■南ア/尾白川鞍掛沢高岩左ルンゼ[溯行]

2009.7.4−.5
鮎島仁助朗、大部良輔
 う〜ん、こんなに外した山行というのは実に久しぶりだなぁぁぁ。ナベ・治田さん、来なくて正解ですよ。
 オーブの報告どおり、「どこがルンゼじゃいっっ」という感じ。ルンゼって両岸が狭まっているところという概念があったんですけどね。ルンゼは巻くとか巻かないとかそういうレベルじゃないところだというのは思い込みなんでしょうか・・・。そう、私の感覚では、ここはまさに「沢」でした。「高岩左沢」と書くのがなんとな〜く正解のような気がする。さらに登山大系に書いてある3段100mのフェース上の滝??う〜ん。3段60mの滝はあったんだけれど、ロープ4ピッチ?・・・ないです。1段2段は正直ノーロープでまったくOKだし、3段目はトライしかけたけれど、ツルツルでW級じゃないでしょ。ということで巻いちゃいました。この巻けちゃうところが沢っぽいでしょ。本当にそうなのです。確かにロープを出してもよかったなぁぐらいの感じで悪かったですけど・・・。
 そこを越えれば、左岸は大スラブ。おぉぉすげぇという感じだが、右岸は・・・。まぁフツーの沢です。いや、こんなはずはない・・・と思ったら、日向八丁尾根から東に派生する尾根へ。つまりはゴール・・。そういえば、序盤(3つ目の滝ぐらいだっけ)でショルダーはしました。そんだけです。う〜ん、溯行価値?いや、こういうが好みの方って、案外いたりするからなぁ、一概には言えませんっ。というか、わたしとすりゃ、1日目の晩に火傷(酔っ払って焚き火に手を突っ込みました)を負ったので、こんなもんでよかったんですけどね。
 そうそう、核心という意味ではこの日向八丁尾根から東に派生する尾根。登山大系の記述にある「垂直の岩稜」。当初は{意味わからん}と思ってましたが、そこはなんと記述どおり。悪ぃぃぃぜ。あぁ怖かったなぁ。オーブにリードさせちまったけれど・・(約25m)。
 日向八丁尾根は案外踏まれていて、赤テープとかが結構あったので、途中まではスンナリ。しか〜し、大岩山への登り・・・これが全然わからないんだな。途中までは赤テープがあったり、Fixロープがあったりするんだけれど、そのFixロープが途切れたところから・・・。どうすんのよっ。結局、悪い木登りをして越えたが、かなりロープ欲しいです。大岩山から下る分には懸垂する必要があるでしょう。大岩山に登っちゃえば後は登山道。案外近かったなぁ。
 というわけで、高岩左ルンゼはなんかなーという感じでしたが、唯一の収穫は「溯行価値がない」と書かれていた鞍掛沢がそれなりに溯行価値があったこと。大系には滝がないと書かれてますけど、ツルツルでかなり真剣なフリクション勝負のナメ滝が、そこそこあります。なお、このフリクション勝負は2勝2敗の5分(負けは全部ドボン、全身ずぶぬれ)。落ちてもいいところで、無意味な勝負をかけられるというのは実に楽しいですな。
 とにかく、この鞍掛沢を含めて尾白川。久しぶりです。こんなにいい沢に来たのは。明るい!こんなにも明るのか。魚もはしる、走る。10分ちょっと程度しか本流を歩いていませんが、それでも、重箱のスミのさらにスミを突っつきまくっていたワタシには、こういう王道の沢は実にまぶしいのです。尾白川って積雪期に行ったことあるから、無雪期は別にイイやって思ってましたけど、完全に無知でしたね。やっぱ、無雪期には無雪期の素晴らしさがあるっす。絶対に夏の尾白川も行こうっと。黄蓮谷右俣溯行の本谷下降は3日あればできるかなぁ。うん、いいね。今度やろう。「登山における至福の悦びは『登った』という満足感ではない。むしろ『登りたい山を見つけた』ワクワク感にこそある!」(by俺)とね。というわけで、今回、まったく満足感なんてないけれど、登山における至福の悦び(?)はバッチ、ゲッチュっ。はい、そういうことで。
 オーブ殿、おつかれちゃん。ちゃん、ちゃん。

2009.7.6 鮎島 筆

【記録】
7月4日(土)曇ときどき晴
 尾白川林道ゲート0930、鞍掛沢出合1100、金山沢出合1200、左ルンゼ出合幕営地1215
7月5日(日)曇ときどき晴
 幕営地0500、終了点のコル0700、日向八丁尾根0830、大岩山1020、林道ゲート1300
【使用装備】
 ダブルロープ50m×1、幕営具
※カム・ハーケンは使用せず。

【写真】
左/鞍掛沢下部の渓相 右/高岩左ルンゼ中部(確かに右岸は大スラブなんだけど)


左/高岩左ルンゼ上部 右/高岩左ルンゼ最上部

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