富士/裾野市/佐野川景ヶ島渓谷


期間:2009年7月11日
隊員:鮎島、佐藤、大部、渡辺
山域:静岡県裾野市/佐野川「景ヶ島渓谷」 大体の場所はこちら
形態:沢登り(遡行&下降)
系統:ゴルジュ突破


<記録>
鮎島仁助朗 佐藤益弘 渡辺剛士 大部良輔
 
昨年の10月、鮎&オーブで黒部別山谷に行った折、アプローチの扇沢で、「俺は沢屋だ」の成瀬さんパーティーと遭遇。その時この景ヶ島渓谷をすすめられた。もちろんその時点ではそんな場所知りもしなかったが、充血海綿体にすすめられたら行かない訳はない。
しかし地図を見るとすごい場所にある。ものすごい町なかだ。上流にも建物はたくさんある。記録を見ても「ゴミとタマネギが水面をびっしり覆っている」やら「うーん、臭い」やら汚さ満点である。そんな怪しい渓谷に4人のモノ好きが集まった。
 
7/11、06:30多摩センター駅前で、ナベ&オーブを鮎号がピックアップ。トーマスさんとは現地集合。鮎さんが車中で「俺来週の赤石沢でやってでみたいことがあるんだよ」というので何か聞いてみる。鮎さんは沢で誰がリードするかを決める時にこのダチョウ倶楽部の<どうぞ、どうぞ>をやりたいらしい。

来週の赤石沢に参加予定の伝説の男の伝説の友人(会外)に振ったら、上島竜平の様にやってくれるかどうかを試したいらしい。そんな訳で予行演習として今日はトーマスさんにやってみようということに。
裾野ICでおり、景ヶ島渓谷へと向かう。「景ヶ島」交差点の右に曲がり、依京寺近くの駐車場へ。駐車場から道路を挟んだ向かい側がすぐゴルジュで景勝地となっている。オーブが上から覗き込んで偵察してみる。ゴルジュ自体もすごいのだが、距離が凄い近い。「近いとか遠いとかじゃなくて、会話できますよ」と報告。
意外と蒸し暑いので、トーマスさんが来てから準備を開始。ウェットを着るとアツい。ウェット・ライジャケ・ヘルメット・ハーネス・ガチャ・ドカヤッケなどを身につけた怪しい4人の男は、意外と車の通りの多い道を「景ヶ島」交差点まで引き返し、景ヶ島橋を渡り、「屏風岩」と看板のある、左岸の遊歩道を下り沢に下りる。駐車地から5分もかからない。沢におりると、大きな釜があり、右岸は屏風岩と呼ばれる、柱状節理のある側壁がぶったっている。そこより下流は平凡な河原だ。そしてやはり水は少し汚そうだ。いや明らかに汚い。沢の水は飲めない。ちなみに駐車場の近くにトイレがあったので水はそこで汲める。大きな釜の先は5m滝がかかっている。泳いで右岸からとりつけばいけそうである。一発目ということで一応ロープを出す。
ここで、車中での鮎さん発案の<どうぞ、どうぞ>にトーマスさんがのってくれるか試すことに。

鮎「トーマスさんリードしますか?」
ト「えっ、いや〜」
オ「じゃあ俺やりますよ」
ナ「オーブがやるんだったら俺がやるよ」
鮎「ナベがやるんだったら俺がやるよ」
ト「……」
鮎「じゃぁ、もう一回やるか」
鮎「トーマスさんリードしますか?」
ト「えっ、いや〜」
オ「じゃあ俺やりますよ」
ナ「オーブがやるんだったら俺がやるよ」
鮎「ナベがやるんだったら俺がやるよ」
ト「……」
鮎さんの願望は来週以降に持ち越されることに。
 
気を取り直して、ナベさんリード。右から泳いで取り付こうとするもナベさんの秘密兵器シュノーケルが邪魔らしい。泳ぎだしてすぐに外す。隣にいたオーブが預かることに。右から這い上がりトラバースし、水流をまたいだ所で後続を引っ張る。そのままその滝を登る。その先の1m滝は鮎さんが気合いを入れてとりつくが、釜が浅く足がつくので実は簡単。その次の3m滝が核心。水流左をネイリングできそうなので、鮎さんが泳いで突撃するも、流れに跳ね返される。何度か挑戦したが無理らしい。ナベさんも挑戦したが、歯が立たない。そこで、左壁に縦リスが2本連なっているので、右のリスをネイリングでエイドすることに。

まず鮎さんリード。ハーケンは浅打ち気味だが、岩は固く、しっかり利いているようだ。が、オーブのアブミでエイドしたのだが、リストループがついてなかったので苦労させてしまいすみません。4本ハーケンを打ち、4本目にかけたアブミに立ち込みそこからフリーで行こうとしたが、悪いスローパーしかなかったらしく、フォール。4本目のロストアローでちゃんと止まった。ここでナベさんにリード交代。ここでナベさんが水が汚いため水中の手元が見えず、ギアラックからナベさんのアブミを水中に落としてしまった。とりあえずもう3本ハーケンを打ち足して、上に抜ける。後続はユマーリング。ビレイ中ずっと腰まで浸かっていたので寒いのだが、ナベさんが上から「オーブ君、シュノーケルして水中覗いてくれない??」。「えっ!!この汚い中に顔つけるんですか?」とは言わずに覗くと、アブミのプレートが見えた。足がつかない深さの底に落ちていた。ザック・ライジャケを外し潜って回収。たまたまシュノーケルを俺がもっていてラッキーだった。個人的にはこの潜水が核心だった。この滝だけで1時間以上時間を食った。

