■海谷/不動川(下半ゴルジュ)
2004.9.24‐.25
太田幸介(日本山岳会青年部)、鮎島仁助朗
天気予報では23・24日が雨。しかし、先週行った大畠谷も先々週行ったイカズ谷も同じような予報で突っ込んでみたら快晴でうまく成功していた。2度あることは3度あるんだ!という確信の下、22日の夜現地まで。すると、雨がジャージャー降っている。う゛…。今週はダメだったかと落胆。夜明けを待つとなんと6時にはピタッと雨が止め、あれだけドンヨリしたいた空は雲一つない青空へ。そして天気予報も今後3日間は晴れ間が続くとの予報に。ぅハッハッハッハ。岩魚と天気は「顔」で釣るというのが寺本さんの弁だが、まったく3週連続して天気予報に「勝ち」を納められそうなのはやっぱり私の「顔」に味があるおかげ!?もうこれは既定事実だー。
が、朝まで降り続いた雨の影響でやはり茶色く濁っている。不動川ポイントは間違いなく水量。天気予報も良くなっているし慌てて行くこともない!ということで不動滝だけ偵察。あとは糸魚川で桶いっぱいの魚食って(2000円)、もう刺身を見るのもイヤになったので海辺の公園で昼寝をして(0円)、福祉センターで卓球やって一汗かいたのちフロ(370円卓球込)。最高だねッ。しかし…こう惚けている間に天気は刻々と変わっていたのだった。予報を見ると金曜夕方から土曜朝にかけて雨が降るとの予報に変わっている。。。あれ゛れ゛〜。オイっこの予報ハズれろ!!
最後の核心5mCS滝。
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朝、天気予報を確認してもやっぱり夕方から雨。しかも強くなるでしょうとオオセラルル。今回は中りそうな予感。惚けている間に「顔」が変わってしまったのか…。
が、我々は夕方までに抜ければ良いんじゃない(!)その後はそこで考えましょうと楽観的。でもまぁ、多くのパーティーはアブキまで2日かかっているんだけどね、、、。って…まぁいいや。
粟倉を5時過ぎに出て、工事中の林道を45分でようやく不動川の堰堤すぐそばにかかる橋に辿りついた。そこから、少し溯行して不動滝を一ノ沢手前から右岸を高巻く。途中、懸垂下降10mするも、総じて踏み跡が二ノ沢までしっかりあり、そこから簡単に沢床へ下りる。不安だった水量も減水を一日待ったためだろう少ない気がする。また水温も昨年10月の五十沢で経験した「痛い」水を経験した我々にとってはまったく屁でもない。かえって、林道歩き&高巻きにおいてはウェットスーツによる体温上昇が尋常でなく、やっと水の中へ入れると思うとなんか嬉しいぐらいだ。ただし、朝食の「海鮮かき揚丼」が胃を逆流してきて、なんか脂汗をかいているので気分は五月晴れではないが…。
ライフジャケットを装着し、いきなりゴル内に入って2段4m滝。水流右をショルダーでバンドへ1段上がり、太田がそのまま水流右を上がろうとするがまるでダメ。どうしようもないので@ショルダーA投げ縄Bフックと試みるが、そのたびに滝壷へ“ズボンッバッシャン”と落下。しかたなく烈流を左へ横切ることにすると、案外良いスタンスがあり、サクッと抜けることができた。どこのトポにも記載ないが、この下部廊下で一番ハマったところだった。
一旦、開けたのち再度ゴルジュになりよく写真で見る10mCS滝は太田がリード。ボルト1本目までが遠く、エイリアンを使えそうだがチョンボ棒で切りぬけ、近い間隔の次のボルト(2つ並んでる)。次も遠く、チョンボ棒。次のハーケンまでも果てしなく遠く、チョンボ棒。そこからは楽な間隔でボルトが2つあって落ち口へ。荷揚げをしてフォロー。っとチョンボ棒ないよっ!まぁいいや。苦労して1本目をかけ、次は余裕。しかし3本目が遠い。ウォリャッ〜と行くと、何とか手が届いてつかさずアブミ。…唖然!冷や汗!今かけていた2本目のボルトが抜けた…。ウェッ!コワェ。よくみるとそのとなりのボルトも抜けそうだった。。。まぁいいや。過ぎてしまえば関係ないのさ。次のハーケンまでも遠いが、配慮の人らしく長スリングをかけてもらっていたので、あとは順調に上へ抜けると、過呼吸と海鮮かき揚でものすごく気分は果てしなく灰色に近いBlue。それにしてもチョンボ棒おそるべし!!私も作ろうかしら。
