■奥秩父/笛吹川東沢東のナメ沢

2008.6.1
鮎島仁助朗、渡辺剛士

4P目。フリクション限界傾斜を駆け上がる!
 行きの車の中、ひたすら長渕DVDを流し、モチを上げておく。なにせ、連日の雨・・。ジトジト湿っぽい中、スラブに行こうなんて長渕で気合をいれなきゃやってられないぜ。でも、長渕のレベルは高すぎだ。とにかく熱い、熱すぎる。ちょっとモチベーションが下がり気味の我らには♪やるなら今しかねぇ♪というフレーズが、やけに痛く、心に響いてくる。とりあえず、今回のテーマ曲に採用決定!
 朝。とりあえず、“起きたときに路面が濡れていたら奥多摩に転戦しようね”ということにしておいたが、乾いてるんだな。いや、それ以上に天気は快晴。久しく見ていなかった青空は長渕以上に気合を戻してくれる。でも、でも〜。東沢の最初の渡渉でいきなり、心が折れそうになった。“ひょぇぇ、水、痛ぇ”。冷たいんじゃないよ、水が痛いんだよ。なんだこれ。5秒として足をつけられない。加えて、水も多い。ホラノ貝なんて水で溢れかえっている。・・・。チョイ白けムードが漂ってくるけど、“行くなら行くしかねぇ”。その後、渡渉のたび、“うぉりゃぁぁ”と叫びを上げていた・・。
 そんなんで、東御簗江出合。見失うぐらいチンケと聞いていたけど、逆に立派すぎて東のナメと勘違いしたぜ。なにせ、水がじゃんじゃん流れているのだ。少なくとも、とても登れるようには見えないのです。まぁ「とにかく今回は東御簗江は無理だったね」との意見に合意。
 これまた立派な乙女の沢を右岸に入れれば、ようやく東のナメ沢。高橋さんたちはなぜ間違えたのか?というほど感じで圧倒的なスラブ滝が視界に入る限り続いている。絶景だね。そ・し・て、な・ん・と。乾いてる〜!よっしゃぁ。さっき、あのセンテンスを言わなくてよかった。さっきの不安感は完全に払拭され、さぁ、ヤル満だぜ。
 出合でフラットソールに履き替え、まずは水流右を上がっていき、適当なところから左へ。フリクション、オッケィ。途中、残置とかがあるが別にロープも必要とも思われないので、そのままガンガン上がっていったが、まぁ“そろそろ出しておく?”みたいなノリで、じゃんけんで勝ったナベからリード。そういえば、ナベとのじゃんけんは2戦2敗だな・・。
1ピッチ目(V、50m、ナベ)
 水流左の何もないスラブを攻めるべく、ハーケンを打とうとしていたが、“カランカラン”といい音立てて落ちて行った・・。結果、無理せず左から登っていた。こっちは残置もあって快適。
2ピッチ目(V、40m、鮎島)
 全然、難しくはなく、快適だ。でも、残置が一切ない。段差のところまで。あーここまでは、余裕だったなぁ。
3ピッチ目(W+、35m、ナベ→鮎島)
 滝の水流すぐ左にラインが見えたが、落ち口のスラブがどうしても登るように思えず、段差を登り、草つきがはがれたような黒光りする壁をナベが行くが、何度も上がっては下り、上がっては下りを繰り返す。とりあえず、トップ交代。違ったラインから行くことにするが、体感はW+!クソッ。ほしいところにリスがない!目を皿にしてよくよく見ればボルトが根こそぎ折れているやんけ!キビスィ!濡れているし、傾斜もあるし、ホールド遠いし、とりあえず今回のテーマ曲“やるなら今しかねぇ”を反芻させながら、ちょっとずつ拾って登っていくしかなかったぜ。でも、帰ってから高橋さんの記録をもう一度読むと、あの不可能そうに見えた滝左ラインはそんなに難しくなく登れるらしい・・。ガーン。まぁいいや。
4ピッチ目(W、40m、ナベ)
 何もないようなスラブになぜか“唐突”にあるポケット状のアンダーガバに緑キャメでランナーをとったあと、水流左をヒタヒタ、いやスタスタと一気に駆け上がる。でも、ランナーがあれだけでフリクション限界のスラブというのは・・おそらく、ナベも“やるなら〜”が脳内にあふれかえっていたことでしょう。
5ピッチ目(W、25m、鮎島)
 正確に言えば大スラブ滝上の15m滝。通常、左岸をまくらしいが、資料なんか見てなかったので一連の大スラブの続きだと思っていた。水流左を直登。空身で登るが、もちろん支点もなく、傾斜もあり、ちょっと渋い。
6ピッチ目(W−、30m、ナベ)
 これも正確に言えば大スラブ滝上の20m滝。通常、右岸からまくらしいが、同上。水流左を直登。支点はないが、よく見れば細かいホールドが多数あり、それほど難しくはない。
 一の沢を出合ったあとは『キタナイって言うか、まあ尾根まで短くて助かった』と高橋さんが書いていたことは覚えていて、キタナイのは覚悟していたが、どこが短いの!?倒木が多くてボサボサでキタナイのところが長い。加えて、詰めの急傾斜も長いよ。確かに終わってみれば1時間半程度とそんなに長くはないけど、ものすごく長く感じた。まぁ、シーズンも中盤となればこれも慣れてくるのかな。
 加えて。鶏冠尾根の下り。こんなに悪い道だったけ。昔とおったときは、“案外悪くない”と思った記憶があるけど、今回は・・。いや、岩稜帯はこんなもんだったさ(念のため懸垂)。問題は、ドロドロのところ。傾斜もあるし怖いよ。道自体はおよそ20mおきに赤テープがあるので、間違えることはないが、視界がないときは嫌だね。あぁ、天気がいいときでよかった。
 『ピンは意外に結構あり、テラスも広く、全体に4級を越えるところはなく(?)、とにかく気持ちよく美しい。』え、そうなの?。「気持ちよく美しい」のところは、ボクも同感ですけど・・。ちょっとカラいな・・。高橋さん。
 確かに、クリーンになったという噂は耳に入っていたし、だからこそ行ったという面もあるのだけれど、本当に本当だったなんて!あん!?立ち木・草付き?そんなものねぇよ。あん!?残置?そんなものねぇよ。いや、あるにはあるけど、とにかく意味ねぇとこにしかないんぢゃ!そう、結局、ルートファインディング・支点作りなど、クライミングの原点に帰らざるを得なかったわけで・・。ムフッムフッだす。
 でも、東のナメはこの大スラブ滝だけじゃないよ。今季、本格的な沢は初めての我らには、アプ・詰め・下山とそれ以外のものでも気合を入れる必要があり、総合的にもかなり充実したものになりました。。
 でも、東御簗江か・・。うーん、はっきり言って、東のナメよりワンランク高そうだ。東御簗江の前に東のナメを卒業しといてよかったなー。つくづく感じるぜ。ま、秋に挑戦だな。

2008.6.2 鮎島 筆

【記録】
6月1日(日)快晴のち曇 駐車地0645、東のナメ沢出合0845、一の沢出合1200、稜線1335、駐車地1620

【使用装備】
ロープ8mm×50m×1、ハーケン(ナイフブレード・ロストアロー)たくさん、キャメロット(緑・赤)、エイリアン(黄)、クラミングシューズなど

【写真】

@スラブ1段目から。
スラブが青空と新緑に映える!

A1P目。登っているのではなく行き詰まって下りてきているのです。
でも、スラブって下るほうが怖いのよ。