■北アルプス/島々-徳本峠-常念岳-西岳 [雪山縦走]

2010/04/29-05/05 細谷 宣朗


今後の諸外国登山を目標にして、在職中にはできなかったロングルート、長期縦走を実践していこうと考え、1週間、島島谷~槍・穂高を計画しました。


4/29

日本アルプス命名者のウエストンが入域した島島谷・徳本峠迄を1日で入域することにした。

それに、沢渡駐車場のような駐車料もとられない。途中の岩魚留小屋までは積雪はない。

小屋は廃屋になって久しい。歴史ある道も所要時間が掛かり過ぎ、登山者も少ない。

古い木橋を17.6キロのザックを背負って通過するのには滑りそう。

残雪が現れ、若干踏み跡もあったが、直接、峠への登り口が見つけられず、本谷と枝沢の出合い近くで幕営。

 

島島谷07:05~岩魚留小屋11:39~出合い15:30


4/30

前夜、地図で目星をつけておいた支尾根を登って2525mの広い頂上に出て、徳本峠に下りようと計画し、頂上迄はうまくいった。

しかし、頂上からの下り口が見つからない。

1回目は、方角・距離を「正確」に確かめて進んだ結果が先程の支尾根に入り、無能ぶりを確認した。

地図読みの「癖」を修正して北よりを選んだ2回目は、途中で赤ペンキを確認したが、先が消えている。

元に戻る頃、雪が降ってきたので幕営してもいいかなを思って、先程見た右矢印の近くに赤丸があり、直進と誤解していた地点を右折することが分かった。

早く気付かない愚かさよ。さらに1枚、赤布を確認したが、続きがない。

下へ下り、丸い尾根を再度登り返していくと、反対側に赤布を確認し、かなり下迄確認した後、荷物をとって下りた。

この繰り返しで所要時間が掛かり過ぎてしまった。鞍部に下りてもラッセルで進まず、徳本峠に出る迄8時間掛かった。

小屋上で幕営。夜は零度近く迄下がり、体は震え、寝返りを打つと背中が冷えるので仰向けのままの姿勢だった。

7年前逝った親友の夢を見た。明日の夜も会おうと思っていたら、翌夜も夢見た。毎夜見よう。

長谷川恒夫「北壁に舞う」で、死んだ岳友が夢に出てきた、と書いてあったが、似たような状況なのだろう。

 

出合い発05:45~2525m稜線09:11~徳本峠13:45~テント地14:40


5/1

今日こそ蝶が岳迄行って、人に会えるぞと人恋しくなっていた。前日の新雪のため、脛迄のラッセルをした。

丸い稜線は、赤ペンキがあり、気は楽だ。槍見展望台で槍・穂高が初めて望見できた。

ここ以後は、赤ペンキはなく、横枝がはった所があり、丸い尾根の最高部を歩いた。

ギャップに来ると、ザックを置いて確かめた上で、下った。

結局、蝶が岳には遥か届かず、大崎山手前で幕営。

 

テント地発05:55~槍見展望台09:54~大崎山手前テント地14:32


5/2

大崎山手前で、丸い尾根から一変して150m位、右がスッパリ切れた急雪稜が現れ、緊張し、足場を確実にして通過した。

蝶が岳にはかなりの登山者と数張りのテントがあった。1時間位下って幕営。

二晩よく寝られなかったので、寝袋や羽毛服を干し、昼寝をした。

4時の気象通報では天気図をとることにしていたし、前と後ろの英会話番組も楽しみだ。ラジオは慰みになる。

ベトナム戦争の頃、解放軍兵士がラジオを慰みにしていた心境だ。

治田さんに教えてもらったベーコンは酒にあったが、生米は上手く炊けなかった。

 

大崎山手前テント地05:30~大崎山07:57~蝶が岳11:27~蝶が岳テント地13:15


5/3

今日からは、人の踏み跡が使えるので高速道路を歩く心境だ。常念岳は2回目。

頂上には次々に人が登ってくる。常念乗越しに下り、泉康子「いまだ下山せず」の一の沢をつくづく眺めた。

雪崩遭難した3人は、正月明けの仕事を気にして、食料・燃料がありながら悪天候の停滞せず、雪崩の巣の一の沢を強行下山した。

在職中の登山は時間に追われるが、命をとるか仕事をとるかと問われたら、命をとるだろう。

一の沢方向に黙祷した。大天井岳まで、素手・カッターシャツで歩いた。

大天井岳の西トラバースルートには、途中まで先行者の踏み跡があったが引き返している。

私も進もうとしたが、気温が上がり足場が崩れやすく、引き返した。

今日はここ迄と考え、テントを張り終えたとき、避難小屋に気付いた。

内部は綺麗で、震えることはないだろうと思い付き、テントを撤収して小屋に移った。

床に張った氷の下に水が溜まりガス節約ができた。

大天荘は営業しておらず、数多いた登山者は常念岳に去り、ここは私一人になった。

 

テント発05:35~常念岳07:39~常念乗越09:05~大天井岳12:53~小屋14:00


5/4

前夜、地図で確かめておいた北トラバースルートをとることにした。先行者の踏み跡はすぐ不明になった。

前半は、アップ・ダウンの多い能無しトラバース。後半、私が読んだルート上で鎖を発見。後半はルートファインディングで合格。

大天井ヒュッテからは、踏み跡を辿る。トラバースの踏み跡は、気温上昇で雪のクレバスが崩れていき、はい松を掴みピッケルを打ち込んで登り返した。

西岳近くの小ピークはヒマラヤ峰のようにすっくと美しいが、両側は500m位滑落していきそうだ。

水俣乗越は、数年前の8月、北鎌尾根の時通過したが、雪に覆われていて様相が違う。

ここから槍まで、今の体力では6時間掛かりそう。槍の穂も大キレットもアイゼンの練習成果は出したかったし、ここを真っ先に狙うべきだった。

次回の課題にして下山することにした。踏み跡があり、ザックのベルトを外し、駆け下りた。

 

小屋発04:40~大天井ヒュッテ06:32~西岳小屋10:30~水俣乗越12:11~横尾14:47


5/5

 

横尾04:40~上高地07:19


 

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