【期間】2009年8月22-23日
【形態】沢登り
【メンツ】高橋、佐野、渡辺
【行動概要】
初日:昼に谷川温泉を出て、オジカ・ヒツゴー二股まで
二日目:オジカ沢を登り、オジカ沢の頭を経由して中ゴー尾根を下降。テント回収して谷川温泉へ。約13時間。
【記録】
※なにしろ滝が多すぎて、ちょっと記憶があいまいです。記録は読み物とお考えください。記録が欲しい方はこちらへ。
オジカを計画されている方には、下のほうにあるテクニカルメモが参考となるでしょう。
高橋リーダーの意向で、通常なら「頑張って前夜発日帰り」のオジカ沢を、「二股にBCを張ってじっくり攻める」ということになった。
高橋Lはオジカをプレ御神楽(会越広谷川水系の方ね)と位置づけており、結構気合が入っている。
一方の私は、3日前までオジカ沢とヒツゴー沢を混同しており、「クラシック」の中でもハードな部類に属すると知って気合を入れなおした。
近年では、アプローチとなる谷川本谷登山道のヒルの影響か、あまり話を聞かないが、登る前から「名渓」の1本と分かっているので、飛び道具的な面白さは期待できないが、絶対に外れない1本ではあるわけで、それはそれでありがたい話である。
前回の(土合の近くの)大倉沢遡行を「あれは谷川の沢ではない」と脳内検閲により記憶を改ざんした私は、オジカを谷川1本目の沢として取り組むことにした。
8月22日
東所沢→14:00ごろ谷川温泉→16:00ごろヒツゴー沢・オジカ沢二股
まずはアプローチが核心だ。
8月上旬に、裏妙義丁須の頭でヒルに集られた我々は、ヒル対策に余念が無い。
高橋Lがヒルよけスプレーを泡が立つほど塗りたくり、佐野さんも当然塩持参。
ナベは朝バタバタ準備したせいで塩を忘れたが、幸い水上のコンビニに450g140円の塩が売っていたのでそれを丸ごと持って来た。
「二股周辺も出るらしい」
そんな噂を聞いていたので、塩を大量に持っていき、テント(タープなど問題外)の周りには盛り塩バリケードを張ろうというハラなのだ。
ところが、ここ2〜3日のピーカンのせいか、森の中の登山道はバチ乾き。当然河原にはヒルはおらず、気をつけるのは森の中で支流が入り込んでじめじめしている部分のみ。当然我々はそういうところはさっさと通過。我々は塩を塗りたくっているので、さしものやつらも手が出せなかったようだ。
奴らさえ出なければまことに気持ちよい登山道である。釣りもできそうだ。
約二時間で二股着。中ゴー尾根取り付きのちょい下あたりにテントを張り、焚火。
幕岩Cフェースがよく見えるが登る気は起きないなあ…。
谷川本谷の夏 |
ヒルさえ出なければ素晴らしい登山道です。 |
幕岩Cフェース |
焚火 |
8月23日
5:20
発 7:00 広河原らしきところ 9:35 80m大滝下 13:30 オジカ沢の頭
16:00ごろ 二股BC 18:00ごろ
谷川温泉
体力温存のために二股BCを設置したというのに、前夜の宴会が盛り上がりすぎて寝不足(ナベは途中で潰れたのでそうでもなかったが)。毎度のことだが、出発時間から逆算して8時間睡眠できるように調整しないとアカン。
テントを張りっぱなしにしたまま出発。
水温は妙に温く、「こりゃあ残雪ねえな」と思わせてくれるし、天気は高曇りで今日一日はもちそう、とまさに絶好のコンディション。
遡行開始して速攻でF1。右壁から。佐野さんにお助け紐的にザイルを出したが全く危なげなく登ってくるので今考えると不要か?
F2も右のチムニー状から。ジャミングが決まって楽しい。ここもお助け紐的に出す。
以降、滝ばっかでどれがどれだかよく分からん。一箇所右岸から巻いた(悪い)ほかは基本的に直登or小巻き。
まあとにかく、岩は硬く、基本的に順層でガバが多いので問題なし。
今回は全員が秀山荘オリジナルの忍者を履いているが、これがまたフリクションバチ効きで、フエルトでは絶対にへつれないようなところをスイスイへつったり登ったり、といったとができる。
というか、例えばフエルトだったとしたら、へつれないところは当然巻くわけだが、両岸は常にV字状で急峻、草付はスラブの上にうっすらとニラみたいな雑草が生えているという有様でかなり、というかとても悪い(上記の巻きで体験済み)。別に俺は秀山荘や米ファイブテン社のマワシモノではないが、この沢には絶対にアクアステルスソールで来ることをオススメする。
もちろん、スノーブロックがあったり増水していたりしたら我々も巻きを強いられるのだろうが、ここ数日の好天で水量は少なく、雪は広河原(全然広くないフツーの河原)に少し残っていただけであった。
よって、極めて快適。滝の登攀を楽しむ余裕があった。
広河原を過ぎ、30m滝。
<30m滝 1P目> ナベ V+
右壁のスラブを攻める。ネットの写真では濡れているものもあるが、今回はバチ乾燥。
逆層のスラブでランナーが取れずちょっと緊張したが、先週の中又白のように脆くはないし、雰囲気的に「今はランナウトしていてもそのうちカムやピトンが決まるだろう」という安心感がある。ド腐れピトンでランナーを取った後さらに伸ばして、確か潅木(残置ボルトだっけ?)でビレイ。