次は長く暗い瀞を10m泳いで右壁を登る。結構、イヤらしい。長い淵を持った4m滝は水流中をどうにかして立ちこむ。フォローでもかなり水を飲むところだ。懸垂下降4mする滝をセオリー通り越えると5m滝。左壁を登るがちょっと落ち口が悪くてジャーンプ。その後は数多くのパーティーが苦労している1mトイ状。右壁を見るとボルトが打ってある。が、それを使うことなく太田が猛々しく突っ込み、落ち口左の割れ目にエイリアン青を突っ込みアブミで越える。続く3段の滝は泳いで右壁を苦労して上がり、そこから右壁をフリーで。そのあとも何個かロープを出して滝を登り、7m滝は右壁をフリーで簡単に越す。続く5m滝は太田が右壁にあるボルト目掛けて泳ぎ、高い位置にあるボルトに向ってシンクロ選手のように“プワッ”とチョンボ棒をかけて、アブミで越す(ボルトは抜けそう)。4m滝は大き目のエイリアンを決めてアブミ。そして、あぁようやく最後の核心5mCS。太田が泳いでボルト穴へバットフックをセットしてそれにアブミをかけて最後は大股開きでCS下。そこから右チムニーを登ってこえる。あとは登れない5m滝で右岸からスラブを登って巻き道に入り、続く8m滝もそのまま巻いて越えるとアブキの河原だった。
天気予報では夕方から崩れる予報なので、まだ早い時間だが今日はここまでとする。石仏の前にツエルトを張っていると、14時50分頃雨が降り出してきた。焚き火もできず、ツエルトの中で太田さんの定番メニュー「具なしカレー」を平らげ、18時には早々に寝る。
シュラフカバーだけだったが、全然寒くなかった。ツエルトを張った場所は、下が平らだったのに加え、上は岩が張り出しておりかなりGoodな場所であったため、どれだけ雨が降っていたかわからなかったが、朝起きて朝から定番メニュー「具なしハヤシライス」を平らげつつ川を眺めてみると呆然。なんと川幅が4倍(ちと大げさか?)となってとてもではないが溯行する気分になれない。雨のあたらない場所でヌクヌク眠っているうちに結構雨が降っていたようだ。「まぁ落ち着け」とばかりにとりあえず9時まで水が引くのを待ってみるが、まだまだ雨が降っていて、かえってさっきから余計に水量が増えているような…。
というわけで、峠を越えて粟倉へ。この道も評判通り悪く、途中わからなくなるし、3分ものあいだ阿修羅のようなシカと睨み合いをしたりすると林道を工事しているところにぶち当たった。あとは林道を下って車まで。雨はいつの間にか止んでいた。
ワンプッシュで下部・上部ともに抜けるつもりだったから、結果的には「中退」。かなり悔しい思いをしたのも事実だが、下半部だけでもかなりイッパイイッパイ。正直、もう何がなんだか覚えていないし、溯行中も過去行われた溯行記録・溯行図を見比べながら登っていたが、途中で現時点どこにいるのかわからなくなっていた。上記したものは数ある滝の中でもインパクトのあったものだけ。それ以外にも多くの滝が現れてその都度、荷を下ろして泳ぎ、壁を1人登り、荷揚げして引っ張りあげるということを何度と繰り返した。もちろん、ショルダーや泳ぎなどは当たり前。まぁいろいろやったなぁという記憶しかない。もう無我夢中だった。
溯行ポイントは、先達の偉大な遺産をいかに有効に使うか、これに限る。ボルトも中途半端にあったものが何個かあったが、チョンボ棒&バットフック&カムなどを用いて1本も足すことなく通過できたから、この時間(最短記録?)で溯行できたと思う。
イカズ、オバタキ、不動川。世界でも100人と触れていない景色に3週連続で揺さぶられた04年9月。私は今、かなりHappyなりー。
2004.9.28 鮎島 筆
【記録】
9月24日(金)晴のち雨
粟倉0500、入渓0555、二ノ沢出合0725、アブキの河原1330
9月25日(土)雨のち曇
アブキの河原0930、粟倉1100
【装備】
ロープ30m、エイリアン(1s)、バットフック、ユマール(1s←タイブロック×)、アブミ(個×2)、ウェットスーツ(個)、ライフジャケット(個)、チョンボ棒、などなど
※ロープは50mも持っていったが下部廊下では必要ないと感じた。
※ユマールは欲しい。タイブロックでは代替不可。
【写真】
不動滝(15m)を偵察する。
10m上の長い淵を持った2段4m。
4m。