■戸隠/鳥居川大洞沢釈迦崩沢〜釈迦スラブ〜戸隠山
2008.6.28
鮎島仁助朗
朝発にしようかなと思ったけれど、午前中しか天気が持たないらしい。それなら6時前には戸隠牧場を出発したいが、普通に考えて戸隠まで3時間以上はかかる・・。しょうがない夜発だ。結局1時間半しか眠らず、予定通り5時前に戸隠牧場に到着。
戸隠牧場から一不動に上がる大洞沢沿いの登山道を歩いていく。やはり中高年の一団がいた。元気だね。手持ち資料では、帯岩の基部から釈迦崩沢に入るとあったので、帯岩まで行ったが、該当するものがない。ムム。帯岩とは最初のナメ滝なのかなと思いたち、確かにそのすぐ下で左岸から沢が流入していた。
この出合付近に雪が残っている。しかし、ブリッジ状でもなく、沢の端っこに「行儀よく並んでいる」という感じ。別に溯行に影響するものではないが、それによってどうかわからないが、ブヨブヨが多い。裾花地獄谷のときと同じだ。
F1は5mほどの滝。無難に左岸の草付から巻くが、いかにも「雪国の草付」のような不安定な草付を久しぶりに経験すると、悪い思いしかしない。続く、F2&F3は階段状で傾斜も緩く水流を左から右に行くように直登。しかし、ヌメヌメで怖く、私のキャニオニア2では立ちこみが怖い。途中からクライミングシューズ着用してしまった。
もう一つヌメヌメの細かい滝を登れば、すぐに釈迦スラブが見えるようになる。次いで10メートルの堅い壁を登れば、ドーンと開けて写真の風景が広がる。
確かにこの風景は見ものだ。思わず顔がにやけ、“いいねぇ”と呟いていた。これだけでも来た甲斐があったと思わせる。いい景色だ。でもどこ登るの?となると一番素直な中央スラブや右スラブは明らかに厳しそう。少なくともフリーソロで登るような世界ではない。記録的にも精神的にも、左スラブを登るのが精一杯だ。
この左スラブは中央や右と比べると、案外スッキリしていない。草も結構ついてあるのだ。資料では左リッジルートや左ルンゼルートなど、3通りの登り方があると書いてあるが、どれも同じような感じ。どこだっていいよ。というわけで本能の赴くままいくと自然と「左ルンゼルート」っぽいところに入り込んだ。グレードとしてはV級を越えないが、もろいところも多々あり、また傾斜はないといってもスタンスはちょっと細かいのでクライミングシューズはあったほうがよいという代物だ。また、完全にフリーソロで登る気だったので、あまり壁の状態はよく見てないが、残置などは見かけなかったし、リスもあったかどうか覚えていない。全体的にノーロープで登れる壁だろうが、もし必要と感じるのなら、ボルトはもって行ったほうがいいかもしれない。特に上部の中央スラブを登るのなら、必携だろう。
スラブ自体は50mも登ればちょっとした潅木帯となり、そこを5mもあがるとすぐそこが登山道だった。拍子抜けするくらいに簡単に出た。まだ時間は7時。エアリアの牧場から一不動までのコースタイムも2時間だから、結局あまり変わっていないことになる。まぁこんなもんかな。
せっかくなので、戸隠山を縦走して帰っても、10時前には駐車地に戻ってしまった。
この写真の風景、青い空と一面の白いスラブはけっこうイイでしょ。実物もこの写真以上にいい雰囲気だった。しかも、戸隠牧場から一望できるものすごくわかりやすいところにもある。以上、アピールポイントでした。
うーん。でも、どうでしょう。あえてはお勧めはできないな!なにせ、『谷川一の倉を10分の1にしたスケール』という言葉通りなのだったからね。“あれっもう終わりなの?”という感じ。この光景は確かにすごいとは言っても、長野市街に住んでいるのならともかく、東京からわざわざ行かないでしょう。裾花川本谷を上って一不動避難小屋に泊まって、次の日ちょっと見てみたい・・という方へはおススメしたいかな!?
でも、私としては戸隠山にも登れたし、蟻の塔渡りで肝試しできたし(けっこうビビンなかったぜ!)、戸隠奥社の雰囲気はとてもよかったし、戸隠LOVEになった。心残りは、10時前に下りてしまったので、再び「そばソフト」食べられなかったこと・・。次(裾花本谷?)こそは・・。
2008.6.30 鮎島 筆
【記録】
6月28日(土)晴
戸隠牧場0500、釈迦崩沢出合0545、釈迦スラブ基部0630、二釈迦0655、戸隠山0805、戸隠神社奥社0910、戸隠牧場0940
【使用装備】
沢靴、クラミングシューズ
【写真】
@戸隠牧場からの釈迦スラブ(赤線が登攀ライン)
A釈迦スラブ基部より中央スラブ