奥秩父/瑞牆山・カンマンボロン中央洞穴


<対象ルート>瑞牆山・カンマンボロン中央洞穴ルート
<参加隊員>高橋・渡辺(記)
<形態>クライミング(マルチピッチ)
<日程>2010年5月2日(夜行日帰り)
<行動概要>
5月1日 14:00西国分寺→18:00ごろ瑞牆近くの某所
5月2日 7:00頃 みずがき山自然公園(旧植樹祭広場)手前の駐車場 → 8:00頃 カンマンボロン取り付き → 8:30登攀開始 → 14:00頃 終了点(カンマンボロンの頭) → 15:30取り付きに戻る → 16:00頃 みずがき山自然公園


自然公園から少し下の、ウッドチップが敷き詰められた駐車スペースから、格子状で非常にわかりずらい植林の中の登山道を登ると、「この先は崩壊してるから行っちゃダメよ」的な警告文があり、そこを過ぎると天鳥川南股沿いの道となる。パノラマコースというらしい。
やがてカンマンボロンがドガンと見えてくるのでそっちに向かって歩いていればよい。わかりやすいアプローチだ。
取り付きでキジを打ったりしてから取り付く。

※グレートは体感。4P目はYあるでしょう!

<1P目> ナベ W- 30m
下から見ると寝ている草付き凹角だが、近づくとCSはことごとくハングしていたりなんだりして悪い。
3つ目のCSを越えて左壁の残置ボルト×3でビレイ。

<2P目> 高橋 W+ 30m
出だし、ルンゼを登ってから左のリッジに移り、薄いCSを渡ってまた右側(左岸)に戻って、右壁から一段上がってチムニーに入り、最後は外に出る。残置ボルト×3でビレイ。CSを渡るまでプロテクションは取れず(しかも簡単ではない)、CS渡りはエグく、右壁はリーチイで、チムニー内は暗い。普通のルートなら十分核心となるピッチ。

<3P目>ナベ W- 7m
スラブを登る。細かいが右壁のコーナーからプロテクションが取れる。巨大CS上でビレイ。支点は左壁の残置ボルト×3。

<4P目>高橋 Y 40m
光り輝く脱出口へ向けてトラバース気味に登る。
出だしは直上気味に登り、残置から右トラ開始なのだが、むずい。足元はスッパリキレ落ちていてそれだけでも怖いのに、ムーブもむずかしいし薄被りでパンプする。右を見ると大ルーフのボルトラダーが見える。薄被りフェースをトラバースしたら、遠いフレークを掴んでレイバック体勢に入るがこれまた怖く、レイバックに入ってからもフレークが斜めなので一筋縄ではいかない。大ルーフとの隙間に入ってしまえばステミングがかませるが、これまた怖くて俺には無理、と思ったがどうしてもステミングしないと進めないのでした。
トラバースなのでセカンドも怖いよ。ナベは終始A0。あやうくアブミ出すところだったぜ。

<5P目>ナベ W 15m
凹角をドンづきまで。プロテクションは残置のハーケンのみ。NPが取れないので怖い。

<6P目>ナベ V+A1 30m
久々のエイドで時間がかかった。ボルトは間隔が近くしっかりしている。凹角に入ってからのねじれハーケンはA0で飛ばして上のボルトにクリップした。抜け口でフリーに切り替えるところが核心だが、日ごろの行いのおかげでキャメ緑が決まる穴を掘り起こすことに成功したので全く怖くなかった。

<7P目>高橋 V 30m
落ち葉を蹴散らしながら、ガリーっぽいところを登り、巨石の間のトンネルを登る。

尾根上に抜けると、対岸に十一面岩が見える。あれが末端壁かあ…
「どうやって登るんだろうね」などとクライマーとは思えない発言を二人して繰り返す。
コールすると高田・天田Pから返事が返ってきた。

下降は、大面岩のコルへ懸垂1発、コルからさらに懸垂2発。この下降ルンゼもトラックくらいの巨大CS空懸となりドキドキする。
少し下るとパノラマコースに出たので、すぐに取り付きに戻ることができた。

(記:渡辺)


感想:4P目はすごかったっす。高橋さん自身も「いやあ、会心のクライミングだね、5.10aはあるし」と仰っておられました。ワイが「しかし10aってことはRCCに直すとYですな」と言うと「いやあ、Yって言っちゃうのはちょっとなあ…」
この日は晴天続きでほとんど染み出しもなく、汚れ対策に土方ヤッケを着ていったのですが肩透かしでした。

使用ギア:エイリアン1S、キャメロット#0.5〜4、ハーケン(使ったが効かなかった)、アブミ


カンマンボロン全景

カンマンボロン近景

カンマンボロン中央洞穴全景。 ルーフがでか過ぎて遠近感とか色々狂う。

カンマンボロン中央洞穴1P目

中央洞穴2P目

1P目も、実はあなどれない。 1P目終了点より。脱出口が見えますね。

カンマンボロン中央洞穴2P目、エグいフレーク渡り

中央洞穴2P目、上部の凹角

2P目、顔を引きつらせる隊長。このCSエグイよ。厚さ10cm。 CSを渡った後は、一旦右壁を登った後凹角内に入り、また外に出る。

中央洞穴3P目

今日もハイライトが旨いぜ。 3P目はちょっと怖いスラブ。
中央洞穴4P目恐怖のトラバース 中央洞穴4P目その2
4P目、脱出口に向けて、恐怖のトラバース。 右下の空間は80mスッパリキレ落ちています。
これがステミングだ!

脱出口と大ルーフ

見よ!隊長の渾身ステミングを! 4P目フォロー中に撮影。本当にここは長野県なのか?

フォローでも怖いステミング

6P目をフォローする高橋さん
4P目フォローのナベ。この高度感は死ぬほど怖い。 6P目・人工ピッチ、ラストのフリーに移るところが渋い。

最終ピッチのトンネル

最終ピッチは色々登れるが、最後まで洞穴にこだわり岩の間を縫った。 カンマンボロンで出していた声は十一面に丸聞こえだったそうだ。ハズカシー


山登魂HPへ