■西伊豆/波勝崎海金剛スーパーレイン[登攀]
2010.3.13
1月6日生まれの小坂・井草
週末の天気に気をもみながらも週末の海金剛を小坂さんと決定、2月の上旬よりひと月温めてきたプランを実行に移す時がきた。
金曜日は午後八時に新宿で小坂さんと待ち合わせ、小坂車で一気に車中泊予定の松崎町の道の駅まで運転。2時ちょっとすぎに到着、すぐさまテントを張り、井草はテント泊、小坂さんは車中泊。他にも5台ほど車中泊の車があり、全く肩身の狭い思いをする事は無く夜も静かで良く寝れた。ただ、かなり静かなので酒盛りには向かないかも・・・
翌朝6時に起床、軽く朝飯をすませ、雲見オートキャンプ場を目指す。キャンプ場には前夜電話を入れ、駐車する旨を連絡、指定された場所に駐車し、駐車場より少し下りた所から始まる登山道にはいる。
アプローチは水平道の為快適だが最後の懸垂は足場の岩がかなり脆く、登り返しに若干の危惧を感じる。
そして、取り付きにつくと、3人組が・・・小坂さんが声をかけると同人マーモットとのこと。のんびり壁を占有できると思っていたのでちょっと残念。そして、準備が終わり取り付こうかとしているとさらにもうパーティーが・・・やはり小坂さんが声をかけると神奈川労山のカモの会の2人組と分かる。うーん、やはり人気ルート、込んでいますね。
さて、いよいよ登攀開始、時間はいつのまに8時半になっていた。小坂さんの提案で登りは全部60mのシングルロープで、下りの懸垂用をその他の食い物や飲み物と一緒に20Lのザックにいれ、井草が担ぐ事になる。ちなみにギアはナッツ1セットとエーリアンからカムまでを約2セット持っていく事し、リードはローテンションし、奇数ピッチは小坂さんが偶数は井草になる。
P1
小坂さんがリード。快適にプロテクションを決め、若干ランナウトさせつつ着実に高度を上げていく。ホールドは豊富で岩のコンディションも良好。これから始まる一日に期待が高まる。
P2
小坂さんが嫌がっていたトラバースピッチは井草がリード。トラバースの前に7mぐらい直上しガイドブック通りナッツを決めるが効きはいまいち、しかしトラバースそのものは快適でそのまま大テラスへ。
P3
小坂さんがリード 小坂さんが一瞬ルートが分からなくなり、トポを見ながら指示する。その直後、上がって来た後続パーティーと話していると上から「ラク!』との声がかかり、反射的に壁に身を寄せ身を伏せると同時に人の頭ほどの落石が視界の端を落ちていく、その後も拳大の石が続いて落ちていく。これぞアルパイン!?!? いやガイドブックに書いてあったアドベンチャークライミングという言葉を思い出す。小坂さんは落下線上におらず無傷の様子。落石の後でちょっとドキドキしながらのフォローだったが、登り自体は快適。
P4
右上するクラックを追うピッチは井草リード。先行パーティーが5mぐらい上げってから登り始める。数メーター上がると『アー』と言う声とともに先行者が突然右に振られながらフォール。その時点で、二つのカムで固め取りをしておいたが、フォールを見てやはりプロテクションをもう一つ加えることに。弱いな・・・俺と思うが、ビビリ性を自負しているので開き直る。そして迎えた核心部分、見回すと以外とスタンスがあり問題なく抜ける。このピッチは基本的にホールドがもろく、先行パーティーの落とした50cmX35cmぐらいの真新しい崩落部分などを見てしまうと、技術力と言うより精神力が求められる気がする。後でマーモットの人に聞いたらルート上のステップに足を普通に載せたらいきなり崩落したとの事。恐るべし海金剛。
P5
先人クラック 先行パーティーのセカンドが核心部で苦労しているのが下から見える。リードの小坂さん頑張って下さいと思いながら見る。しばらくして小坂さんが登り始めるがやはり核心部は難しそう。フォローしてみて思った事は「フォローでラッキー!」。というのも、僕にはフィンガークラックが若干狭く、部分部分にしかはいらない。へたくそな自分に取ってクラックはサイズが全てです。
P6
P5を登り終え、上のテラスに着くとマーモットの人たちが上に向かって叫びをあげている。ロープがクラックにハマって引っぱり上げれない模様。時間がもったいないが、明日は我が身、忍耐強く待つ。30分ほど経ってようやくセカンドの二人が上がっていく事が出来た。そしての井草がリード始めるがムズイ! 下部は斜めのハンドクラックで意外と手強く、中部は動くフレークとオフウィズクラックとハングの乱交パーティー。見ただけで昇天しそうになるが、少しづつ進む。核心と思われる部分でフレークの間にカムを決め、そのフレークの上を掴み上がろうとすると、フレークが動く・・・ってことはこのカム効いてねーだろー! そして、 その下のプロテクションは3mぐらい下・・・一瞬戸惑ってしまうが、赤沼さんのありがたい迷言「ヤバい所は落ちなければ大丈夫」を思い出し、気合いを入れ直し、エイ、ヤアーで抜けきる。 なんとか抜けきったがこのピッチ「つら過ぎ」とおもった。見るからにヤバかったのでそれまで背負っていたザックを小坂さんに託してきたが、小坂さんはこの重量が仇となり、出だしでフォール、ザックを担ぎ上げるのを諦め、テラスにデポ。そのあとは苦しみながらもフォローする。
P7
本来は再び小坂さんのリードだが、P6でお疲れとの事で再び井草リード。ガイドブックには出だしが核心とあるが問題ない。しかし問題はその上のランナウト。最後の10mぐらいのセクションにさびさびピトンと0.5のカムが一つ、ガイドブックには「ランナウトするがホールドは豊富」とあるが、豊富の定義を聞いてみたい。分かる範囲では最小限のホールドしか見つからない。 まっ、とにかくランナウトのあとは頂上!細長い広場があり、景色は最高!そのあと小坂さんが上がってきたが、すぐ後に後続パーティーが続き、懸垂はルートとかぶるのでマーモットの人たちとしばし雑談。時間は2時少し前、待ち時間が結構あったので実質4時間ちょっとぐらいではなかったかと思う。
下降はマーモットの方々と合同でする事に、これによりメンバーの下降と次ピッチの工作を同時に行えるので、時間節約にあると思われた。途中小坂さんは手に、井草はヘルメットに小さな落石を受ける。二人とも壁から50cmも離れていない場所での事だったので、避けようが無かった気がするが、いかんせん落石は多く、この壁の脆さを感じた。ラペルはRCCやリングボルトのしてんだがあまりいい状態ではないが、立木も豊富にあるので落石さえ気にしないのであればいいのかも知れない。
取り付きには3時半、危惧していた登り返しはタイブロックがあれば問題なく、思ったより岩はしっかりしていたがクライマーの下には絶対に入らない方がいいと思う。駐車場には5時には戻り、帰る途中、刺身定食とノンアルコールビールで無事のフリー登攀を祝う。
小坂さんお疲れ様でした。
記)井草
【記録】
2010年3月14日土曜日
取り付き8:30、海金剛登頂14:00、取り付き15:30
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