そしてすぐに2段60m大滝。
<2段60m 1P目> グレード失念 高橋
2段60mチムニー大滝の側壁を、天空に向かって伸ばす。写真ではかなりかっこいい。
よく覚えてないが、覚えてないということは簡単なのだろう。
<2段60m 2P目> V+ 渡辺
チムニー内を攻める。予想通り、エイリアンは決まるわ、シャワーはせいぜい腰だわで、まあ楽勝。水量が多かったら話にならないラインだが、いや今回は恵まれている。上部のCSを左から巻いたら支点が取れず、CS上でザイルをまわしてCS右で潅木からビレイ。
その後も飽きさせない、(忍者なら)登れる滝が続く。
やがて80m大滝。
大系には80mナメなどと書いているがふざけんなって感じ。
とはいえやっぱり忍者の威力で、キジやらなんやらで遅れていた俺や佐野さんを置いて、高橋さんは半分くらい快適な左壁をフリーソロしていた。
中間部で合流し、草付きでワンポイント垂壁が出たためザイルを出した。
<80m大滝1P目> 佐野 V-(80m大滝中間部)
どうみてもランニングが取れない(が簡単そうな)スラブを、本日まだ見せ場の無い佐野さんにリードしてもらう。まああっさりと登る。
<80m大滝2P目> ナベ V-(大滝上部)
垂壁部を簡単なデッドポイントで越え、しばらく草付きスラブを登る。俺も、リードを任せた高橋さんも「ハズレピッチ」と思っていたが、どうしてどうして、草付を抜けるとすばらしいスラブが20mほど続いて大満足。
しかし、草付きと思っていたのでカムをもらっておくのを忘れ、ビレイ点作成に手間取ってしまった。(カムならすぐとれるクラックと、小さめのナッツがいかにも決まりそうなリスがあった。)
これがフィナーレならいいのだがオジカはまだまだ続く。
大滝こそないものの登れない小さな滝が出てきて、巻いたら今度は降りれなくなって飛び降りたりと、気が抜けない。このあたりは水を恐れず突っ込んだほうが楽。じっさい、渡辺が腹まで浸かって突破した釜を、高橋さんと佐野さんはビビって右から巻いたらなかなか降りられず、結局ヤブコギで余計疲れていたことがあった(つーか、基本的に草付きは悪いしゴルジュ状なので、登れるところはシャワーだろうが泳ぎだろうが突っ込んだほうが結果的には楽)。
三股手前のちょっと脆い滝で1P出した。
<1P目> W 高橋
滝の右壁の、階段状に見えるところを攻めたが、いままでとうって変わって脆そうで怖い。しかも登ってみると全然階段状ではない。いちばん難しかったように思うが高橋さんはしれっとしていた。
でやっと三俣。左股は単なるトイって感じで全然沢っぽくないし、中股は枯れかけている。右股が水量豊富だが記録によればあっという間に藪になるらしい。左股と中股の中間のリッジから中股に入る。ここで水を汲んだのだが、稜線直下まで枯れず、悔しい思いをすることになる。
「これぞ夏山!」といった感じの沢状を詰め、ちょっと間違えて10分ほど簡単なヤブコギをしてオジカ沢の頭の避難小屋下に出た。
避難小屋はまさに避難小屋で、楕円形の巨大なドラム缶といった趣。安心だが快適ではないだろう。
オジカ沢の頭で記念撮影した後、中ゴー尾根経由で下山。
登り返しが合計で10mもないありがたい尾根だが、途中オジカ沢が見える他は全く快適ではない上、オジカ・ヒツゴーの二股近くでは完全に茨の藪と化す部分があって最低。登る人がいないのもうなずける(登るなら、出だしの茨用に棒切れもってきて振り回して駆り払いしないとヤバイ)
テント場でしばし休憩し、高橋隊長のタバコのマナーにナベが説教。年長者への敬意が足りなかったせいか、帰りにヒルにやられたのはナベ一人であった(1匹殺したが、知らぬ間に1匹に取り付かれふくらはぎをやられた)。
帰りは湯テルメにつかったのち、水上某所にて飯を食おうとしたが混んでいてパス(これ以上混んだらイヤだから名前は伏せます)、その後他の定食屋も入ってみるがこのあたりの店は商売っ気がなく、入っても案内が無かったりしてやる気をなくさせる。そんなこんなで某所も含めて2件転進したのち、コンビニの近くの焼肉「てんてこ舞い」で3人とも麺を食った。ここは商売っ気があってしっかりしている。
ラーメンは可も無く不可も無くって感じ。冷麺を食った高橋隊長、佐野さんからは細かい話を聞いていないがこちらも同様のようだ。相当混んでたので肉はいいみたいなんだけど我々の懐では無理。
俺の中では、日帰りの沢では確実にAランク入りのいい沢でした。
まあ俺の日帰りAランクって言ったら同一系統(?)ではジロト左くらいしかなくて、そういう意味では聞いたことも無いような沢でアタリ、ってのはうれしさ2割増ししてるんだなあと思う一方で、やっぱクラシックは外れないなあと思った次第でして(ジロトは100%鮎島君コーディネイトですが)。
そんなことを言いつつも、ヒツゴーも行きたいなあとか思ってたりして(笑)
軽量化して、途中で一泊して翌日いわお新道下山とかもアリだと思う。
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