小川山


初日

<屋根岩3峰南稜レモン (山崎・高橋)>

山ちゃんは前に登ったことがあるというのでルートの華2Pと3P目を譲ってくれるという。うーありがたい。2P目の取り付きでまずはここから右にトラバースすると教えてくれる。が、マジッ?本当かよー?3Mくらい上にダイクがあるけどそこじゃないのー?絶対そこだというが心眼を凝らしてやっとしわが見えるかどうか。下はすっぱり切れ落ちている。まぐれで落ちずにカンテまでたどりつけても向こうに何もなかったら戻ってこれるとは思えない。再再度山チャンに確認してもやっぱそこだというので、"ダメだー俺には無理だー"と許してもらって上のダイクからトラバース。カンテにガバアンダーもある。下を覗き込むとさっきの所を回りこんだところには何もなかった。命拾いしたー。あとで山チャンが登ってきて"スミマセン。やっぱりダイクで正解でした。あのまんま行ったら大変なことになってましたねえ"。・・・・勘弁してくれー!3P目のきれいなクラックは高田さんからもらっていた事前アドバイスのままに、一気に攻め落とす。そう、プロテクションをとってぐずぐずしているひまはないのだ。それにしても中間部の一本のぺツルがなかったら・・・怖ろしい。最後は適当に右の岩壁のほうにルートを取って岩峰の頂上に出て終了。歩いて3峰の頂上に立つ。ぐるりは岩峰だらけで永遠に登りつくせるとは思えない。もちろん10台までに限ってもだ。遠く小海線沿いはまだ朝の雲海の下に埋まっている。こうして小川山初ルートは素晴らしい印象を残してくれた。

1p目終了点でレモンと分かれてから、すぐ上の木でピッチを切りました(ロープの流れ)。 3p目は、南稜の左側の側壁バンドを登っていく感じになりましたが、出だしが垂直。ペツルが打ってあるが落ちるとバンドで捻挫しそうで怖い。(去年はここでテンションぶっこいた挙げ句、後輩にリードしてもらうという屈辱を味わいました)。垂直部を抜けてバンド上を左上するがボルトはなく、キャメロットC4の#1〜4くらいで取りました。3p目終了点はボルト二本のビレイ点。4p目は、一段上がるとボルトがあり、コレにクリップしてからチムニーへ突入。とにかく狭い。落ちないけど動けない。仕方なく体の各パーツの動くところを少しずつズリ上げるのですが、ハーネスのビレイループや、上着・ズボンのあちこちが悲惨なことになりました(土方用のウェアを推奨)。禁じ手「動きそうなチョックストーンで誤魔化す」などを駆使してなんとか抜けましたが、体の小さい女性なら案外楽勝かも。尾根上に出て、ハイマツでビレイ。これで事実上終了。てなわけで、カムは大きめが有効。小さいのも使えますが、#0.5とかは使わなかった気がします。ナッツは不要。#0.75〜4を1セットあれば十分かな?

<屋根岩3峰南稜神奈川 (渡辺・久保)>

一緒にレモンを登るつもりであったのだが例のダイクトラバース(山崎SPECIALではない正規ルート)で"エーッまじっすかー・・・・俺らには無理です。転進しまーす。上で待っててくださーい"とナベはさわやかに神奈川ルートに向かってしまった。パートナー久保ちゃんがマルチがずいぶん久しぶりみたいなので考えたのかもしれない。ナベは前に来たときにテンションを交えて怖い思いして登りきったようだが、今回はきれいに登れてうれしそうだった。九州から参戦の久保ちゃんにいたってはもうこれ一本で腹一杯な様子で"いいとこですねー"と連発。チムニーはあとで案内を読んでみると侮れないというかレモンのクラックと同じ5.9だそうじゃありませんか。自分も今度ここにきたら登ってみたい。

<屋根岩3峰同志会ルート (山崎) 10b>

南稜取り付きの右端の1Pのショートルート。山チャンの課題の一つだったそうだが一撃。長ーい今時のボルトルート。トポには無星だがルート名で損しているのでは。時間がないので、他3人は取り付かず次へ移動。

