■越後駒ヶ岳[滑降]

2004.4.24
高橋弘、佐野智子、青山方子、佐藤益弘、鮎島仁助朗
頂上付近を滑る佐野 快晴の中滑る高橋
 吹雪の乗鞍で始まり、行としか言いようのなかった2月の至仏/三田原ではマゾとまでいわれ、満を持してトライした万太郎では敗残兵と化した私めにも春がやってきました。しつこくやっていればいつかはくるのである。もう最高!。
 前夜2台の車はまだ雪深い銀山湖のほとりで無事邂逅しまずは乾杯。駐車場の周りは雪の壁になってはいるが、さすがに4月も下旬である、外気に冬のような冷たさはなく、明日への期待が高まり杯が軽い。明けて日曜日は覚めると移動性高気圧に覆われて朝からまぶしい青空が広がる。佐藤・青山・鮎島の3人は某社のフリートレックである。長板が少数派になってしまっているのはうちのパーティだけかどうかは道々観察させてもらうとして、それにしても各社で競ってフリートレックもどきを売り出せば、あれのほうがよさげといった類の葛藤が生じはたから見てても面白くなるのだが。こうなってしまうと長板組は重量で不利ではなどと余計な不安を感じてしまうのは俺だけかい、佐野さん。
 さて、白く美しい中の岳を正面にして上流に向かい、柳沢右岸の道行山に突き上げる尾根の末端に取り付く。傾斜が強いが尾根に這い上がるまでとがんばると、越後駒がその崇高な姿をあらわす。写真よりずっと迫力ある姿に見とれるがが同時に目をそむけたくなるほど遠い。ジルバーザッテルからナンガパルパットを遠望したヘルマンブールがそんな気持ちだったろうか?(馬鹿いってるぜ)。さあ滑りにいらっしゃいと優しく招いている様は全くなく、くるなら来いといった頼もしいお姿。長い尾根をたどりながら、次のピークまで何十分・何時間かかるかの鮎島氏の分析を聞かされ、青山さんの足首につながってよじれながらひきずられているフリートレックのからころという寂しい音を聞いていると、誰か一人でも(アタック隊員佐藤?)登れればいいやって気にもなってくる。が、とにかく抜群のチームワークと山登魂、いや、一望千里の越後の山々の眺望のおかげで6時間かけて全員で登頂。日本海が見えたような・・・・。早速、その辺で佐藤ちゃんが初フリートレックを試してみるが”んー、ダメかもしんない”ということだ。ご愁傷様。でも、さあいくぜ。
 まずは肩の小屋まで(入り口下が埋まっていてまだ使われていない?)のカール状斜面に思い思いのシュプールをかける。前日雪がふったのだろうか、白い快適な斜面にサングラスの下に皆の笑みがこぼれる。続いて小屋下の急傾斜に突入。向こう側が見えないが青空に飛び込む。ザラメ雪でターンがよく決まる。フィルムクラストというのか、表面が薄い氷に覆われているところはターンを切るたびチャラチャラと氷が舞い上がる。しかし鮎島のあのスピードはなんだ。尾根から北の又側にわずかに離れたラインに鋭角的にショートターン刻んでいくが、転ぶのは前にしかありえませんといった風情だ。百草の池までで充分に楽しんだが、そのあとも小倉山までゆるい傾斜が続き今ここにある幸せを味わいながらすべるのにちょうどいい。シールをつけて道行山に登り返して越し方をはるかに振り返れば、山頂のシュプールがはっきり見える。ここで大休止のあと、柳沢に降りる小尾根を下る。雪崩のおきそうな(実際小さいのを2本起した)オープンバーンから疎林の中の急傾斜そして柳沢とバラエティに富み、雪質に助けられここだけでもルート足りえる内容だ。石抱橋に戻り時計を見ると4時前で思ったより時間がかかったのを知るが、つまり長くすべりを楽しめたってことである。柳沢床に降り立つまでの標高差1100Mすべて快適斜面だった事はできすぎでメンバーの日頃の行いがものをいったに違いない。メンバーに感謝。お疲れ様!シーズンに一本こんなのがあればいうことはないね。

高橋 記

【行動概要】
4月24日(日)快晴
石抱橋06:30 - 越後駒山頂12:30 - 石抱橋15:45

山登魂ホームへ