北ア/奥穂高岳 ジャンダルム飛騨尾根


【メンバー】

高橋、佐野、細谷

【日程】

2015年4月24日〜26日

【報告】

4/24、天気:快晴

9時新穂高温泉駐車場〜14時天狗沢出合、テント泊

ジャンダルム飛騨尾根は、高橋さんが錫杖岳を登りに行った際、ジャンダルムに向かって一直線に登っている尾根が気にいって選んだルートである。稜線は、乱杭歯の山容を見せ、穂高山域にあっては特異であり、異容である。

新穂高温泉の登山者用無料駐車場を出発して、右股林道を穂高平小屋、白出沢出合へと進み、ここから一般路を登った。今シーズンの先行パーティはないようなので、緩い尾根を外さないように進み、西穂沢が間近になった辺りから白出沢に下りた。デブリの上を選びながら進み、天狗沢の出合に着いた。早速、テン場作りを始めたが、デブリが氷っていて1時間以上かかった。翌朝の取り付きルートも確認した。

4/25、天気:快晴

4時テント場〜11時ジャンダルム〜奥穂〜14:30穂高岳山荘〜17時テント場

ヘッデンを点けて未明の出発。天狗沢を少し登ると、後方に後続パーティの明かりが見えた。明るくなってわかったが、3人のガイドパーティだった。こちらは、天狗沢からD尾根に上がっていった。D尾根の雪壁が続き、向こう脛が張ってきた。スリップしたら、止まることなくかなり落ちるので緊張し通しだった。先頭の佐野さんはスピードで登っていく。そのスピードは、帰幕した後、高橋さんが『佐野さんに殺されるかと思ったよ。』と語るほどのものだった。その佐野さんは飛騨尾根の乱杭歯を目印にして、スピードでγ沢をトラバースして、飛騨尾根に移っていった。

飛騨尾根に乗ると、雪が少なく、はい松を漕いで行った。岩稜が顕著になった地点でロープを出した。1P〜4Pでジャンダルム頂上まで、高橋さんがリードした。カムを使い、スピードがあった。V,W位。佐野さん、細谷はフォロアーだった。3000メートルの稜線でのクライミングは、十分、高度感があった。ジャンの頂上は一般路が巻き道になっていて、規制して登らせないようになっている所だ。U。ジャンダルムの頂上では、エンゼルの道標の前で握手し写真を撮った。ここから奥穂までの懸垂とナイフリッジが核心という記録がある。いやな所だろうと想像はしていた。ジャンからの懸垂は太い支点ロープがあり、傾斜は緩かった。しかし、細谷の懸垂具では、8ミリのロープは滑り過ぎという感じがした。懸垂が終わると、ロバの耳までナイフリッジだった。佐野さんは苦もなく進んでいるように見えたが、細谷はステップを崩さないように慎重に進んだ。ロバの耳の懸垂は40+25mの2P。1P目ダブルロープにして距離がとれるようにして、高橋さんが懸垂していった。時間が掛かっていたので、どうしたのか心配したが、実際懸垂してみた所、垂直の凹角内を懸垂した後、右斜め下に降りて行くものだった。細谷は、プルージックでセルフレスキューをとっておいたのが正解だった。2P目はロープが途中でひっかかって、高橋さんは2回登り返した。奥穂頂上に着いた時はホッとした。ここからの核心は、穂高岳山荘直前の下りであるのを知っていた。高度感はあるし、向こう脛は張っていたので、クライミングダウンはしたくなかったが、最後の力を出して、思い切り蹴り込んだ。後続パーティは、懸垂支点から懸垂していたが、正解だった。前もって知っていたら、安心して下れたのに…。

山荘前でしばらく休憩した後、白出沢を一直線に降りて行った。白出大滝は懸垂かと案じていた所、前日入山してきてテント泊していた女性登山者がテントから出て来て、一般路を教えてくれた。最後は、藪漕ぎしながら沢に降り立ち、テントに戻れた。13時間は、かなり疲れた。細谷は、遅れて心配をかけたので、水汲みを買って出た。

4/26、天気:快晴

6時、テント場〜9時、駐車場

デブリを選びながら下った。下山路は、尾根に登り返さず沢伝いに進み、林道を通って駐車場に戻った。

【装備】

ダブルロープ50mx2本、マスターカム。(ハーケン&スノーバーも持って行ったが今回のコンデションでは使わず)

記) 細谷


4月半ばからの雨により融雪が早く、例年の同時期より大分積雪が少ないようです。 連日の晴天に恵まれましたが3,000mでのクライミングは風が吹くとやはり寒く、 行動中は中綿ジャケット&冬用アウターで調度よかったです。

私もとうとう奥穂高を登り、ゲット100名山に追加です。槍穂かあ・・感慨深い

(高橋)

【写真】

飛騨尾根

1. 初日アプローチの途中で飛騨尾根の全貌が見えてきた。真ん中の顕著な岩峰 (ジャンダルムはその裏で隠れている)から右下に降りる黒い岩稜が飛騨尾根。 ルー トは正面疎林の雪壁を(D)尾根に上り、(γ)ルンゼを右に横断し飛騨尾根に 突き上げている枝ルンゼのうち一番下のものを登った。

飛騨尾根アプローチ

2. 翌日ヘッデンで出発。近づいてきた飛騨尾根。今いるD尾根をそのままたどる と左隣のピーク(F尾根の頭)につながり、ギャップの先は飛騨尾根T2がそそ り 立っている。ので早めに右にトラバース。

笠ヶ岳

3. ふり返ると笠ヶ岳、抜戸の稜線に朝日があたってきた。

行動中

4. 行動中、某カメラマンから基本的に常に見下ろされて、且つ待たれている二人。

雷鳥

5. 白から夏毛へ移行中の雷鳥。

飛騨尾根の登攀

6. 飛騨尾根登攀中。

ジャンダルム最終ピッチ

7. ジャンダルムへの最終ピッチ。

ジャンダルム頂上

8. 天使が舞うジャン頂上3,163m。奥穂3,190mまでまだ遠い。

飛騨尾根

9. ジャンからを懸垂して振り返る。右に落ちている岩稜が飛騨尾根。

ロバの耳の懸垂

10. ロバの耳も懸垂40m + 25mで通過。

奥穂高岳頂上

11. 奥穂岳頂上。その日のうちに白出沢経由帰幕し、3日目に新穂高温泉へのんびり下山。

赤沢山

12. 番外: 画面中央右の赤茶けた異質の壁が噂の赤沢山だ。

写真:佐野、写真コメント:高橋