星穴岳
時日 2005年11月3日
メンバー 高橋・高田・青山
行程 国民宿舎手前P発07:00-星穴コル10:15−星穴/星穴岳山頂-金洞山/女坂経由-P着15:30
先々週の表妙義縦走が決まってエアリアマップを見てみると稜線西端の星穴岳という不思議かつ幻想的な響きを持つ山に目がとまった。地図には"岩登り熟達者以外登ってはいけない"とある。なんだこれは?うーん気になる。ネットで調べると意外にも沢山の記録がヒットし知る人ぞ知る存在である事がわかった。岩登り熟達者じゃなくてもいいようだし、そこには星穴という穴があいていて、中木川を挟んだ裏妙義からその穴を通して星を見ることができるそうだ。昔の人は目がいいからうらやましいが本当かな?とにかく星穴岳にトライはしなくてはならない。その機会はありがたいことにすぐ訪れ、11月3日に行って見てきました。
裏妙義国民宿舎手前の駐車場で軽く一杯やり、1時過ぎに寝る態勢に入ると車が到着し、がやがやはじめる。登山者だろうが時間も時間だしすぐ寝るしかないだろうと思っていたら一団のボルテージは上昇するいっぽうでそのうち"キャーーーーー!"と奇声を発する女があらわれる。続いて"きれーーーい!"連中の話し声ははばかりなく大声になり、どうやら天体望遠鏡で星を見ているようだ。落ち着いた、しかし大声でやたら詳しく説明してるのが講師の星観察講習会らしい。真夜中をねらって来るわけだ。寝かしてくれと文句を言おうと思ったが考えてみるとここは駐車場でそこにテントを張って寝ているものが正義なのか?星ね星。おかげで朝寝過ごし急いで準備し出発する。高田さんと夜中の星には参ったねーと話していると青山さんがなんですかそれと聞いてくる。どうも高高の修行が足りないらしい。
星空にならないうちに戻る為に急がねば。ところが初っ端から出合いを間違えて無名沢(小山沢?)に踏み込んでしまう。あまりにも踏み跡がないので引き返しもう少し林道を先に進んでみると間違えようのない女坂道入り口が現れる。慰霊碑に手を合わせて最初の道標から星穴新道の尾根に向かう。基本的に尾根上を行けばよいわけで、岩峰に遮られたら右するか左するかである。P2下を左に巻いたところにあるルンゼをトラバースするところ以外はしっかりしており、まだ当分は使用に耐えると思われた。が、鎖が切れたらあの世行き確実な場所もある訳で判断が求められるところだ。急登の連続でぐいぐい高度をあげるためへばるが、登るに従い展望が広がり、青空に紅葉が美しい。星穴のコルにはあっという間に着いた。エアリアマップではコルの西の峰が山頂のように書いてあり、ネットの記録でもそこに登って登頂としているものがほとんどだ。藪を軽くかき分けるとその山頂だ。谷急山からそのズット向こうの荒船山方面にかけて山並みがどこまでも続き素晴らしい。いつまでも眺めていたいところだ。一方、振り返るとコルをはさんで東の頂のほうが僅かこちらより高いように見え、気分がすっきりしない。コルからは垂直の岸壁になっていてそこに登るのは不可能だ。それは見なかったことにしていよいよ星穴だ。コルに50Mロープを固定して青山さんがまず降りてみる。"あ〜、穴がありました〜!大きいで〜す"。確かにでかい!穴を通して裏妙義が丸見えだ。巨大な開口部に比べぶち抜いている奥行はわずかなものだ。頂稜が細いのは許せるが40-50M下でも同じくらいの幅しかないってことか。恐ろしい。このむすび穴よりずっと小さい射抜き穴も訪れたかったのだが東にトラバースしてもたどり着けなかった。登り返しはこのためにユマールを新調した高橋がトップで。スッ、スッと登って威力を見せつけるつもりがバランスが悪くスゲー疲れる。意地で登ったようなものだ。青山さん(プルージック&タイブロック)、高田さん(ごぼう?&シャント)の二人のほうが涼しい顔で続いてくる。俺って一体?
時間に余裕があるので星穴沢を下らず、西岳方面に行くことにする。コルから東の岩峰基部を左から巻いて稜線に戻ると岩峰の裏側は登れそうだ。高田さんがザイルをつけてリード。やっぱりこっちのほうが高かった。星穴岳の表示も小さくあった。あーすっきりした。西岳までは山腹のトラバースにザイルを一回出しただけで到着。確かに2週間前に来た頂上で、ここからはもう大丈夫のはずだったが下り口が判らずあっち行ったりこっち行ったりしてようやく見覚えのある踏み跡に入る事ができた。女坂道入り口まではこれまた何回か道を誤った。どこまで行っても油断できない山だ。西岳に着いた頃からは雨が降ってきたが、3人共沢靴のような足ごしらえだった為その不安はなかった。
秋の充実ONE DAY TRIP。
記)高橋