北信/天狗原山スキー


天狗原山track

2015.2.21
小谷温泉〜天狗原山〜浅海川下降
佐野、佐藤

一泊二日で行きたいところがあったのだが、またしても天気が微妙だ。土曜日メインの日帰り2本で考えることにし、メインの行先として浮上したのが天狗原山だった。 以前から佐野さんが天狗原山に行きたいと言っていたが、ネットの記録を見ると下山が夜になっていたりしているので「なんだかきついらしいよ」と後回しにしていたのだった。しかし最近の山、とくに乙妻山の日帰りで、今の我々の行動スピードと、この時期の日の長さであれば、十分日中の日帰りが可能と思えた。土曜日は一日中天気は良い。ということで天狗原山に行くことに決めた。

山田旅館手前のスノーシェッドに車を止めスタート。ちなみに山田旅館は工事中で日帰り入浴のみの営業だった。先行トレースがあるので追いかけていく。単独のようだ。トレースはやがて林道から離れ尾根に登っているが、取り付きとして考えていた尾根より一つ手前の尾根だ。ちょっと迷ったけど、長いルートなのでトレースを利用して体力の温存に務めることにする。ここで単独の男性が追いついてきた。「トレースが無かったらやめようと思ってました」って言うけど、確かに単独フルラッセルじゃ難しいだろう。トレースを辿って稜線へ。むちゃくちゃ暑いので服を限界まで脱ぐ。1450mくらいでトレースの主に追いついた。5:30発だったそうだが、山頂には立てないかもと言っている。実際、山頂でのんびりしていても追いついてこなかったので、引き返してしまったのだろうか。ともかくこの方のおかげで我々はだいぶ助かった。

それ以降も、地形が複雑なので効率的に登るためには、ルートファインディングに注意が必要だ。例の後から来た男性にも一度ラッセルをしてもらったものの、結局大部分は我々二人で交代しながら順調に山頂に立った。といっても時刻は14:00。予定通りだが7時間の登りは疲れた〜。景色がすばらしく、つい長居してしまう。単独の男性も山頂に到着した。今日天狗原山山頂に立ったのは、我々二人とこの男性の3人だけだろう。

さて、我々は浅海川へドロップイン。単独の男性は往路を下降のようだ。浅海川の上部の雰囲気はすばらしい。この一言につきる。他の記録からはこの雰囲気は想像できなかったので、期待以上だったということもあるだろう。「うわあ、綺麗だなあ」「この先もっとすごいよ」「ほんとだ、すげー」みたいな感じだった。不思議な雰囲気に感動して、嬉しくて楽しくて、興奮した。パウダーではないし、そもそも傾斜がない。ターンをビシバシきめるような滑降の楽しさはない。でも、ただ美しくて、このわずかなセクションだけでそれまでの登りの苦労が十分に報わたと感じた。

標高1660mで右岸のコルを乗越し、右岸尾根を下降する予定であったが、コルへの登りが雪崩そうで恐ろしい。そこで尾根状からコルの少し先の小ピークへ上がった。このひと登り(80m)が、きついいいい。一気に登れると思ったのにどうやら思っている以上に疲れていたようでペースが落ちていき、佐野さんもさっさと代われと言ってたか言わなかったか、残り20mくらいで交代した。

右岸尾根の下降は雪が腐り厄介だ。いい感じの傾斜で、いい感じの密度のブナ林なので雪の良いときならばここも楽しい滑りとなるのだろう。尾根の途中から中海川の平坦地へ降りることにする。ここは急斜面で谷筋は雪崩が頻発しているので要注意だ。デブリを慎重に1人づつ滑り降りる。

この先、林道に出るにはどうしたらよいのだろうか?そういえば他の記録で失敗したとか書かれていたものがあった気がする。朝もなにも考えずに通過してしまったので、状況がわからない。記憶では橋の周りは急斜面となっていたような。橋より手前で対岸に上がれないか?渡渉はできるのだろうか? 終盤となり判断力、集中力も低下している。やばい、嵌りそう。不安いっぱいな中降りて行くと、対岸は登るのは無理な感じの雪壁なので、やはり沢に沿って橋へ向かう。手前で右岸へ渡って進むと林道に戻れた。杞憂だったが、今回の山行でここが一番不安だったかもしれない。

林道に出ると、共に山頂に立った単独の男性が降りてきた。往路の下降も雪が悪く、また、こまかい登り返しがあって時間がかかったそうだ。

やった!大満足だ。 それにしても長かった。しかも、体力、ルートファインディングの技術ともにフルに使った気がする。そして、朝海川は美しかった。あの光景を見ることができたことで満足度がものすごい。充実感でいっぱいだ。今回も全力の山行だった。いわゆるバックカントリースキーとは違うスキーの機動力を生かした登山だった。こういうの、やっぱり好きなんだなあ。長くてハードだからということではない。美しさと楽しさがあって、それが私のツボにはまったのだ。こういう山行を提案してくれ、ともに楽しんでくれた佐野さんに感謝だ。

2015.3.2 佐藤益弘

【記録】

小谷温泉0700 - 雨飾荘0745 - 山頂1400 - 滑降開始1430 - 浅海川1660m(登り返し)1500 -中海川平坦地1615 - 小谷温泉1715

【写真】


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