■奥秩父/瑞牆山本峰南壁「トムソーヤ冒険ルート」[クライミング]

【瑞牆山本峰南壁下部洞穴~だるまフェイス~上部フェイス継続】

2009.4.4
鮎島仁助朗、渡辺剛士、鈴木さん(カリ)
 あの「いっぽん」に行く予定だったが、初登者のOさんとお友達のSカリさんが、「アソコはヤバいゼ」という情報をこれでもか!というほど引き出してきた・・・。まぁ、自分でどんな感じなのかも確認したい気持ちもあるけれど、まぁ、せっかくSカリさんが東京まで来てくれるんだからハズレリスクが高すぎるところに行くこともないね。・・・とは言うが、実のところはヒヨったのだ。ピヨピヨピヨ。
 っというわけで、代替案。鹿岳を逆提案されたが、なにせ15時から国立で花見なんで厳しい・・。なるべく午前中で終わることを第一に考えて、同じような岩塔の天鳥岩を提案したが、すでに登ったことがあるとのこと、なら、しょうがない。今シーズンのイチオシルートを放出するか・・。
 それがこれ。ガイドの篠崎さんのブログで見かけたルート、「瑞牆山本峰南壁トムソーヤ冒険ルート」。っといっても、ただの既存ルートを継続して登るものだが、これが絶対に面白げだったのだ。なにせ洞窟登り~しばれるフェイス~百名山ピーク!。Ⅳ・A1だし、3軍クライマーには完璧だしょ。
 問題は、寒いんじゃないか・・と思われること。それも、初登自体は3月31日と4月1日になされているので、きっと大丈夫!と思うことにして、頑張るのだ。
洞穴を登るSカリ だるまフェイスを登るナベ
 瑞牆山荘奥の無料駐車場で仮眠するが、夜はなんか寒い・・。Sカリさんは目出帽をかぶっている。それもそのはず、朝、明るくなって周囲を見渡せば、雪がちらほらある・・。本当に登れんのか・・。
 とりあえず寒いので、超速で登山道を登り始めて富士見平山荘まで。そこまでは雪がないのだが・・。そこから登山道は北側斜面に回りこむと同時に一気に雪が・・・。イヤフツーに雪山なんですけど・・。うちらは完全嘗めていて、ジョギングシューズ・・。まぁ何とかこけながらも歩くが、、。
 大ヤスリ岩が目前となって右側にそれらしきスラブが見えてきたところで登山道を離れる。急傾斜のスラブにクラックが走っている。まぁ登れなくはなさそうだが、「3軍」が登れるところじゃない。その右にRCCが打たれたボルトラダーもあるが、まぁいいや。そのまま雪がバリバリある基部をスルーして一番右の汚い、いや木があるフツーのルンゼ・・。洞穴っぽいもの見渡せないし、なんかなーというところだが、トポではどうみても洞穴ルートの取付きはたぶんここ。コーディネーターから取付く。

