小櫃川キンダン川


 房総は小櫃川のキンダン川へ沢旅に向かいました。
日帰りでしたが、予想以上の収穫がありました。それは主に視覚的足裏的
にでした。
 当初、高橋御大の熱望により谷川本谷から赤谷川上部の計画がありましたが
天候悪化のため急きょ房総へと変更になった次第です。
 
 さて、一行5人はまだ見ぬ千葉の清澄山塊?というより房総の中心山間部へ
雨の中ひたすら南下するのである。けれども、なぜか
行けども行けども山に向かう気配がない。街をいくどもすり抜け垢抜けた照明や
ネオンを過ぎ、やっと狭い道の上で両雄の車が落ち合ったのである。
雨の一時の小降りのなか、清澄寺のPにテントをはり、やっと宴会だ。
今日の主役?はヤル気満々の偉丈夫、長嶋さんだ。体はでかく、オーラはガン
ガンに出て、いつでも24時間戦えます、という気構えと面構えをもつ戦士のよう
だ。
 また、紅一点の青山さんも凄まじい山行の連ちゃんから、余裕たっぷりで
誰でもいいから「さあいらしゃい、かかってらっしゃい」という雰囲気ありありで、
他の3人は消し飛ぶように威圧され、テントの隅で膝をかかえうつむき加減で
杯を組むだけだった‥‥‥なーんてね。とにかく楽しい宴は雷が鳴り響く大雨の中
延々とつづくのである。

 さて、あまりに降った雨のため、本気でどうするか迷ったが、気合いの面々の中
風呂入って帰るかとは到底いえない。小ぶりから止んだのをみて決行と決定。

本流の渡渉が曲者。一人だったらかなりヤバイ水量と水圧だ。まったく泥水で茶色
いや、うんこ色の濃い奴だ。匂いも臭くもないが、深さも床や岩の状態も全然わから
ない。横一列でショルダー連結による横断で対岸へ渡るが、それでも流心の重く強
い流れは半端ではない。
 キンダン川も汚れに汚れた流れだが、人工のくり抜いたと思われるトンネルを過
ぎ、
うんこ色の渡渉にも飽きてきたころ、右から左からと大きな支流がでくわすと、僕ら

酔わす景観の連続となってきた。水量が減ると同時に透けてくるようになり、合わせ
てなんとナメが延々と続くのである。文句なし。ひつこいがそのナメが延々だ。
そして、最狭部の雰囲気もたまらない。泥壁ゴルジュで両岸は深く切り立ち、暗い中
にナメ床がどこまでも続く。もし直登不能のcs滝などあれば高巻きはまったく不能

どこまでも戻り延々巻かなくてはならない渓相だ。僕らは有言、幽玄いや夢幻のよう
な不思議な地形にのまれていく。
ところがその行動実態は、はなたれ小僧が鎮守の森の勢力圏の奪い合いで、となり
村の悪たれガキを成敗したかのごとくその楽園を壊すほどの勢いで突き進む。
それでもなんとか、マロンチックなワイと乙女マサやんと最後の特攻隊長ヒロポンが
易しく谷と接するが、先頭をきる爆腕ともう一人のマッチョの二人は壊滅的に突き進
むのみで、情緒もくそもうんこも屁もないもんだ。

 植物もつるが谷に垂れ、常緑広葉樹の森は南国で亜熱帯の雰囲気が伝わる。
ついでに泊りだったら空揚げのツマミに変身するなぞ?の生物、いわゆる十脚類であ
る甲殻類の沢蟹もお目見えし花を添える。ついでに花ではないが蛭まで寄ってきて
何人かはひっつかれる有様だ。
 上流では倒木の自然ダム湖で泥沼状態。堆積した葉の腐敗から屁のようなメタン
ガスが吹き出す中、泥のラッセルでたまらぬ悦楽。ここはほんとうに硬い岩盤でなく
砂ような泥のような柔らかい岩で構成され、河原の石を歩いていても、緩くつぶれる
ような不思議な足裏感覚が伝わるほどだ。
もう、十分楽しみ尽くし、植林の源頭部へ出て林道で終了。
うんこだのクソだの屁だのと勝手に描写しておきながら、こんな時期でも手厚くもて
なしてくれたキンダン川へ感謝の気持ちで一杯だ。
真冬でも遡行はおそらく可能だろう。また、いつの日かまた中途な時期に違う谷を彷
徨い
たいものだ。

平成16年9月18・19・20日 L治田、高橋、小浜、長嶋、青山(報告、治
田)
10月31日出合9:30〜林道(稜線)〜清澄寺13:30ぐらい