや、これは直登じゃないでしょ。。。どうなのかなぁ。

 コルにつくと、反対側(黒部川側)はめちゃめちゃ風が強い。頂上への稜線はエビのシッポでいっぱいで、かつ風がビュンビュン啼いており、それはもう、完全に「マジ冬山」の世界。
 参るなーと思いながら、スキーをデポして、アイゼン・ピッケルで向かうと、10分程度で山頂に着いたのでよかった。個人的には途中、アイゼンが外れたときはビビッたけれど。

 なお、ダイレクトルンゼについては雪庇に見えたのは雪壁であって、左のブッシュ帯から行けば登れなくはなかった。でも、滑れるかどうかと尋ねられたら、「われわれの実力じゃ無理だね」というレベル。60度くらいはあるんじゃないかなぁ。雪が緩んでいれば横滑りで…とも思うが、ショートスキーでカリカリの雪質ではムリッしょ。

 さて。あれだけ「マジ冬山」の様相だった山も、山頂につく頃には快晴だ!一気に、天気がよくなったねー。面白いもんだ。
 黒部川側の鳴沢の滑降も楽しそうで惹かれる。でも、さっきまでマジ冬山でカリカリ。今回はすべる気がしない。

 剱岳がきれいだ。
 スキーをデポしたコルまで戻り、休憩していざ滑降。


 ルンゼといっても幅は広く、緊張感はない。
 と思っていたら、傾斜としては40度ぐらいなので、それなりにはあるし、なにより雪質が…。腐り始めた新雪と、カリカリのところが複雑にあって超滑りづらい!
 転倒しても転ぶが、慎重に下って、赤沢大斜面へ。
 でも、ルンゼにありがちな落石の跡などは一切なかった!

 赤沢大斜面は本当に広い斜面で気持ちいいところではあるが、幅3mのところでチョコチョコと小回りターンを繰り返す。でも、フリートレックでの滑降ってそういうものよ。そんな小回りでも滑降中は気持ちいいのよね。もちろん、シュプールを振り返ると、何でこんな大斜面の幅3m程度の狭いところしか使わないんだろうなー、もったいないなーと苦笑するのだが…。

 デブリ地獄を右にトラバースする感じで逃げ、あとはデブリを避けるように進めばあっという間に赤沢出合い。
 ここまでくれば扇沢まであと少し。12時過ぎには車に戻れた。

 今回、すべりはあっという間だったが、けっこう快適で楽しかった。それに、6時間とはいえ充実した。マジ冬山の雰囲気があったからね。
 それよりも、赤沢岳屏風尾根だね。それと頂上からの滑降をセットにしたプチクライム&ライドは魅力的でかつ自然な課題だと思って、いつかやりたいなーと思えたことが収穫。
 いつか、また来ようっと。

 トーマスさん、ありがとうございました。赤沢岳もぜひ!

2014.5.13 鮎島 筆

【記録】
5月10日(土)曇のち快晴
 扇沢0600、コル1000、鳴沢岳1030、ドロップイン1100、扇沢1210

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