大東岳二口山塊


やっぱ良いね。一口かじってその味にびっくら驚き、二口かじって
その味が忘れられずに、三口をかじりに再訪しました。
そう一口の一回目はかの有名な大行沢。2回目も大ナメ沢。
それは文句なしに楽しめる沢でした。山塊として脳裏を離れず
そんで三回目は、気になる沢を覗いてみました。
長文はなしに凝縮してエッセンスを伝えます。ガイドではないです。

@鳴虫沢
いきなり東北道は仙台手前から雲行き怪しく、二口山塊の入り口か
ら雨だ。でもやる気はありすぎる。沸騰しそうな遡行欲を抑えて出合
に立つがかなりの増水だ。いきなり深みの腿以上の渡渉に慌てる。
そんでも駆けるように浸かりながら遡る。登れぬ滝も登れる滝もある。
だが、基本は登ること。よく伺い、試しに動き、ダメなら巻こう。
ナメと滝も多く、飽きない。増水のためシャワークライムも多く、一つ
はWクラスの動作も要求された。巨岩帯はトンネルように暗く、岩の
間を潜り抜ける。南石橋のある最後の直瀑はソロはかなわない。皆
大巻きで抜けるようだが、そうとは思えない。滝近い小沢から立ち上
げ草付きを横切り上部の樹林から降りてゆく。山登のリーダークラス
なら難なく弱点と見抜けるだろう。つめから稜線は藪の山道、一途に
下り元へ帰還。

A禿沢本谷(二口本流)
久しぶりに良い沢と痛感。今回一番の白眉と言える。まずナメが凄い
いや凄すぎる。でかく続きすぎる。関東のナメはこれから見れば、ナ
ぐらいで、メまで続かない。スケールが違う。そして滝も多い。ほとん
どが登れ、でもだからと言って楽勝ともいえない。W+一つ。大滝手
前の滝はかなり悪く感じたので、ソロは取止め。その代わり大滝40m
は登らせていただく。爆心は増水の水勢が強く跳ね飛ばされそうで左
側微妙なバランスクライム。後は右側のスラブを淡々と体重移動で決
着。その上もこれでもかと滝が続く。そしてその上もこれでもかとナメ
が延々と続く。一体これはなんだ。あまりに反則だ。さすらい気分を求
めた旅人が、センチは気分だけではなく、本当にさすらい酔ってしまう。
森の中へ消える沢筋からは当初仙台神室山を越えて南沢下降だった
が、天候も不順かつ増水しているので中止。山形神室もアタックして
一般道から舞い戻る。

B糸滝沢
これも実に良い。Aは文句なしに良いけど、特異性ではこれが一番。
出合の白糸の滝60mから始まり頂までナメ一直線。こんな沢は他に
ない。僕の300近い沢経験でも例外に近い沢だ。そして傾斜がある
ナメなのでナメクライムが味わえる珍しい沢だ。出合大滝も登れるが
高度感もあり、まずミスれば五体不満足確実。でもV−で登れる。
それ以降、全部直登の気持ちよい沢。部分的にW+ある滝もあり、
ナメのくせに駆け出せないし、油断はできないナメられない沢だ。
まずナメを語るナメフリークなら外せない一押しの沢。

総合
全部が良いが、一に禿、二に糸滝、三に鳴きといえる。グレードは2級
で禿が+を付けたい。ともに日帰りで充分。二日なら2本。
僕が言うの何だが、仙台まで行く価値は余るほどある。とにかくお勧め。

おまけ
仙台から盛岡の同窓会へ。夜は騒ぎすぎた。翌日声が出なくなるくらい。
人生これ経験とキャバクラなるところへも潜入。怖いが楽しい。楽しいが
財布が薄くなるほど悲しい。
そんでやっぱ考えた。ワイには山しかないと。
そんで、翌日は盛岡見物は中止。再びの山へGO。姫神山と鞍掛山へ
ダブルハイク。ともに森が綺麗。姫神は山頂付近が花崗岩と合わせ特
によい。宮沢賢治が詩に歌う鞍掛山も見た目以上に中身がいい。やはり
森がいい。ハルゼミと小鳥のさえずり。アロハを着てルンルンでぶっ飛ば
す僕は奇異に見られたのか。皆、道を即開けてくれた。
計画通り、山三昧の四日間。でもチビ軽ワゴンはしんどい。計1130キロ。