<屋根岩2峰セレクション (高橋・久保 / 山崎・渡辺)>

これが小川山のミニマムボルトってやつか。出だしのクラックを越えて広大なスラブに出ると凍りついた。次のボルトが絶望的に遠い。はるか彼方のピッチ終了点の立ち木まで2本?いや3本?奥多摩ならX3はボルト打たれているはずだ。5.8なんていくらスラブでも余裕だぜと考えていたが、滑りそうでちびる。ほうほうの態で登りきる。今回のツアーで一番印象に残ったのはこのダイヤモンドスラブと上部トラバースだ。このくらい余裕で登れるようになりたい。いやならねば!せっかく蜘蛛の糸を登っているパーティがいた(山崎さんの知人)のに全く鑑賞することができなかった。そして、出ました神々のトラバース。きっとここだと思ったが、そのままルンゼをつめれば簡単にすぐルート終了になる場所にあるので本当にここか心配になる。あまりにもナチュラルではなく無理やりな、とんでもないラインだ。凄まじい高度感。回り込んだ向こうは全く見えないし。後続を待って確かめたかったがまだまだ来そうもない。プロテクションは見当たらないが行って見るしかないだろう。難しくはなかったが最高にしびれる。最終ピッチはここまできたら左の真っ直ぐ上に伸びているクラックを登るしかないだろう。抜け口、傾斜が変わるところが難しかった。終わってみればこの最終2ピッチ、いやトラバースの1ピッチがセレクションを三ツ星たらしめているセクションだった。無理やりどころかここしかないってラインに思えてくるから不思議だ。後続のパーティではクラックでナベが落ちたのがわかった。カムでよく落ちれるぜ。立派だ。それにしても山田推薦のジェットストリームは凄い。いつかたどらねばならないだろう。

出だしのクラックで確か#2を使ったと思う。ジャミングが2手で難しいが、2手だけなのでトライ→無理だと思ったらクライムダウンを繰り返していれば登れる(順待ちの人の視線は無視!)。スラブは高橋さんの言うとおり結構なランナウト。こんなに真剣にラインを見つめたのは初めてかも?2p目は楽勝のチムニー。3p目は出だしの1本目ボルトクリップが全て。クリップしてしまえば適当に。上でカムの大きめの物(2番前後?)を使えた気がします。4p目は大岩のトラバース&匍匐前進。#1〜4を総動員。匍匐前進前にひしゃげたRCCがあり、コレにクリップしたあと足下に#4を決めたら流れが激悪になりました。5p目はコーナークラック。短いけど超カッコイイ。カム#2〜3が有効。アームバーやフィストジャムが(下手くそにもかかわらず)ガンガン決まるのでムーブとしては簡単なんだろうけど、高度感から思い切った動きが出来きず、結局山さんと交代。山さんは抜け口で少し行き詰まった他は楽勝といった感じでした。フォローしてみたら、抜け口は意味不明。これが5.8?翌日登った10b(c?)の方がよっぽど簡単なんですけど?トポによると抜け口周辺にボルトがあったようですが1本もありませんでした。山さんは抜け口に突っ込む前に#4を決めていました。ちゅーわけで、#1〜4を1セット、できれば#2〜3は2個欲しいところだと思います(特に#2)。

2日目

<ガマルート(山崎・久保 / 高橋・渡辺)>

今日も天気に恵まれリッジをたどる上部は時々カッコいいクラックがでできたりして、時々歩きが入るのがなんだが快適の一言に尽きる。下部のスラブも昨日に較べれば余裕を持って楽しめる。きっと慣れたのだと思いたい。頂上がスラブ上岩壁の頭なので帰路、下部のショートルートで遊ぶ。

セレクションが強烈すぎて、良く覚えてません。いい感じで(遠すぎず近すぎず)ボルトがあるので快適です。最初の1本にいいんじゃないでしょうか?ただ、最後の頂上岩壁マントルはピトンしかなく、かつカム・ナッツも使えません。落ちるとスラブ状岩壁を真っ逆さまに落ちそうなので、#4で足下から取り、とりあえず下までは落ちないようにしました。そのうちピトンも撤去されそうで怖い…つーわけで、あんまりカムは要らないかも。途中コーナーを登るピッチで#0.5を使いましたが決まりませんでした。同サイズのエイリアンなら決まったと思います。

<スラブ状岩壁高い窓10b>

山ちゃんハングドック。高橋一撃。奥多摩でもありそうなボルトルート

<スラブ状岩壁オーウェンのために祈りを?10c?>

山ちゃんハングドック。ナベ二撃で攻略。久保一撃で見切り退散。あとでトポ見たらこのルート名・グレードっぽいけど。どうなの?高橋は触らなかったので不明。いや、疑ってるわけじゃないんだけど・・・スミマセン。

以上、

クライミング三昧で最高に充実しました。出張ついでの山ちゃんもきっと満足。一皮剥けて(指の表面が)課題も山ほど持ち帰ることができました。ナベのクラックマシーンを見よ。滑らないように紙やすり貼り付けたほうがいいんじゃねえか。また行こう!(記:高橋)

<考察>クラシックなフリールートは、本チャンに通ずるものがあると思いました。といういか、元々、フリーって本チャンよりルールが厳しいんだから、厳しくなるのはあたりまえの筈なのに、何かお手軽に感じてしまうのは、結局の所(東京近郊の岩の)ボルトが多すぎるからなんでしょうね。いや〜、修行&勉強になりました。また行きましょう!(記:渡辺)