■北ア/日本オートルート(室堂〜上高地)[山スキー縦走]
2006.5.2-.6
寺本久敏、治田敬人、佐藤益弘、鮎島仁助朗
ついにやってきました。いつかはやるぞ!・・・と思っていた日本オートルート。
毎年々計画を立ち上げるもの様々な理由から実行に至らず、ついに行動に移すときが来た。
連日の好天と強力メンバーのおかげで充実したスキー縦走が出来ました。
薬師岳から薬師峠に向けて滑る治田 |
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5月1日
アプローチは鮎島君と梓湖ダム手前の道の駅(風穴の里)で待ち合わせ後、鮎島号をデポして寺本号で扇沢駅に向かう。
扇沢駐車場に着いた時には雨と雷が凄く、明日からの天気と一足先に入山している黒部横断パーティーを心配しつつテントで入山祝いを始める。
5月2日
雨の中9:00のトロリーバスに乗り込む。ケーブルカー・ロープウェイと乗り継ぎ標高を上げていくが、雨は止む気配も無く室堂駅でしばらく待機する。他にも出発を見合わせているスキーヤー・ボーダーで駅はごった返してる。観光客もこの雨では景色も見えず残念そうだ。天気が回復することを信じてひたすら待つ。おやきを食って待つ。漬物とクッキーの試食を食って待つ。居眠りして待つ。
やっと12:00近くになって雨が雪に変わり、チャンスとばかりに出発する。
外はガスで全く視界が利かないが、ポールとトレースに沿って一の越を目指す。登ること1時間弱でガスの中から突然一の越小屋が姿を現した。
黒部側もガスがかかっておりこれから滑り込む御山谷も状況が良く解らない。取り合えずスタートして滑り込んだ後は右へ右へとルートを取り、龍王岳からの岩尾根の下を回り込むようにして龍王岳と鬼岳のコルへ続く斜面へ出る。少し下り過ぎたようだ。コルへ登り返した頃、下方に後続パーティーが登って来るのが見えた。
鬼岳を黒部側から巻くようにトラバースし、獅子岳を稜線通しに越えザラ峠への下り口に到着した。この頃には天気も回復し、越えてきた獅子岳・鬼岳がよく見渡せ剣岳も顔を出した。ザラ峠へはシールを付けたまま滑り込んだがスキーが回しづらい。
ザラ峠からはひと登りで五色が原に到着。五色が原へ登る途中、双六方面から来た2人パーティーがテントを張っていた。今日は悪天のため停滞したそうだ。
計画では鳶岳を越えた所まで進む予定であったが、出発時間が遅かったため鷲岳と鳶岳の間にテントを張る。悪天でどうなるかと思ったがここまで来れて一安心。後続パーティーは小屋に泊まった様子。初日とあって控えめな一夜でした。
5月3日
4:00起床−6:30分出発。
鳶山には昨日の6人パーティが登っている。今日は厳しい薬師越えだ。天気も良いし焦らすじっくりと行こう。
鳶山を越え越中沢岳への大斜面を喘ぎながら登ると遠くに薬師岳が見えた。これはちょっと遠いんじゃないのーと思ったが、治田・鮎島の2人は快調に飛ばしている。山頂付近には雷鳥ペアが仲良く遊んでいて近寄っても逃げる気配なし。
山頂から先はアップダウンが続きスキーを脱ぐこと数回。寺本は山頂からの滑りで転倒して右ヒザ内側のスジを伸ばしてしまった。ヤバッ!こんな所で〜、焦ったが此処からではエスケープも出来ずだましだまし前進する。スゴ乗越までの岩の急斜面の下降が辛かった。
ここから薬師岳への長い登りが始まる。スゴの小屋を過ぎて丸い山頂の間山から見えたピークを北薬師岳と信じていたが、実は手前の2850m・・・ガクッ。北薬師はまだその向こうで薬師岳はもっともっと向こう。北薬師と薬師の間は岩稜帯で何度もスキーを担ぐ。見事な金作谷カールを左に見ながら薬師に向けてノロノロと進んでいく。治・鮎ペアとは随分離れてしまった。佐藤君がもうすぐ頂上に着くのが見える。
山頂で大休止した後、薬師峠を目指して大滑降。西斜面をトラバース気味に滑り薬師山荘の脇を抜け薬師峠手前の樹林帯で終了とした。
薬師岳までの2日間はずっとシールを着けたままだったので、薬師岳からの滑降は最高に楽しめた。
