■中ア/宝剣岳中央稜

2004.3.20-.21
鮎島仁助郎、山田剛士(早稲田大学山岳部OB)

3P目をフォローする山田
 3時半起床。昨日の悪天がウソみたいに快晴だ。テントを撤収し、登攀に必要のないものを小屋影にデポする。まだ暗い中を千畳敷へと下り、ピナクル的なところから右へトラバース。中央稜の取りつきへ10mほどノーザイルで雪壁をのぼり木でビレイ点にする。ここで衝撃の事実が判明。やまつよは、八ヶ岳西面を含めて冬壁は始めてだそうだ・・・。おい、ここで言うなよ・・・。というわけで、私が全部リードし、荷物はフォローが持ち上げることで決着。しかし、私はアイスはかなりやったのでそれなりの自信はあるが冬壁となると赤岳ショルダーリッジのみ。こんなんでいいんだろうか?
1P(30m)
 登りはじめのところが少し怖いが、後はフツーの雪壁。ピンも所々にあるし、それほど緊張するところはない。太い木まで。
2P(10m)
 1P目終了点から簡単な雪壁を左へトラバース気味に登ると壁が出てくる。エイドで登るところだ。そのすぐ右下にアングルが2本うってあるビレイ点があるので、念のためビレイ点を移してもらった。
3P(25m)
 人工は3ポイント。振り分け式のテープアブミでなので使いづらい。そもそも冬でアブミを使うのは始めてだ!。木下さんから言われて持ってきたキャメロットがうるさい。エイドそのものはそれほど難しくなく抜けて再びダブルアックスの世界となり新品のリングボルトが左側に見えたので、ルンゼを左に外れそのリングボルトに向ったが、なんと悪いではないか。。。強引にリングボルトまであがるも、なんとその上も悪い。。。ハイマツに打ち込んで強引に越え、リッジに出る。「はんぶ〜ん」という声が聞こえたが、疲れたのでそのあたりのリングボルト一本でビレイする。やまつよもそこで苦労していた。
4P(40m)
 ビレイ点からいきなり凹角があり、記録を見るとみんなそこを人工で抜けているようだ。確かにピンもあるので私も人工で行こうとしたが、ピンがもう一つ欲しいところにどこを探してもない。結局、凹角をあきらめ右に回りこんで雪壁と化したスラブを登ることに。右に回りこむところが少し嫌らしいが、ここにも残置がある。この上、見渡す限り雪壁。ピンなどは見えない。おそらく、ここにはきれいに走ったクラックがあるのだと思うのだが、そんなものは見えない。あぁキャメロットが無駄になってしまったと思いつつも、右側の雪壁を途中ハイマツや木でランナーを取りながらダブルアックスで快適に越え、ナイフリッジ上のテラスでビレイ。ナイフリッジ直下の雪壁は良くなかった。
5P(50m)
 いきなりのワンポイントムーブが難しい。強引なハイステップでナイフリッジに飛び出し、右へトラバースするとピンがあり一安心。そこからリッジを左に見ながら傾斜の緩んだ雪壁を40mでナイフリッジ。すると右側すぐに頂上が見ることができる。ロープはあと少しだが、もちろん行く事に。するとやっぱりロープが足りない。強引にキャメロットでビレイ点を作って、上がってきてもらう。
 その後、鎖を手に取りながら宝剣山荘まで下り、11時55分のロープウェイに間に合うべく千畳敷へと走り下る。下りながら始めてじっくり見る宝剣中央稜はかなりの傾斜で、自分たちが登ってきたルートを目で追うと良くこんなところ登ったなあと感慨深くなる。あわただしく、ロープウェイに乗り、13時には車にいた。

鮎島 筆

【記録】
3月21日(日)快晴
 稜線上天狗小屋△0500、取付0515、宝剣岳山頂1040、千畳敷1150

【使用装備】
 ロープ50m×2、小さめカム