■北ア/黒薙川北又谷〜小川相又谷(下降)

2007.8.11〜.13
山崎洋介、治田敬人、佐藤益弘、鮎島仁助朗
 今年のお盆はどうしても4日間しか休みが取れない。さてどうしようか。治田さんは北又谷・八久和あたりで考えていたようだが、どうも山崎さんの強い意志で北又谷へ行くことになったようだ。北又谷か。申し分ない。  しかし今年の夏はどうしたわけか、晴の日がずっと続いている。さらにはお盆期間中も晴れそうだ。
8月11日
 泊駅で山崎さんと合流。小川温泉へ向かう。小川温泉でタクシーに乗って越道峠経由で北又小屋まで行く。タクシーの中で「男のジャージにはポケットが必須」と語る男がいるが、毎回毎回よくわからない。
 さて、北又谷の入渓はダムができて以降、越道峠から入るのが一般的らしいが、佐藤さん情報によると北又小屋から少しトラバースしていったほうが時間的に早いとのこと。というわけで北又小屋まで来たわけである。小屋前で準備していると北又小屋のオヤヂがいい人で、そのトラバースの入り口である北又小屋から歩いたら15分はかかるだろうヘリポートまで車で送ってくれ、またその後の道も口頭で案内してくれた。曰く、「釣り師の90%は戻ってくる」と。

 植林地帯を抜けて下降し、支沢へ下る。すでにウェット装着なので非常にヤバイ。支沢で一度、20メートルほど懸垂下降し、本流へ下ったところはちょうどバックウォーターではなくなるところだった。暑い暑いとばかりに胸までの渡渉(流れは速くない)で行くと今度はアブの洗礼を受ける。暑い暑いから痛い痛いへと変わる。

 長瀞は胸までの渡渉で越えられるが、それなりに流れがあり、昔はたいへんだったろうと容易に想像がつくところである。なおも行くと、先行パーティ3人組がいた。彼らは越道峠から無難に下ってきたとのことだ。少し行くと魚止め滝となる。魚止めは2メートルほど顔を出している。右壁からトラバース。治田さんがリードするが、悪い。W+〜X−はあるような気がする。落ち口で対岸へジャンプし、次の5メートル滝は左から山崎さんリード。こちらはそれほど難しくはない。またしばらくいくと、大釜淵となる。ここは治田さんが空身でリードする。佐藤さんがビレーし、我らは見守る。とはいえ、陽気もポカポカ。また、虫もおらずなんともいい。・・・・寝てしまった。治田さんの「ぉぉりゃぁぁあや、フーフーフー」という叫び声で起こされたた。時間にして20分ほどあまり。どうやら苦戦して登ったらしい。佐藤さんが行き、私が行くとコリャたいへんだ。なんもないツルツルだ。まぁ潔くゴボウで登る。すぐ上で恵振谷が左岸から流入し、黒衛門滝となる。この滝は登れなさそうなので、素直に左岸まき。恵振谷とをわける尾根から登り、途中までは踏みあとが明確だが、途中からは不明瞭になる。結局、2時間あまり彷徨って、50メートルの懸垂で沢床に降りた。
 沢へ下りるとゴルジュが延々続くようになる。ヘツリ、ジャンプなどして越えていくと、ウナギの寝床のような淵を持った滝がある。ここを治田さんが渾身の左壁の空身トラバースで抜ける(結構嫌らしい)。もう少しゴルジュが続き、ようやく河原となりそこで幕営とする。夜になるとようやくアブは消えたが、今度はヤブカが出てくる。
8月12日
 2日目、早速、ゴルジュとなり、中瀞などを越えていく。白金滝は定石どおり左岸を巻き、懸垂なしで下りると、そこが漏斗谷の出合だった。あとも腰までの浸かりは当たり前で続くと、いつの間にか黒岩谷の出合を過ぎており、明るい河原となる。サルガ滝を左岸巻き・懸垂10メートルで下ると、ハイライトのきれいな渓相へとなる。ここから竿を出すが、吹沢谷出合まではピクリともこない。
 小川温泉に戻るべく、本流からわかれて、吹沢谷へ入る。まだまだ早い時間なので、治田さんと佐藤さんは竿を出しに上流へ行く。すると2人で3匹釣り上げてきた。吹沢谷を溯り1時間ほどで二俣。ここがいい場所だったのでまだ時間は早いがここで泊まることにする。治田さん・佐藤さんにたくさん釣り上げてきてもらった。
8月13日
 3日目。二俣を右に取り、読図どおりに乗越しにつく。あとは相又谷を下る。相又谷では途中、懸垂を3回ほどしたが、あとは無難に下り、林道に這い上がった。それにしても、アブが多いぜ。

 私としては胎内川以来のデカさだった。1日目はゴルジュが延々続くし、なんともたいへんだ。中流以降はキレイだし、明るい。典型的な名谷。そういう表現が相応しいのだろう。これに、私も敢えて抗うつもりもない。そのつもりはないが、おそらく数年後の印象は「案外楽な沢だった。それに虫が酷く多かった」という沢以外の漠然たるものに留まってしまうのではないか。
 そうなのだ。4日かかると踏んでいたが3日で余裕を持って溯行できた。もっとも天候に恵まれすぎるほど恵まれていたし、足が揃ったパーティーだったということもあるだろうが、なんとなく拍子抜けした感じがなくもない。また虫。この沢での教訓は黒い服はヤバイなということだ。150箇所以上は刺された。もうイヤだ。ということを鑑みても、まだ2週間経っていないが、なんとも余韻がないのである。
 とはいえ、次なる目標ができたのは大いなる収穫だ。そう。柳又谷である。1ランクも上と評される柳又谷。これだろう。北又谷にいったのだからぜひ並び評されるところは行きたいのである。

【記録】
8月11日(土)快晴
 北又小屋0800ー北又谷0930ー恵振谷1200ー幕営地1700
8月12日(日)快晴
 幕営地0630ー吹沢谷出合1230ー幕営地1400
8月13日(月)快晴
 幕営地0630ー相吹乗越0830ー林道終点1315ー小川温泉1430

2007.8.23 鮎島 筆