那須/苦土川大沢左股



日時:2014年7月5日(前夜発日帰り)
メンバー:ナベ、奥村、伊藤、加藤

7月4日
奥村さん、伊藤さん、ナベが国分寺集合。
奥村さんは、普段貯金してきた「家族サービス」を消費してしまったようで誠に申し訳ない(習い事の送り迎えとかで使用するのを、バスにしてもらったそうです)。
そういうことを色々考えると、仕事しながら家庭人でありつつ、しっかり山に登るというのは本当にすごいことだなあと思う。
しかし、ナビがぶっ壊れてて、しかも「地図用意したから」と言って出された地図が国土地理院の20万図だったりと、「しっかり山に登る」どころか深山ダムにたどり着けるかがのっけから危ぶまれる状況。この状況を打開したのは伊藤さんのアイフォーン5であった。アイフォーンすごいね〜。
北道黒磯板室ICで高速を降り、たまたま見つけたコンビニでビールを買い(この一軒しかなかった)、深山ダムへ。ダムサイトにて加藤さんと合流、霧雨の降る中、便所の中で入山祝い。

7月5日 小雨時々曇り
5:30起床 6:50林道出発 7:50入渓(堰堤終了点) 8:05西沢出合 8:35F1 二股10:10二股 11:30大滝上 13:40大倉山山頂付近登山道 14:55大峠 
16:20三斗小屋宿跡 17:25駐車スペース


朝から小雨。撤収して林道に侵入するが、昭文社マップの「一般車両進入禁止」に恐れをなし、大川と大沢の分岐からほんの少し大沢沿いに走らせたところの広い路肩に停める。
三斗小屋宿跡方面への林道(会津中街道というらしいと後で知った)と別れ、大沢に十数個ある堰堤を右手に見ながら林道を歩く。林道は最後の1個の前で跡切れ、この1個は左側から巻く。
いよいよ入渓。気温は低く、小雨だが、なんとなく井戸沢がそれほど難しくないという話から、大沢もこれくらいの天気でも登れるだろうと高を括っているところがあった。

すぐに西沢出合。それからもハッキリ言って「荒れた」という印象しか受けない河原を歩く。う〜む。これは外れか?と思うようになるころに、最初の7m滝に着く。ここからは滝のオンパレードで一気に楽しくなる。固い花崗岩で、ありがたいことに、ここぞというところにカチやガバがあるため、非常に楽しい。しかしヌメりは多く、フエルトタビ&軍手(純木綿の高級品)が最大限効果を発揮した。加藤さんは一人アクアステルスで来ていたが大きくスリップすることなく登れていたので、なんとかなるレベルではあるのだろうが。

15m滝(F3)は左のルンぜから、その後の樋状滝(F5くらい)は右手からザイルを出して登る。コンディションが良く、足並みが揃っていれば樋状滝ではザイルは要らないかもしれない。
システムは50mロープ1本をフィックスし真ん中2人がユマール、ラストはフォロー登り。

やがて二股。二股にかかる左股15mナメ滝はなかなか大きく、ザイルを出して左壁から草付を使って抜け口へ。

このあと小滝をいくつか越える。奥村さんは寒い中カッパも着ずにシャワークライムで突破を連発し、「やはり兵(つわもの)はちがう」と唸らせるものがあった。ほか三人は寒いので登りやすいところを普通に登る。確か1か所、滝の右巻きで渋かったところがあった。ついノーザイルで突っ込んでしまったが、倒木が非常に邪魔かつ危険であった。おそらく雪か大雨で崩壊したためであろう。滝の左側も登れそうだった。

やがて40m大滝。迫力がある。ちなみの大滝の対岸の岩場はつい最近崩壊したようで、大滝下流側は堆積した岩がすごいことになっている。こんなのが崩れる瞬間にいたらお陀仏である。

今回、ナベ以外の三人はリードに拘らない派だったので、ここもありがたくリードさせていただく。水流右のリッジに取り付く。すぐに行き詰まり、いったん水流側に出て一段登るが、水圧が激しくとてもそのまま直上はできない。ここから右トラバースの一歩が渋かった。まだノープロなので踏ん切りがつかず、モチヅキ縦ハーケンをぶち込んでエイヤッで越える。リッジとその右の凹角の上りやすいところを使いながらぐんぐん高度を上げる。岩が固く、よく探すとカチガバがいい具合にあり見た目ほど難しくない。ところどころ残置やカムでランニングも取れる。最後の抜け口が渋く行き詰まりかけるが、キョンだかステミングだかが上手いことハマって無事抜けることができた。登りでカムを使ってしまい、残りの1個だけでビレイするのもどうかと思い、灌木で補強したが時間がかかってしまった。

