奥武蔵/荒川支流安川谷(川浦谷)本谷


期間:2016年8月28日
メンツ:ナベ(記)・伊佐見
形態:沢登り
時間:
8:30ごろ 川浦渓谷左岸林道のゲート発 - 9:00ごろ 秩父橋 - 9:40七つ瀑入り口 - 10:00 いったん開ける(崩壊地) - 10:10 七つ瀑奥のゴルジュ入り口 - 11:05 巨大CS滝の前衛滝下 - 12:10 巨大CS滝下 - 13:20 巨大CS滝上(七つ瀑突破)- 15:10右俣入ってすぐの15m滝から左岸の仕事道に上がる - 17:38駐車場
※Fナンバーは偉大な先人たちに敬意を表して、 http://tokoukaikura.net/index-sankoureport/report1989/kawaurahontani1989/(登高会ー)の呼称に従った。

伊佐見がMLで「日帰りでどっかないっすか?」というので、「いいのあるよ〜」と渋谷の麻○売ってるイラン人の如く近郊ゴルジュリストを返信。
リストの中のイチオシは西上州・神流川の○○○沢であるが(途中までは遡行済み)、実はその中にはもちろん、俺の行きたいリストも入れていた。奥武蔵の険谷と名高い川浦渓谷(川浦谷)。
まだ未踏らしいというのはその日にググって知ったことであるが、まあ場所的に誰かが登ってて、発表していないだけかも知れない。ともあれ、前の週に称名川ザクロ谷をサクっと片付けてきた伊佐見様を先頭に押し立てれば楽勝であろう。
天気予報が悪いだけに、パートナーなんか俺以外見つかる筈もなく、そして○○○沢は俺は途中までトレース済みなので、「ナベさんの行きたいとこでいいっす」となるに違いない。
まだまだ世知辛さを味わっていない伊佐見は案の定、俺の疑似餌に引っかかった。

集合場所の入間市駅ではロータリーで既に傘をさしている人が大半で、本当にこんな天気で沢登りするのかと憂鬱になる。

川浦林道のゲートは、広いUターン用スペースといった感じで、おそらく4台も停めれば一杯(Uターン不能)であろう。先行が1台おり、釣り師が先行しているものと思われた。

準備しているともう一台来て、若い釣り師が降りて挨拶しに来た。

釣「どこを行かれるんですか?」
俺「本流を、七つ瀑突破狙いで」
釣「どこまで行かれるんですか?」
俺「時間次第ですかね〜、できれば稜線まで上がりたいんですが。なるべく釜とか入らないようにしますんで」
釣「あ、自分早いからいいですよ

なかなか小生意気な事をほざく釣り師である。こちらが遠慮すると言っているものを…
しかし言うだけあって歩くのは早く、コースタイム40分で秩父橋のところ30分で歩いた我々とほぼ同じ(準備の時間を含めればもっと早い)であった。
入渓してしまうと、沢沿いに歩きたい我々と、いいポイントで釣りたい彼とでは歩き方が違っており、水流沿いを歩き始めた我々は速攻で抜かれた後、シアン沢出合前後で竿を出している彼を速攻で抜いた。

やがてネットの写真とかで出ていた「昔釘が刺さった流木伝いに登った釜」が出てきたが、全然浅く(腰位まで)、特に問題なし。その後も似たような小滝が連続するが問題なし。増水しているので絶対に水流沿いは攻めれないが、幸いそういうラインどりをする必要はなかった。

<七つ瀑入り口>
七つ瀑入り口
<七つ瀑前半戦・こうしてみるとそれなりに悪そうだが、後半に比べれば遊び>
七つ瀑前半戦2

やがて左岸の崩壊地形によりいったん沢が開ける。

それを過ぎると、いよいよ七つ瀑核心帯。左壁にフィックスがだらしなく垂れ下っている。

<七つ瀑後半戦入り口>
<七つ瀑後半戦入り口の滝(登高会ーさんの呼称に倣うとF1)>
七つ瀑後半戦1

F1は難なく登れた(と記憶する)

次が難関で、一見弱点の無いF2・直瀑約10m。
http://tokoukaikura.net/index-sankoureport/report1989/kawaurahontani1989/
↑登高会ーさんの記録によると左壁が登れるとのことだが、ホンマかいな?ナベが取り付くもあっという間にはじき返される。伊佐見がクライミングシューズに履き替えて挑戦。すると…
途中からよく効いた残置がビシバシで、オランウータンスタイルで登る(W・A0)。最初に打った奴すげーよ。
チャートっぽいのでカチガバが適度にあり、リスもあるが、傾斜は強く、カムは効かない。もし完全にクリーンな状態ならば、ハーケン1本目を打つまで&その後の時間消費が勝負であろう。

<傾斜の強いF2>
奥武蔵安川谷(川浦渓谷)七つ瀑F2

これを越えると、沢がカクっと右に曲がり、その曲がり角に5mの幅広滝。平水ならば右寄りにサクッと越えられるのだろうが、我々はモロシャワーで、二人とも危うく寒さで落ちそうになった。

