■蔵王連峰/馬見ヶ崎川八方沢

2005.7.17-.18
佐藤益弘、鮎島仁助郎
 蔵王ダムは高速のインターから近かったがなにせ蔵王は遠かった。朝6時起床と決めるが、あと少しあと少しと伸ばし伸ばしになり結局は7時になってしまった。
 ダムをぐるりと半周して八方沢の出合。第1ゴルジュのF1までは平凡な渓相。そのF1前には若い釣師が焚き火をして魚を食べている。F1は2mぐらいで別段釜は深くないし、難しくなさそう。ロープを出さずに釜を右から行ってあとは突っ張り。久しぶりに突っ張ったせいでなんだか足が攣りそうである。きっと慣れていたら簡単なんだろうが、それなりに怖い。
 F2はどうみても手がかりがなく高巻き。しかし、どこから巻けばよいのか全然わからない。この沢、うれしいことにまったく人跡のようなものは見当たらない。勘に頼るしかないのだが、まったく沢に来ていないせいか、全然ピンとこないのはしょうがない。結局、適当なところから行くが、おそらく正解なのだろう。佐藤さんありがとう。F3を一緒に巻いて懸垂下降15mで沢床に再びおりたつ。その後はやたら、河原歩きが長かった。雪渓の残骸を左に見やり、滑りやすい花崗岩に何度も転びながら行くとようやく2条の滝。右から簡単に登る。
 もうF●なんだかわからなくなったころ、8m。釜を泳ぎ、凹角からすべりやすいスラブへ。それほど傾斜はなく難しくはないが、念のためロープを出す。続く8mは右側からノーロープでのぼり13mストレート滝。泳いで取付くが、水が冷たい。へこたれて、今度はへつり。それもドボン。根性ないので、選手交代。佐藤さんが根性でへばりついて凹角に這い上がってくれた。そこからはその立ち上がり部分だけ傾斜が強いだけであとは階段状。念のためロープを出す。
 その後も河原歩きが長かった。二股をわけたところでもういい時間だったので、そろそろいいところで張ろうよという雰囲気になるが、こういうときは概していいところはないもの。結局15mの滝をノーロープで登り(上部はそれなりにいやらしい)、奥の二股まできてしまった。地形図的にはこの上は平坦でどこでも張れそうな感じだったので、この二股にかかる滝をあがってから幕営することにする。本には「容易な巻き」と書いてあるし。
 しかし、どこが容易なんだ?!容易とは人目で見てこことわかるところを巻くということなのだと思っていたが、まったくわからん。とりあえず、左の沢が簡単そうなのでいくが、泥付である。まったくわからん。左岸を巻いたほうがよかったのかと思い始めたとき、さらに後悔なることが。なんと熊である。クマですよ。くま。ベアーです。それなりに切羽詰っている状況下にはまったく出会いたくない。シャリバテにもなりかかっているし。最悪である。しかも、それなりに大きい。大畠谷のあとの登山道でもクマは見たが、その2倍はあった。つまり大人のクマ。10mで対峙。−−−眼力で追い払った。しかし、悲しいことにクマが逃げた方向にしか行き場がない。結局、追いかける格好になってしまう。何とかその後は出会わず、決して「容易」ではない巻きを頑張り、ようやく滝上に出た。
 その上は確かに地形図どおり、緩やかだった。しかし、溶岩のナメなのよ。薄〜く川幅いっぱい水が流れているのよ。まったくいい場所が見つからないまま、結局は登山道横断地点まできてしまった。ここもいい場所ではなかったが、強引に水流から10cmのところのナメにタープを張る。雨が降るとアウトであるが。もちろん、魚などいやしない。

 運良く、雨は降らなかった。めでたしめでたし。
 どうせ、またここにもどってくるので、重い荷物を置いて頂上へと向かう。残雪があったり、コマクサが咲き乱れるところ1時間。熊野岳頂上である。またもや100名山に登ってしまった。頂上にいたオジサンに八方沢を上ってきたことを告げると、あそこはクマ多いでしょうと言われた。知らなかった。知ってたら、あんなところに張らなかったのだが。まぁ知らないと言うことは幸せなんだな。
 頂上から40分ほどで、幕営地=デポ地。そこから2時間弱で、駐車地点。帰りの登山道は傾斜も緩く歩きやすい。

 まぁ新日本百名谷から落選するのもうなずけるかなという渓相だったが、人工物はなく、奥深いし、詰めはかなり綺麗でそれなりに楽しめました!
 なお、山形県庁近くにあるスーパー銭湯「テルメ」には感激。550円という値段の割には本当にスーパー銭湯なのだ。ここの電気風呂はビリビリきます。こういうのもいいっすねー。

2005.7.21 鮎島 筆

【記録】
7月17日(日)
 蔵王ダム0745、登山道横断地点1730
7月18日(月・祝)
 幕営地0700、熊野岳0800、ダム1100