7月に梅雨の足尾にいきました。 日本の尾根100選があればそのひとつに間違いなく選ばれるでしょう。 立派なダケカンバが牧歌的笹原にそそり立つ尾根は足尾のアルカディアだ。

■丹平次沢・松木沢(足尾)

2014/07/13(日) 
L伊藤,堀内,大部,加藤

聞いたことも、行ってみたいと思ったこともない、足尾の丹平次沢。 でも不思議。仲間の計画に急遽参加させてもらって、秘峰大平山までとれました。

”ジャンダルムって最近どうなんだろうね。登られてんのかな…”なんて話しながら 丹平次沢の出合までは1時間。出合のちょい奥には立派な滝があり、これまた手頃な ホールドがありかつ安全に登れて、ウォーミングアップとなるし、先々に期待が持てる感じのパート。 こちらは、初めからそんなに長くはない沢らしいと思っているし、かつ手頃な小滝が次々現れ、小さな課題を 順々にこなす感じで楽しめるのです。実に心地いいのです。でもでもー。 ここに限らず足尾の道端には鹿の骨が落ちているのをよく見るのだけれどね、この沢には多いの。 多すぎです。最初はところどころに背骨のひとかけらや、大腿骨がぽろんとあったりした のですが、中流部からはその量と白骨の質はぐっと上がり、1頭分全脊椎フルセットや角付き頭蓋骨など。 死がいのバリエーションは豊富になり、そしてなによりも、滝を登っていて、あっ、あそこのガバとって終わりね。 なんて手を伸ばすと、そこに肋骨が一本ひっかかってて、げって思って、手を引っ込めて、がばのそばのカチ持ちになったりして、 ちょっと鹿の骨で登りのグレードが上がるのですよね。あとなんといっても沢の水ね。意識して脱水ならないようにごくごく 飲んでしばらく進むみ小滝を超えると、あーあやっぱしね。ちょっと予想はしてたけど、水流近くに1頭丸ごとの死骸があるのです。 もう水を腹いっぱい飲んでるからどうにも出来ない分悔しいのね。振り返ると伊藤さんが下流で うまそうにごっくごく水飲んでてさ、ほんとこちらとしては勇気をもらいましたね(笑)。 たぶん昨年冬の大雪で大量に死んだのだと思われるものの、とにかくこの日一日で鹿の死骸は 一生分くらい見た。たぶん50体くらいかな。分解を考えると、盛夏以降のほうが沢は不気味さがなくなると思う。

上部にある滝は核心部で、二段30m。落ち口直下までは簡単にいけるが、水流を上部でトラバースする。 この一手に我々はロープを出した。ほんの数mのトラバだけどね。落ちたらアウトだから。 その後は右岸をまいて落ち口の上に出る。その後悪場もなく次第に細くなった水流を水パック汲んで笹ヤブを 漕いで漕いで行けば稜線に出る。このあたりで雨となりカッパ着てガスの中を進んだ。 気温が低いのと、鹿のせいもあってのどが乾かない。 大平山は平坦な頂稜部にありGPS様のお陰でたどり着いた。もちろん眺望などなくぱっとしない頂上だが、 不思議と頂上看板は有志設置のものがあった。

下りは当初計画は沢下降だったが、登りの手ごたえで尾根下降とした。 鹿の道は薄らあるものの、登山道はないのね。基本的に。 たおやかな尾根な分、ここでもルーファイでGPS様のお世話になってしまった。 ヤブから出てきたバンビちゃんと鉢合わせになって、両者がドキリとしたりするものの、 日本の尾根100選(があれば)のひとつに恥じないきもちのいい笹に覆われた尾根。 立派なダケカンバが牧歌的笹原にそそり立つ尾根は足尾のアルカディアだ。 夏休みにいつも世話をかけてるヨメ&子供を連れてきて、ハンモックをつるして、 オーイ、コーヒーはいったぞおー。なんてやってみたらいいよね。 業績評価は上がるかもしれない。 下りつづけるとやおら立派な安蘇沢林道が現れ、そこからはひたすら歩くだけ。 それにしてもかなり標高の高いところまで林道がきていて驚き。 もちろん林道上にも鹿の死骸は多数ありこのころにはこころが順応してきていて 日常のこととしてただ過ぎていく感じだった。 思ったより長い林道を終えると、親水公園に到着。 出合では、”そんなに長くはない沢らしいと思っているし楽しもう”なんて思っていた自分が恥ずかしくらいに、 いまは消耗して、お腹いっぱいです状態で行動終了となった。 ごちそうまでした。

(加藤)