<寒かったF3>
川浦谷七つ瀑F3を越える

そしてその後には、とんでもなく白濁した前衛小滝&釜と、その奥に鎮座する超巨大CS滝15mが…
今にもCSごと落ちてきそうな水量に二人してビビる。両岸も軽く50mは切り立っていそうなビッグゴルジュで、呑まれそうだ。
一瞬「えっ、これ行くの?」という雰囲気もあったが、さすがザクロ帰りの勇者と、末期的酔っ払いのコンビ、「とりあえず行ってみよう」となる。
(といっても当会には濁流の如き勢いのS木秀さんや、タチの悪い某O部がいるが…)

<前衛小滝F4と超巨大CS滝F5>
奥武蔵川浦渓谷七つ瀑核心部F4F5

前衛小滝(F4)は平水ならばひょっとすると泳ぎ突破の可能性もあるかもしれないが、我々の行った時は論外であった。見た目より浅めの沢なので突っ込めば行けたかもしれないが、あまりの沸き返りっぷりに戦意喪失した。
右岸は悪絶な草付。左岸は傾斜の強い壁。
登高会ーさんによると、右岸のヘツリでCS滝下まで迫ったようだが、我々はプロテクションの取れそうな左岸を選択。まあおそらくどっちもどっちだろう。

伊佐見が突っ込むが、3mほどでスリップして落ちてきた。肘を打撲したようだが「行きます!」と、闘牛のように息巻いている。「氷壁の達人」の読み過ぎではないか?
落ち着かせて代わる。コーナー状に頭を押さえられつつ4mほど斜上し、広くなったところで直上してすぐにナッツが決まったのでそこでもう一発キャメを決めてビレイ。ロープスケール的に普通はそのままトラバースすべきだが、先の見えないトラバースにビビって交代したのだ。というか、怪我でもしたら明日から回らなくなる現場(会社の)が2つあり、それを思うと突っ込めなかったのだ。
俺の「現役」は終わったんだなあ…

伊佐見は沢タビを吸い付かせて、0.5周辺のキャメをキメながら確実にトラバース。

<F4を沢タビでトラバースする>
奥武蔵川浦渓谷七つ瀑F4をトラバース

やがてビレイ解除の声が。

フォローしビレイ点に着くとキャメ2番と自分で打ったハーケンでビレイ中。沢床まで5mくらい。
「このハーケンで懸垂しましょう!ナベさんはこのままロワーダウンで降ろします!」と言うが、荷重がカムにしかかかっていなかったため、念のためハーケンに荷重をかけてキャメをバックアップとするセッティングに直して、ハーケンのテストも兼ねてロワーダウン開始。楽でええわ〜と思ってたら2mくらい降りたところでハーケンが抜けて落ちてきた(笑)

沢床まで降りるとCS滝からの爆風で会話が難しくなるが、どうやらクライムダウンすると言っている。いやいや!
キャメ2番を残置すればいいのではないかと思ったが、本人がクライムダウンすると言っているので妥協。途中まではいいスタンスがあるのだが、ラスト3mほどが全然ない。ギリギリまで降りてジャンプ!幸い無傷であったが、こんなことさせてしまったのを今でも後悔している。2番なんか二人で出せば一人頭4千円。金で買える安全なら金で買うべきだった。いや、こういう発想がもう今時でなくて、残置せず飛び降りるのがクールなのかも知れない。だが、それを後輩にさせた俺はもうオシマイなんだろう。

ともあれ、最大の核心であろうCS滝の釜の前に着いた。
爆風がすごい。

…ここから先は多くを語るまい。次に来る人にもぜひワクワクしてほしいからだ。

結果だけ書くと、伊佐見がCS滝をフリー&ナチュプロによるA0で突破し、俺がフォローできずユマーリングした。
身を守るためのギアだけは記す。
・キャメ3番まで
・その他、沢屋・山屋として普通に必要な装備
・セカンドがへたくそな場合、ユマーリングできる装備
技術としては、5.10・A0くらいだったろうか?
トップにはそれなりの技術・経験が求められる。俺はユマーリングしたので分からないが…
あとは現場で考えてほしい。マンガのような結末が待っている。

最大の難所を抜けた後は、市販の遡行図通り。一か所直登できず右岸から巻いたら結構悪い滝があった。

二俣から右俣に上がり、すぐ出てくる直瀑の手前のルンゼから右手のガレに入り、仕事道に出た。
仕事道は最悪だが時々登山道のように良くなる。何なんだ。
しかし、おそらくシアン沢を過ぎてからであろう、フィックスがひどいことになっているのを見て沢沿いに下降。
※あとで宗像さんの遡行図を見たら、シアン沢と仕事道の交点には壊れた作業小屋があるとのこと。確かにあった気がする。

<ひどいフィックスの例(二人で笑った)>
いい加減にしろ

シアン沢の支流だったようで、途中でシアン沢に合流し、楽勝で林道に上がれた。

記:ナベ