会越・広谷川御神楽沢(本谷ルンゼ)


期日:2008/09/26〜28(前夜初一泊二日)
隊員:佐藤益弘(L・記録)、渡辺剛士

今回学習したこと
- 車にノコギリを常備するとよい
- 雨の日の焚き火は寒い

 ここ数年意識していた沢の一つが会越御神楽沢だ。例会で御神楽沢に行きたいなーと言っていたらナベが乗ってきてくれた。御神楽沢といえば思い浮かぶのは奥壁の景色で、これは2週間前行った大畠谷もそうなわけで、似たような沢に間隔を置かずに行っちゃっていいのかなあなんて思ったりもした。


9/26 
秋葉原〜津川〜林道途中

 金曜夜、秋葉原駅電気街口に集合。津川にコンビニがないと困るので朝飯や入山祝い用のビールを買ってから出発する。実際には津川ICを降りたところにコン
ビニが2軒あり杞憂だった。
 津川ICで高速を降りて蝉が平の集落を通過し砂利の林道を進むと、なんと倒木が行く手をふさいでいる。どかせそうに見えたのでシュリンゲを掛けて車で引いてみたら車から白煙が上がった。クラッチが焼けたようだ。あきらめて少し戻ったところに車を停めてテントを張った。
 倒木にやられて幸先悪いが、星が出ていて天気は良さそうだ。実は数日前、ナベから土日の天気が微妙だというメールがあったが、楽観的な私は回復傾向だから問題なしと答えていた。天気予報では土曜日は曇り時々雨の予報だが、発達中の低気圧は金曜日に通過して土日は好天になるように思えたからだ。


9/27
曇りときどき雨ときどき晴れ、のち雨
林道途中〜林道終点駐車場〜湯沢出合〜ム沢出合〜スポンジ沢出合付近
 
 時計のアラームで6:00に目を覚ます。でも寒いし眠いし聞きたくなかった雨音が聞こえる。あれー?天気は見方じゃなかったの? ナベの「あと30分寝ちゃだめですかねー?」みたいな消極的な提案に迷わず賛成してしまう。30分後、起きて外を眺めてみると青空が出ているのに雨が降っているし雲はものすごい早さで流れている。微妙な天気だ。
 朝食後準備して7:50頃出発。例の倒木を見てみるとしっかり根が残っていてとても動く代物ではなかった。倒木を跨ぎ林道を歩くと30分ほどで林道終点についた。のんびりと登山道を歩き、湯沢出合から入渓する。湯沢出合付近の本流はものすごい速さで流れており、ちょっとびびるが、実際に入ってみるとそれほどでもなかった。
 ム沢出合まで悪いところは無く、ナメやスラブの支流が美しい。
 ム沢出合では通常は御神楽沢は伏流しているようだが、今回は立派な沢になっている。やはり水量は多いようだ。瀞があったりするが、寒いので水につかるのを出来るだけ避ける。ウェットを着ているので腰から下は1分程度ならなんともないのだが、軍手しかしていない手は一瞬で間隔が麻痺してしまう。ネオプレーンの手袋とか使うといいのかなあ?まずは大滝、無理せずせず大巻し最後は懸垂で沢にもどる。草付がすべっていやらしい巻きだった。
 続いて小滝の連瀑帯は楽しく登りまくる。落ちても笑って済むから楽しい。でも寒いから落ちるのはいやだ。それにしてもナベのアクアステルス忍者は強い。私が沢足袋でフリクションの限界で滑り落ちたつるつるの岩もすたすたと歩いて行ってしまう。
 中の大滝は一見して悪そうに見えたので右から巻いた。20m あがってからロープをつけてトラバースに入るがすぐ行き詰まる。下は灌木が続いているが垂直、上はクラック状だが悪い。トップをナベに代わってもらい、上から巻き、懸垂して沢に降りた。
 最後のゴルジュは右から巻くが、踏み後があり易しい。途中からザイルは不要に思えたがそのままスタッカットで進む。最後は懸垂無しで沢にもどれた。
 テンバを決めて、暗くなるぎりぎりまで出来るだけ薪を集める。時折小雨がぱらついているが、どうしても焚き火をしたかった。真っ暗になった頃、焚き火開始。雨が降っているし薪もぬれているのでなかなか火が安定しなかったが、最終的には太い薪にも火が点き立派な焚き火になった。でも、ちっとも暖かくない。雨とぬれた薪に熱が奪われてぜんぜん熱気が来ないようだ。それでもしつこく焚き火にあたっていると悲劇が起きた。ナベの新兵器「忍者」が溶けたのだった。



