■戸隠/楠川不動沢左俣右沢

2008.9.6
鮎島仁助朗

奥壁スラブ基部より
 ケーサツに捕まり、不機嫌になりつつずっと下道で運転したら、結局2時間しか寝れなかった。
 鏡池から、300mほど車道を歩いたところにある上楠川林道を終点まで30分歩いたところから藪を漕いで入渓。特になんてことはないが、泥岩のナメがあったりして他の山域にはない渓相が随所に見られる。
 いつの間にか百丈沢を分けて10mほどの滝を左から巻くと地形図の二俣。ただし、ものすごくわかりづらい。GPSを持ってきたのでわかった。持ってきた資料(R&B20年記念号)では不動沢右俣と書いてあり、てっきり地形図上の右俣と思い込んでいたので、右俣にはいる。しかし、書いてあるような15m滝が連続するという渓相ではない。確かに一つ、上部がいやらしい感じのものがあったが、それを越えると、どーんと35m滝が出てくるではないか。おいっ。こんなの書いてないぞ。登れなさそうだし。少なくとも単独じゃいやだね。おかしいな・・。よくよく、資料を読み返すと、右俣に入ってしばらく行くと最低コルの沢を左に分けるとある。ん、それじゃ、奥の二俣の右俣ジャン。おいっ。しっかり書けよ。
 しょうがなくさっきの二俣まで戻り、すっかり戸隠っぽくなった(両岸が切れ落ちている)渓相の左俣を30分ほどいくと奥の二俣だ。ここは完全に「二俣」ッという感じがするのでわかりやすい。
 ここを右に入ると確かに15mのナメ滝が入る。ま、難しくはない。ここで今回新調したクライミングシューズのような登山靴に履き替える。
 次第に小ゴルジュになっていく。水流は細いのだが、股ぐらいの深さがある釜などがあって結構面白い。そしてこれが結構簡単じゃない。ガバがないのよ。クライミングシューズを履いていたので越せたが、ちょっと怖かった。この小ゴルジュを越えて、小滝をこえていくと奥壁スラブ基部となった。いつの間にか最低コルへの沢との出合は過ぎていたらしい。
 この奥壁スラブ。うーん。視界がないのでよくわからない。晴れるという予報だったのだが・・。ま、スッキリしていない壁であることは確かだ。これが目当てで来たのになんかなー。しょうがない。資料どおりの左っぽい水流から登るがこれが結構渋い。傾斜はなく、一見簡単そうなのだけれど、ガバが無いし、スタンスも細かいし、ちょっと滑りやすいしで、見た目より悪いのだ。私はクライミングシューズをはいていたからよかったけど、沢靴じゃちょっとね。なお、草付スラブだけど潅木は無いし、リスもあまりなくピンも取れないから単独だろうがパーティを組んでだろうがあまり関係ないと思う。なんか、怖いなーとおもいどうしようかなーと思って周囲を見ると、さーと視界が開けた。っと、おれスラブの真ん中にいるじゃん。アレ?。左端を登る予定だったのだが・・。おーい。草付スラブを左へトラバースして、階段状ルンゼに入れば、ここからは簡単。でも、稜線までは果てなく遠く感じた。最近、山に登ってないからね。疲れた疲れた。
 あとは八方睨まで登り返し、蟻の塔渡りを通過し(今回は立って歩けた!)、奥社まで。この道は2度目だけれど、なんか奥社までは近く感じる。あとは随神門まで気持ちよい杉並木を歩いて、右に折れて鏡池まで。なかなかいい雰囲気だ。

 『ロック&ブッシュ』資料ではこの沢は不動沢右俣と書いてあるけど、地形図と紛らわしいので、ここでは不動沢左俣右沢と記しておく。
 戸隠の沢は、大体が日帰りでいけて、ちょっと独特な感じがあって、私は結構好きだ。これがもうちょっと東京から近かったらね。でもこの不動沢はうーん。まぁまぁかな。特にお勧めしたいとかはないけど、悪くはなかったと思う。奥壁スラブはちょっと期待はずれだったけど、あの小ゴルジュはちょっと楽しかったし、いいトレーニングにもなったしね。
 百丈沢はちょっと面白そうなので、やってみたい気持ちもあるけど、絶対にッというわけじゃないし、頭の片隅においておこう。いい勉強になった。

2008.9.8 鮎島 筆

【記録】
9月6日(土)曇
 鏡池0645、入渓0715、二俣0815、奥の二俣0900、稜線1000、鏡池1115