台高/宮川大杉谷堂倉谷

2015/8/14〜15 (8/13発、8/16帰宅)
L佐藤、鈴木、成田、佐野

今年のお盆は、かねてから鈴木ひでさんが狙っている黒部の某沢に行く予定であったが、頭上を低気圧が通過する予報なので中止。仕切り直して、関西方面を目指すことにした。リーダーもひでさんから佐藤にバトンタッチ。

漠然と紀伊半島のどこかに行きたい。しかし、どこに行っていいかわからない。いろいろと本やネットを調べたが、美しい写真を見た覚えのあった堂倉谷に行くことにした。台高山脈エリアということは初めて知った。そうか、大台ヶ原か、聞いたことあるぞ、なんか良さそうじゃん。

8月13日

神保町に寄り、地形図とエアリアマップを買って、秀さん宅に向かう。この大台ヶ原のエアリアマップは、すばらしいことに、堂倉谷のガイドと遡行図ついているし、裏面に1/25000の拡大地図がある。おお、大台ケ原って100名山だったのか。ラッキー。

秀さん宅17時過ぎ集合で現地へ向かう。名阪国道経由で現地へ向かうが途中のダムの駐車場で仮眠。ハイペースで飲み、そのまま寝たら雨が降ってきたのでテントに移動。朝起きたらクーラーボックスに「8時には片付けて下さいね!」と優しいお言葉のメモが貼られていた。遠方の車だから大目に見てくれたのだろうか。

8月14日

大台ヶ原へ向かうもいつのまにか峠を越え、気がつけば池原ダム方面に降りている。あれれ?ということで戻る。30分くらいロス。大台ヶ原駐車上に着くとすでに暑い。

登山道というか遊歩道を歩く。そういえばテレビで見たことのある森の雰囲気。そうか、これが大台ヶ原か。なんだか上品な森に感動ししつつ、日出ヶ岳の山頂へ。思ったよりしんどくてバテバテになってしまった。とにかく暑い。やや霞んでいるものの展望は良い。知らない山ばかりだが、案内板を頼りに大峰の山々の形を頭に入れる。

急ぐことはないので、のんびり下降し、さらに予定の大杉谷下部探索を省略してとっとと入渓することにする。やる気ないのか、なんて指摘するものは誰もいない。他のメンバーは知らないが、少なくとも私はバテバテだったのだ。しかし、出合いのの堂倉滝は立派で釜もでかく、期待が高まる。

沢に入ってしまえばこっちのものよ、と思ったが、まず、高巻き。これが右岸を早めに登ってみると、岸壁に阻まれ、左へと迂回していくと立派な道(!)に出合いレールのあるテッペンに立つ。しかし今度は下降路がわからない。レールをたどるとどこに向かってしまうかわからないので、テッペンからすぐの急傾斜の谷状を適当に下り、懸垂1ピッチで降りた。しかし、一本先の谷にフィックスロープが下がっていた。ちなみにちゃんと資料を読むと、この巻きは詳しく書いてあったりする。

結果的にロープを出したのはここだけだったが、出だしから、感覚のわからない谷だな、と思った。関東周辺の沢とは違う何かを感じ、「初心者になったつもりで行きましょう」と言ったが、見た目と実際が一致しないちぐはぐな感覚があったのだ。しかし、そのズレは、大渓流の見た目からの想定と比べてはるかに容易というものだった。

それにしても、水は綺麗で、釜もナメを綺麗だ。これだよこれ!水が綺麗だし、水温も高い。流れも弱い。天気にも恵まれ、とにかく綺麗としか言えない。それが全て。

滝を越え、巨岩帯をしばらく進むと、でっかいヌメヌメのナメ滝のところで先行パーティーに追いついた。右にに残置シュリンゲがあるが、なんだか怖そうなので、私は滝を横切って左から登った。 巨岩帯を抜けるとアザミ沢出合いだ。ここにはテンバがあって、流木も豊富。もう少し進んでもよかったがもう15時なので泊まることにする。 一通り泊まりの準備と焚き火の着火を終えると、先ほど抜かしたパーティーが追いついてきた。 テント場を探していたが、このあたりには他にいいところはなく、結局、対岸にテントを張って泊まったようだ。ちなみに翌日分かったが40分くらい進むと堰堤があってその先は河原となりどこでも泊まれる。

テンバの前には淵があり、泳いで遊んだ。焚き火のそばで寝転ぶと、天の川がよく見える。調度、白鳥座がよく見える体制だった。飛行機が頻繁に見えていたが、流れ星も一回見えた。

8月15日

明け方はかなり冷え込んだ。ひでさんは焚火のそばで寝ていたが、珍しく、シュラフカバーや雨具などを着込み完全武装して寝ていた。乾燥した細い薪ばかりなので焚火の持ちが悪く、夜通し何度も起きて薪をくべ続けたそうだ。おかげで朝からたき火ができだ。

また、しらばく、泳ぎを伴う楽しい遡行が続く。水の色がとても綺麗だ。もったいなくて、わざわざ泳いでしまう。本当にいいよ!楽しいよ!

堰堤を超えると伏流となる。どうやら堰堤の下までが下部のハイライトのようだ。すぐに、水が出てくる。しかし、林道を超えてもまだまだ河原歩きだ。ただし、魚影はこのあたりから濃くなってくる。またオタマジャクシもうじゃうじゃ。あいかわらず水は綺麗。

二俣を過ぎしらばく行くと、ゴルジュとなるが、容易。ここまで全く標高を稼いでいないのでどうなるのか、と思ったが、ちゃんと連縛帯がでてくる。気がつけばひでさんが先頭に立っており、平地の早歩きと同じペースで滝を登っていく。しかも、みんな同じペースで登る。帰りに尾鷲でうまいもの食おうなどと話していたが、早くうまいもの食いたいってことか? このペースおかしいよ、足が攣る、って思ってたのは私だけだろうか。みんな早いよー。下山後3日間くらい筋肉痛が治らなかった。

稜線に近づくにつれ、鹿よけの網があちこちに見られるようになる。やがて丈の低い笹原の稜線に出た。案内板に書いてあったけど伊勢湾台風で木が倒されまくって今の姿になったらしい。それにしても上品な森だな、とまた思った。素人目に、苔、笹、木みたいな感じで、植生が単純で藪っぽくない。特に笹原が今までに見たことのない綺麗さなんだよね。越後や東北のクマザサや、近所の藪の笹はもちろん、奥多摩や秩父、足尾の笹とも違う、とにかく青々としていて、葉が多く、涸れた葉や茎が少ない。案内板に枝からの葉の出方の違う笹だと書かれていた。印象深かったが、笹の名前は忘れてしまった。そんな観察をしていたら、みんなから遅れてしまった。

帰りは尾鷲経由で、魚を食べて帰った。割烹田舎。とてもおいしかった。帰りは、尾鷲19:00発、神奈川県大和のひでさん宅午前2:00前着で飲み直し。

夏の空、白い岩盤、透き通った水、苔、笹、木、とにかく綺麗だった。紀伊半島の沢にはぜひまた行きたい。なんとなく5月のGWに行くものと思っていたけれど、夏もいいね。実働一泊二日となってしまったけど、いつものバタバタの週末の山とは違うのんびりとした旅行みたいな感じで楽しかったなあ。夏の良い思い出です。

2015.8.30 佐藤益弘

【記録】

8/14 大台ヶ原9:45〜日出ヶ岳10:30〜堂倉谷出合13:00〜アザミ谷出合15:00泊
8/15 発7:20〜堰堤8:00〜林道9:00〜二俣10:30〜稜線13:00〜大台ヶ原13:30

【写真】