9/28
晴れ
スポンジ沢出合付近の露営地〜本谷ルンゼ〜稜線〜御神楽岳〜栄太郎新道〜下山

 昨夜ヘベレケになる前にセットしておいたアラームが5:00に鳴る。天気はよさそうだけどやはり寒い。半身をシュラフカバーにつっこんだまま火を着け、お茶を飲み、朝飯を食う。飯を食ったら急激に眠くなって「ちょっと寝させて」とすら言わなかったかもしれないが、がくりと30分くらい寝てしまった。疲労か睡眠不足か、でもこの睡眠で心身ともに回復しやる気が出てきた。前日はたき火で忙
しくてろくに奥壁を眺めていなかったが、一見して「あんなののぼれねーよ。やばくね?」とか言っていたのだが、改めてじっくり見てみると、絶望的なのは正面ルンゼで、これから行く本谷ルンゼはもう少しマシなようだ。
 ビバーク地からすぐに狭いゴルジュ状になり小さなスノーブリッジを一つ慎重に潜ると小滝の連続となる。腐りきった残置ハーケンのある1mのチョックストン滝、ナベはあっさり登ったが私はハーケンを打ってシュリンゲあぶみで越えた。しかし渓流足袋の限界を感じたので、この先でクライミングシューズに履き変えた。クライミングシューズは快適そのもので、普通登らないようなところも登れてしまうのでルートファインディングが下手になりそうで怖いくらいだ。
 本流っぽい谷筋が消えていくところで、自然に左側の本谷ルンゼに入っていき、一段上がった大岩の下の広いテラスで休憩する。広いテラスから左の水流沿いをノーロープで5m登ったところのテラスで灌木をビレイ点にしてロープを付ける。
 1ピッチ目 50m III(ナベ)直上は悪そうなので右へトラバースし、さらにスラブを右上、カムを支点にビレイ。
 2ピッチ目40m II(佐藤) 左へ進み水流に戻り、10m上って右のテラスで灌木とカムでビレイ。ロープ不要な感じ。
 3ピッチ目40m III+(ナベ) ブッシュ沿いに数メートルあがり、そこから左へトラバース。トラバースしはじめの数メートルが悪かった。
 ロープを解き休憩。水が無くなりそうなので1Lくらい汲んで担ぐ。ここからの景色はなかなか気持ちいい、昨日の最後のゴルジュや、ビバークポイント付近のブロックも小さく見える。ふと周りを見渡すと左側にもう一本支流が入っているのが見えて気になるが、こっちの方が快適そうなので間違いないだろうと直上していく。あとは快適に登っていくうちに登山道に出た。ザックを置いて空荷で御神楽岳の山頂を往復した。山頂の展望図を見ながら山の形を確認してみたがいまいちよくわからない。1月にスキーで行った博士山もよくわからなかった。
 下山は登山道だが、ハイグレード?との噂通り確かにすごかった。登山道そのものがスラブやリッジが怖かったが、景色がまた凄い。湯沢は噂通りだけど大蕎麦谷も凄い。大蕎麦谷右俣の出合の真っ黒な割れ目はいったいどうなっているのか。いつか行きたくなった。
 林道に降りてみると倒木が切られていて来るときには無かった車が林道終点に駐車してあった。断面からして素人のノコギリのようで、その車の主が切ったようだ。なるほど車にノコギリを常備していればいいのかもしれない。

<タイム>
9/27 倒木の駐車地(7:50) - 林道終点(8:20) - 湯沢出合(9:10)- ム沢出合(9:45) - スポンジ沢付近(17:15)
9/28 スポンジ沢付近(7:55) - 稜線(11:50)- 山頂(12:10) - 林道終点(16:30) - 駐車地(17:00)

<使用装備>
50mロープ、ハーケン2枚、カム(ポケットには今一決まらない)、ウェットタイツ、クライミングシューズor忍者、ツェルト


<写真>
入渓してすぐはこんな感じ





御神楽沢に入ってすぐのゴルジュ。寒いので右岸から小さく巻いた。



シャワーは速効で抜けないと辛い







中の大滝のちょっと前で、トンネルをくぐった



右が正面ルンゼ、左が本谷ルンゼ(2枚目は朝とった)








雪渓はくぐった






1p目をフォローする佐藤隊長



2p目をリードする佐藤隊長




3p目、核心となった草付トラバース




見下ろすとなかなかいい景色。(ロープ解いたところ)









もはやロープは不要で快適






実は登山道が危険



記録 佐藤    写真 佐藤&渡辺


山登魂TOPへ