この滝を越えるとちょうど景ヶ島橋の真下。あとは延々と泳ぎ。上流は明るく開け、お寺の脇を通過したり、民家が良く見える。迷路のようになってる個所もあり面白い。簡単に巻けるところも積極的に泳ぐ。ザックが重い。上を見なければ凄い雰囲気だ。途中、左岸の上に一般人がいて話しかけてきた。確かに、こんなところで泳いでるやつらがいたら気になるだろう。1っ箇所、ちょっとした段差が越せないところがあり、釜で悪戦苦闘する、鮎&トーマスを2人続けてピョンピョンとオーブが踏みつけてショルダーで越える。その先も延々と泳ぎ。平泳ぎをしまくり大分疲れてきた。うんざりし始めたあたりで、前方に橋が見える。その橋の先はまた平凡な沢に戻った。ここまで3時間。それにしてもゴミが多かった。空き缶やペットボトルはまだいいが、ナス・トマト・桃なども落ちていた。


まだ時間も早いので休憩の後、同ルート下降することに。また来たトロを引き返す。水流があまりないので、下りでもそんなに楽じゃない。下りは平泳ぎはみんな疲れたので背泳ぎを多用。少し泳ぐと下流から声がする。下っていくと、海パン一丁の子供が5人ほどで水遊びをしていた。子供の1人に「熊かと思ってビックリした」と言われた。驚かせてすまないとは思うがあそこに熊はいないだろう。うち等はウェットを着こんでいるのに子供は海パン。子供ってすごいですね。
行きに、ショルダーをした箇所で鮎さんが「俺も人を踏んでみたい」というので、オーブも初土台。いや土台の人って辛いですね。核心だった3m滝はジャンプしてダイブする。結構怖い。飛び込んだ時に鼻から水が入ってしまう。最後の大釜に掛る滝はすべりおちる。躊躇なく滑ったが、ここも結構怖かった。あとは、遊歩道を歩いて車道に戻るだけ。心なしか体が臭い。



 
水は汚く、臭く、すぐ脇に民家・道路があるが、遡行自体は楽しく渓相は最高である。残置も一切なく、アプローチも近く、ゴルジュの中も携帯が圏内であった(au)。ロープは50mを2本持って行ったが、20m1本でも十分だった。核心の滝以外にロープはいらない。あくまでもライジャケ着用ならだが。ハーケンはナイフブレード&ロストアローetcを計8枚ほど使った。大きなカムの出番は全くなし。エイリアンも核心のリスで使わなかった。
最初に発見し遡行した成瀬さんたちは本当にすごいと思う。
(オーブ記)



<写真>

出撃前。
入渓前。信号の近くから入渓って…

景ヶ島渓谷屏風岩

景ヶ島渓谷F1

車道から降りるとすぐに感動的な光景が。いい気分で遡行開始。
ヌメリと巻き返しを考慮し、一応ザイルを出した。
 

景ヶ島渓谷ゴルジュ

景ヶ島渓谷F2

滝上も猛烈なゴルジュ。
取り付くシマもないF2。

どこから登るか協議するが、それも水中で落ち着かない。ロープは流れるし、ギアの受け渡しは煩雑だし…(ナベはこの後アブミ紛失)
結局、水中から左壁をネイリング。1本目よく打ったよ・・・


ネイリングする鮎

ユマーリングするトーマスさん

ネイリングする鮎。この後フリーで突っ込んでフォール。ロストアローがもう1本あれば…オーブのアブミはリストループが無くて使いにくかった。
交代したナベがさらに3本ピトンを打って突破。ユマーリングするトーマスさん。ナベは交代時にアブミ紛失。

とったどー!

ナベが紛失したアブミを、水中眼鏡で捜索し潜って回収したオーブ。「とったどー!」が似合います。
ビレイ点にて。ピトンはバチ効きだがカムは意外と決まらない。

景ヶ島渓谷F2上部

景ヶ島渓谷遡行

F2上もすごい渓相。
泳ぎで突破。この後2時間ほど泳ぎっぱなし。

景ヶ島渓谷遡行

景ヶ島渓谷遡行

ちなみに水はちょっと臭い。絶対に飲めない。
ライフジャケット必須。

景ヶ島渓谷遡行

新技・水平二段ショルダー

迷路状の沢を泳ぐ。
新技、水平二段ショルダー。先輩二人を踏んづけて進むオーブ。

さらにショルダー

ゴボウする鮎

さらに踏まれる鮎。
ゴボウで上がろうとするが、猛烈な水圧と、飲んだらヤバイというプレッシャーのダブルパンチに難儀。

景ヶ島渓谷遡行

景ヶ島渓谷遡行

本当に、うんざりするほど泳ぐ。

簡単に巻けるところも泳ぐ。この先の橋の下で終了。まだ昼だったので同ルート下降で遊ぶ。

景ヶ島渓谷下降

景ヶ島渓谷下降

遊び1
遊び2

景ヶ島渓谷F2 ジャンプ!

景ヶ島渓谷F1下降

F2の釜に飛び込む鮎。5mくらいあるよ。ライジャケ必須。
F1も滑り台で下降。ちょっとやばい雰囲気で迷っていた先輩三人の横を、オーブは躊躇無く滑り落ちていった。

 山登魂HP