大滝を越えると源頭の雰囲気。岩床の両側から笹が突き出ている。小滝をいくつか越え、やがて水が涸れる。

涸れてから出だしは藪と言うより草付で、こういうのに慣れていない伊藤さんが非常に難儀していた。
左に涸れ沢が見えたのでそちらに逃げると安定した藪になった。丈は胸〜腰程度で、ほぼ笹だけなのでたいしたことはない。その後はしばらく藪漕ぎ。だんだん傾斜が緩きなってきて楽になる代わりに、ハイマツやシャクナゲが混じりだしてうっとうしくなってくる。山頂とおぼしき水平な場所に出ても登山道がないため不安になったが、すぐに奥村さんが登山道を発見してほっとした。

稜線に出ると寒い。谷川とかだとこのまま遭難するのだろうが、幸い我々はまだ半日も行動しておらず、吹き付ける風はそよ風だったので、問題となるほどではなかった。というか、奥村さんなど終始カッパ・ヤッケ等ナイロンの世話にはならなかった。確か俺も加藤さんも伊藤さんもヤッケ・カッパ着こんでも寒いなあとか言ってた気がするが…途中流石山で大学ワンゲルとおぼしきパーティとであう。雨を完全に撥水している新品ゴアテックスがうらやましい。

大峠まで標高を下すとだいぶ暖かくなり、峠から先樹林帯に入ると一安心。
確か峠沢の渡渉をしてからだったと記憶しているが、地図に載ってない分岐があり、片方はもちろん地図通り三斗温泉方面へ続いているが、もう片方は峠沢沿いに続いており、よく見ると看板にその峠沢沿いの道を書き込んだ2万5千図が貼り付けてあって、三斗小屋宿方面に下山しようとする我々にとってはものすごいショートカットである。ありがたく峠沢沿いに下る。よく踏まれておりところどころ刈り払いもされていた。

しかし、渡渉点(この渡渉点は今から考えると井戸沢か)では丸木橋が流出しているうえ赤テープに類するものが何もないためちょっと迷った。
結果として、渡渉してそのまま下流側に岩をへつるとすぐに対岸の道に出た。それにしてもこの道、ところどころ明るい杉木立があり、気持ちがいい。焚火したくなるような広いところもある。
やがて吊り橋が左下に見えるようになると、すぐに林道に飛び出し、林道を下ると三斗小屋宿跡と吊り橋の間に出る。
三斗小屋宿跡で休憩し、林道を歩いて車に戻る。天気悪い中よく頑張りました!
時間的に結構遅かったので飯はコンビニということにして、大正村幸乃湯温泉に浸かる。これが実にナイスなうえに500円。
温泉駐車場で解散。


・ヌメりが激しいので、足回りはフエルトをお勧めする。ただし、沢が終わってからの草付登りと藪漕ぎではアクアステルスの方が有効。そして下山が長い。重量との兼ね合いだが、水が涸れたらアクアステルスに履き替えるという手もある。
・全体として、ビレイ点として都合のいい灌木は沢床から一段上にあり使いづらい。ザイル使用を前提とするなら、ハーケンやカム小の持参をお勧めする。今回キャメロットC4の#0.4、0,5、0.75を持参したがかなり活躍した。0.4の下サイズをもう1〜2個持ってくれば不足はないと思う。ビレイ点ではたまに川床の岩とかも使えたので、リードは長めのスリングを多めに持ってくといい。


↓F1を登る奥村さん
F1を登る奥村さん

↓大沢下部
大沢下部

↓樋状滝
樋状滝

大沢左股出だしのナメ滝を登る伊藤さん
大沢左股出だしのナメ滝を登る伊藤さん

右から巻いたら悪かった滝
右から巻いたら悪かった滝

シャワークライムする奥村さん
シャワークライムする奥村さん

大滝を登りガッツポーズの加藤さん
_大滝を登りガッツポーズの加藤さん



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