1P(鮎島、20m、Ⅲ)
 木登りで一段上がってあとは右上バンドを登る。まぁフツーは簡単なんだろうけれど、悪い!なにせガバには雪がついているわ、バンドには雪が載っているわ、そしてフラットソールはまったく雪に弱いのだ!つるっと行きそう・・。慎重に登って、洞穴の入り口のテラスまで。
2P(鈴木、25m、Ⅳ+)
 10mちょっとのめっちゃ洞穴♪♪。暗いです。ただ壁は冷たいものの、ここは雪がないので快適!はるばる来たSカリさんがこのおいしく目玉ピッチをリード。この洞穴はずりずり上がるよりほかないが、出だし5mぐらいはピンも取れず(ビッグブロならつかえる??))、結構怖いクライミングとなる。CSを越えてあとは慎重に這い上がって潅木まで。・・・ビレイしている方は寒いです。なお、リードもフォローも空荷&荷上げです。
3P(渡辺、20m、Ⅲ)
 木があるルンゼから小洞穴を抜けて見晴らしのいいところまで。これまた雪があってすべりやすいので、慎重に行けば難しくはないが、ここでアクシデント発生。。Sカリさんのハーネスのギアラックの紐が切れ、カム・ヌンチャクなどが落下、雪の上を転げ落ちたのだった・・。Sカリさんの奮闘の結果、なんとか全部回収できたと思う・・。
4P(コンテ、60m、Ⅰ)
 フツーの歩き。くるぶし位まで積もっている雪を慎重に歩いて上部だるまフェイスの基部まで。
5P(コンテ、15m、Ⅲ)
 だるまフェイス下部。右上クラックに沿ってスラブ登り。ボルト3本打ってあるビレイ点まで。
6P(渡辺、25m、Ⅴ‐)
 だるまフェイス上部。正面に見えるシンクラックはハーケンベタ打ちされている。トポ上ではそこをA1で登ることになっているが、正面から右に10mいったところにハンドサイズのクラックが走っているので、ソコを登る。本当にちょうどいいサイズで、またいい感じでガバなのでジャミングでもレイバックでもどっちでも気持ちよくフリーで登れる。しかし、そこから右に変にクライムダウンするところがちょっと怖い。CSを潜ってだるまフェイス頂上の木まで。
7P(コンテ、60m、Ⅱ)
 だるまフェイス頂上から右のリッジ?の上を歩く。ごく簡単だがちょっと高度感がある。ところどころ手を使う。上部フェイスっぽいところの木まで。
8P(鮎島、20m、Ⅲ)
 一段上がるところが、雪がついて怖い・・・。でも、そこだけ。ハングを右からまわりこんだところまで。
9P(コンテ、120m、Ⅲ)
 もうロープは必要なさそうだったので、ロープをしまったが、頂上直下になって手はガバだが、高度感があって結構怖いところがある。ここはロープを出した方がよかったかも・・。最後、ズリズリと上がって頂上フィニッシュ!!

 下山は一般道から。鮎島のみ軽アイゼンをもってきていたがこれが大正解。雪がついており、ほとんどのところが氷化しているのだ。まぁもっていないナベもSカリさんも何とかなってはいたけれど、だいぶ楽でした。めでたしめでたし。
 メインの洞穴のぼりのあと、だるまフェイスでフリクションを利かせるスラブ・露出のあるクラックを登り、高度感のあるところを通って、百名山頂上フィニッシュ!!いいでしょ。簡単で、それぞれ安定したテラスをもってるし、アプローチも遠くないし、なにより類を見ないような多彩な内容。いや、期待を裏切らずいいルートでしたね。それにも増して雪の存在が余計「アドヴェン」という気にさせる。うん。B級です!Sカリさん曰く「特はつかない」とのことですが・・。まぁ確かに歩きのところも多いし、純粋なクライミングという感じじゃないしね。でも、Sカリさんも楽しかったといってくれたし、面白いルートであることは保障します。
 次は天鳥岩・・。いやーいいね。Sカリさんはすでに登られてるとのことだが、行くぞ!・・・雪がない季節に・・。

2009.4.6 鮎島 筆

【記録】
4月4日(土)晴のち曇
 駐車地0530、取付き0730、頂上1120、駐車地1245

【装備】
 ダブルロープ50m×2、カム(#1.0~#4.0)1S、スリング多数、クライミングシューズ各自
※エイリアン・ハーケンはつかえるところはなかった。
※だるまフェイスの真ん中ラインを登るのならアブミは必要。
※積雪があるのでアプローチに軽アイゼンがとても有効。(この時期のみ)

【写真】
洞穴内をズリズリ上がる
洞穴内をズリズリ上がる2
上からのぞくとこんな感じ
抜け出たー
目出帽でクライム。奥に富士山が見える
だるまフェイススラブを登る
だるまフェイスクラックを登る。奥は天鳥岩
だるまフェイスクラックを登る
山頂へ飛び出す
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