■上越/谷川岳 西黒尾根(敗退)[雪山]

2010/3/6 金井(記)


 

当初、週末の天気が良ければ、会の仲間と谷川岳東尾根か南アルプス鋸岳を計画していたが、あいにくの悪天予報で中止となってしまった。しかし、先月の阿弥陀北西稜をやったときに、雪山の基本中の基本であるアイゼン歩行がヨレヨレで、情けない思いをしたので、雪山に行かねばと。実は、他にやることもなかったのです。

 

そこで、金曜日の昼、天気図を眺めて、土曜日の午前中であれば、西黒尾根のピストンぐらいはできると判断し決行した。(このとき、雪の状態などまったく考えていませんでした。)

 

3時に自宅を出発して4時30分に土合駅に到着する。私は、谷川岳に入るときは、かならず土合駅からと決めている。何となく、土合駅の構内が登山者を迎えてくれるような落ち着きと、さあ行くぞという気持ちにさせてくれるのだ。

まだ、外は暗いが、駅構内は明るく、中では5人くらいが寝袋で横になっており、他5人くらいは、登山の準備をしていた。私は、即足回りの身支度を終え、定刻の5時にヘッデンで出発する。なんで、他の連中は行かないのだろうか?

外は小雨がぱらついているが、意外と寒くなかった。 登山センターまでの車道歩きが意外ときつい。まだ、体が眠っているのだろうか。登山センターのポストに登山届けを出したが、その隙間から、会の仲間二人の登山届が見えた。彼等は一・二ノ沢中間稜へアタックする。予定では、いまごろ一ノ倉出合いにいるだろう。正直、私は、この小雨でちょっと弱気になっていたが、俄然やる気がでてきた。しかし、この後、とんでもなく、きつい思いをすることになる。

 

登山センターから、目印の鉄塔をめざして直登を開始したが、昨日の異常と思われる温暖のせいか、雪がグズグズで、足がズボズボです。ツボ足で頑張っては見たものの、どうにも前に進まず、取り付いて1時間くらいたったか、ついに我慢できず、ワカンを履いた。やっとの思いで鉄塔に到着するも、すでにあたりは明るくなって、7時を過ぎていた。いままで、こんなに時間がかかったことはない。

この先、かなり不安になったが、それからの緩斜面は、ワカンの威力で順調に進むことができた。 標高1100mぐらい(7時45分頃)で、携帯メールが鳴ったので、小休止を兼ねてメールを見たら、なんと「中間稜の高橋パーティーが敗退」との報告が。そして、「出合いでは雪崩の音が・・・」、とメールを読んでいるときに、マチガ沢の方からゴーっとすごい音が聞こえ、ビビッた。こっちも苦戦中だが、12時まで粘ってみるとメールで返し、「やるっきゃない」と気合を入れる。

 

ラクダノコブ手前の急斜面にて、アイゼンを付けた。コブの岩が顔を出しており、雪が中途半端に埋まっていて、何度も踏み抜きそうになった。ラクダノコルを少し過ぎた頃(10時20分頃)、また、高橋さんから安否の確認か?「頂上に届きそう?」とメールが。ちょうどその頃、標高1550mくらいだろうか、夏道ならば山頂まであと1時間ちょっとだろうか、しかし、この腐った雪では、何時間掛かるか、皆目見当がつかない。そんなこと思っているときに、高橋さんからメールが届いたので、敗退宣言をしてしまった。

 

雨は霧状となり、雲も切れてきたが、手袋が濡れて体も冷えてきた。あたりを眺めると、雲の切れ間からうっすら見えた谷川岳の岩壁や、東尾根の下部が見えたので、写真を撮って、一目散に下った。下山は、歩行訓練のため、アイゼンを着けたままと決める。

途中、登っているときに聞こえた雪崩の跡も確認できた。でも、依然として、山頂は雲で見えない。

 

下山途中、標高1000mぐらいのところで、単独の女性一人と男性二人のパーティーとすれ違った。これから、この天候で山頂へ行くのだろうか?

その後も腐った雪でヘロヘロになりながら、12時過ぎ、やっと登山センターに到着した。土合駅に戻る頃、急に風が強く吹き始め、これから山は荒れる予感がした。

 

帰路、恒例のおこのみや食堂で、あったかい蕎麦が食べたかったが、休みで、みなかみ駅ちかくで谷川ラーメン(写真、撮っとけば良かった。)をいただき、満足! 

私にとっては、充実した雪山登山(修行?)であった。


行程:土合駅5:00~登山センター5:30~鉄塔7:00~ラクダノコルあたり10:20(下山)~登山センター12:30~土合駅12:50


 


名物の雪庇が見事です。


一瞬、雲が切れ、谷川岳の岩壁が見えました。


歩いてきた西黒尾根です。


東尾根の下部が見えます。(愛用の黒ピッケル)


雪崩の巣です。(マチガ沢)


下山途中に白毛門が見えました。


下山中に振り返っても、山頂は雲の中です。

 


 

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