全員かなりお疲れ気味で暫く整地に取り掛かる事も出来ない。第一の核心を越える事ができ少しホッとしたが、まだ3分の1を過ぎたところ。明日に備えて早く寝るか・・・んにゃ、そんな訳が無い。夜が更けるほど元気モリモリ。その元気、明日にとっておけば?・・・は寺のこと。
5月4日
今日の行程も長い。ガリガリ斜面を苦労して滑り薬師峠でシールを着け太朗平へ登り返し。上からは薬師へ向かう大勢のスキーヤーどんどん滑り降りてくる。ここまで来ると人だらけで今までと違いにぎやかである。
北ノ俣への登りは大斜面で悪天時には注意が必要で苦労するでしょう。北ノ俣頂上からは黒部五郎・笠ヶ岳、そして大分近づいた槍ヶ岳が良く見える。
北ノ俣山頂から赤木沢源頭を延々と斜滑降して中俣乗越へ。ここから黒部五郎まで急な登りが続く。
山頂付近は大きな雪庇が張り出しており少し戻ったところの急斜面から黒五カールへ滑り込む。気温が上がって雪質は最悪。雷で割れた様な大岩の横を斜滑降で黒部五郎小屋を目指す。小屋手前の斜面は気持ち良く滑る事が出来た。ここは昔、黒部の岩魚と双六の岩魚が行き来したと言われた所です。昔の岩魚は根性があったもんだ。
ゆっくり休憩をして今日最後の三俣蓮華への登りに取り掛かる。時間も残り少なくなってきて気が焦る。長い登りで三俣蓮華山頂、そのまま稜線を滑り双六へ向け斜滑降していく。今日も長時間の行程の上、疲労と双六小屋が目前という安心感からか4人がバラバラの行動を取り始めてしまう。治さんの一喝!で全員集合。スキーの機動性を考えると大変な事になる寸前だった。
双六小屋に到着したのは18:00を過ぎていた。小屋でビールを買い込みテン場へ向かう。今日の行程も長かったよ。テン場を整地するのも一苦労だ。珍しく治さんはお疲れモードで、缶ビールと一杯のラーメンが食えず、地蔵様になっていた。
5月5日
今日は西鎌尾根の長い登りから始まる。槍の肩までスキーはかついだまま。
治・鮎ペアは相変わらず快調なペースで飛ばしている。鮎島君は所々スキーを上手く使って滑りを楽しむ余裕さえ見せている。ここへ来て佐藤君が体の不調を訴えてきた。頭痛が激しく高山病の症状か?
千丈沢乗越で新穂高へ降りるか相談するが、何とか行けそうなので槍を目指す事にした。そしてついに槍の肩へ到着。時間は14:00になっていた。
延々と越えてきた山並みは遠くかすみ、思い返すと満足感とうれしさがこみ上げてきた。
槍のピークは割愛して滑降に入る。槍沢は意外とシュプールが少なくデブリもほとんど無かった。ツボ足とシリセードの跡を避け快適に滑り降りる。滑っても滑っても大斜面は続き、もう勘弁してくださいと泣きが入る頃ババ平に到着。
赤沢大岩壁の上部雪田から雪融け水が綺麗な滝となって落ちている。到着したババ平は賑わっていて5・6張のテントがあった。赤沢大岩壁の下で最後の夜を迎えた。
5月6日
今日の行程は上高地まで歩くだけだが、帰りの時間を考えて早めに出発した。
槍沢ロッジまでスキーを使う。佐藤君は相変わらず体調不良で、どうも風邪をひいたらしい。横尾で佐藤君の荷を分担してゆっくり先へ進む。
明神−徳沢間の登山道が工事で使えないため右岸の自動車道を歩いていくが、何だか埃っぽくてやな感じ。明神まで来ると観光客が増えてきて、河童橋なんぞは人で溢れかえっておりGWの観光地を実感した。
タクシーで道の駅へ、鮎島号で扇沢に向かう。
大町温泉郷の薬師の湯でニセ治さんを発見し大笑い。大町駅前の鮎島君推薦「焼肉食べ放題1000円!」で腹一杯にして解散・帰途につきました。
何はともあれ、お疲れ様でした。
正直、完走できて良かったです。好天に恵まれたのも成功のカギでしたね。
寺本 記
【行動概要】
5月2日(火)霙のち雪のち晴
室堂〜五色ヶ原〜鷲岳と鳶岳の間C1
5月3日(水・祝)快晴
C1〜薬師岳〜薬師峠C2
5月4日(木・祝)快晴
C2〜黒部五郎岳〜三俣蓮華岳岳〜双六小屋C3
5月5日(金・祝)晴
C3〜槍ヶ岳〜ババ平C4
5月6日(土)晴
C4〜上高地
【装備】
スキー:OGASAKA170cm+ジルブレッタEasy GO(寺)、フリーベンチャー99cm(治、佐、鮎)
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