釜無川中ノ川
2005.7.30-31
メンバー:神谷(東京YCC)、青山
地図を見ていると、これって私好みの谷なんじゃない?と期待させるような地味そ
うでしかし大きな流域を見つけた。源流は甲斐駒本峰の北にある三つ頭、稜線に出て
からは鋸岳を通るというのも気に入った。林道がどこまで進んでいるのかなど
気になることもあり、もしかしてはずれの谷かもしれないけれど、
少なくても山は大きい。岩の計画が流れ、代わりに丹沢ぐらいなら、という心づ
もりだったであろう神谷さんも、まぁ鋸岳なら行ってもいいよとのってくれた。
釜無川本流の右岸側に山を切り込むような谷が出てくる。それが中ノ川だ。
出合いからすぐにゴルジュ風で、暗く壁がたち水量豊か。う--ん、いいじゃん、いい
じゃん、とやる気をださせる雰囲気なのになぜかそこいらにお助けヒモがあるのが拍
子抜け。釣り?すぐに40m垂直の滝。迫力がある。左岸側から滝見物に入ったので、
そのまま草つきから樹林帯へ登り左岸をまいた。クマの話題が最近多いので、用心に
ホイッスルを吹きつつ行く。自分で鳴らしていてうるさい。谷に降りてじきに、次は
50mの垂直の大滝。先ほどのもよかったが、さらに豊かな水をまっすぐ落とし、瀑流
のしぶきで近くはけむり、滝身は青みががかって見える。竜神が宿っていそうだ。今
回はこの滝を見られただけでも来た甲斐がある。入渓早々気が早いがそう思わせるに
十分な滝だった。また左岸のルンゼからトラバースして、細い灌木をつたいながら河
原へ降り立つ。
谷は狭いものの河原になり、地図通りダム登場。山行計画時からダムの存在は誤魔
化して意識からそらしてきたがはっきり立ちはだかるコンクリート。適当に越えると
広い河原になり、またいくつか小滝を作り狭まった後、明るく広々した河原になる。
そして、ここはダム博物館か?という程、形状様々なダム群が登場。しかも平成15
年平成16年・・・と出来たてのオンパレード。
ところで、中ノ川の地質は、左岸は崩れやすい砂岩等の堆積岩、右岸は花崗岩。右
岸はそのまま尾白川や甲斐駒の岩場のあの花崗岩に続く。花崗岩は美しいナメを作る
し、崩れやすい砂岩はぼろい滝やガレをつくる。左岸側から南、つまり釜無川本流沿
いを含む南側一帯は、崩れた砂礫がルンゼを埋め、あちこちで大規模な斜面崩壊がお
きている。ダムを作ってしまいたくなる土地ではある。
さて、今までは暗い堆積岩が主だったのが、ダムの河原を抜けると花崗岩に変わ
り、滅法明るくて美しいナメと碧の釜がはじまる。来てよかったぁ。釜川右俣の三つ
釜もきれいだけど、ここだって七つ釜と名づけられていて、数で言っても負けちゃい
ない。そういや釜川と釜無川、名前も似ている。遠い三つ釜で同じく水と戯れている
だろう高橋さんたちを思いながら、登ったりへつったり、ツルっツルの滝からは左岸
を巻いた。もうしばらく続いた小さなナメと滝が平凡なゴーロに埋まり、小滝とガレ
ルンゼの二俣でそろそろツメに入るよ、という雰囲気のところでビバーク。確か降水
確率60%だったけれど朝から快晴で暑かった。真昼間から焚火でさらに汗を流した。
翌朝はなんと3時起床。寝ぼけながら流れ星を見た。4時半出発。ヘッドランプを
つけながら滝を登る。さすがに水が冷たい。暑いから日の昇る前に稜線に出ようとい
う作戦で、ヤブこぎもなく6時半には三つ頭の少し北の稜線にでた。雲ひとつない
空、吹き抜ける風、はるか見渡せる山々。石楠花が咲き乱れ、足元にはお花畑。
うーーん、最高。沢靴を脱いで快適に歩く。でも普通の登山道だと思っていたら大違
い。やたら登り降りがあり、第一高点と呼ばれるピークから鋸岳までは岩尾根が続き
稜線を行けないので、支尾根をやたら下ってガレと壁でできたようなルンゼへトラ
バース後、巻きあがったりする。地形図からだけではルートが読めなく、赤テープや
道標類も少なかったり、誤っているのにだまされたり。で、一度間違えてボロい草つ
きバンドにも突っ込んだ。他も岩っぽいルンゼを登ったり垂直のゴボウが出てきたり
と、飽きない。無事鋸岳登頂。眺めがいい。鋸岳からは横岳峠を経由して下るのみ。
釜無川本流源流を下り、作りかけの山小屋が出てきて林道が現れた。
途中の人工物もこれまた見どころと割り切ってしまえば、全体的には深山の趣ありだ
し、最初の大滝、ダム見学、七つ釜、稜線縦走と鋸岳と楽しませてくれる。登れる滝
と無理そうな滝ははっきりしていて、巻く滝は迷わず巻いてロープ・登攀具は使わな
かった。沢はゴーロもナメもゴルジュもいいけれど、一番は水量があって山深いのが
いいね。で、今回は全部そろっていたわけで、すっかり充実満足して山行を終えた。
7/30 入渓7:30---2250m付近二俣泊 12:30
7/31 出発4:30---稜線6:30---鋸岳山頂10:30?---林道12:00前?