久しぶりに水につかると思うと自然と笑みがうかぶ。もう5月も半ば。広葉樹の新
緑、できれば遡下降がいい。初めて聞く名だが、和名倉山は治田さん曰く、埼玉の独
立峰では一番高いらしい。高橋号で現地へ向かい、建物の屋根の下で乾杯をして3時
過ぎに就寝。けっこう冷え込んだ。
5時前に起きたが、寒いし眠いしゆっくり身支度。トンネルよりもだいぶ手前
のしっかりした踏跡から途中旧道のようなものも使い二俣へ下降。
石の色などを見るに、水量は平常より少ない。鏡のような水面にさらさら水は流れて、遠い空は青くて、まだ若い
緑が揺れてる。うれしいなぁ。淵も次々と出てきて、へつったり、つかったり、泳い
だり思い思いに進む。
曲谷を見送るとじきに本流と別れ金山沢へ入る。いくつか小さな滝を越え、8メー
ター滝。高橋さん治田さんはカッパを着だす。表情が違う。この人たちやる気だ。で
もどこを?と思うような滝。治田さんリードで手前から右岸バンドもどきをトラバー
スし、ツルツルした滝身を直上。丁寧にプロテクションをとっていたが悪い悪い。見
事抜けて、治さんガッツポーズ。
ここを過ぎれば、一転、のんびり進む。沢の恵みを
ゲットしたりした後、黒いナメが続き、そして上部二俣には泊適地と大量のマキが待
ち構えていた。まだ昼間のうちから焚火の宴は始まる。やたらよく燃える木ばかり
で、くべた瞬間炎をあげていた。
翌朝は9時過ぎには和名倉山山頂。道標がなければ山頂なのかわ
からないような、木と倒木に覆われた平たい山頂だった。縦走の人が次々到来。
和名倉沢から来た人もいた。縦走路でコルまで下り、曲
谷下降開始。下りやすい谷でスピードがあがる。下部は滝もあっ
たがクライムダウンできた。滝谷本流まで戻れば、あとは好み
に応じ思い存分泳ぎ下れて楽しい。地図を見てもあまり目立たないでも実は淵があっ
て美しい南紀の葛谷だとか大峰の本沢川奥玉谷だとかを思い出す。最後仕上げに車
道までの急斜でふとももに負荷を与えて山行を終えた。この夏を予感させるような沢
の遊び要素のつまった二日間で大満足。帰り、近くの温泉を出た直後雨が降り出し、
運のよさ、いや顔のよさに3人一層満足して帰途についた。(記録 青山)