■越後/飯士山負掛スラブ [登攀]
2010.6.13
鮎島仁助朗
場所は、当初予定していたのは妙義だったが、「ヒル、ヒル、ヒ〜ルヒる♪」というナベ報告を思い出し、心の中で準備していた単独で向かう場合の代替案へ計画変更!
それが、飯士山頂上スラブ、通称、負掛(ふっかけ)スラブだ!あの、越後湯沢に入ったときに一番目立つ山。その頂上付近に広がるスラブで、実は前々から注目していたスラブだった。それが、先月号の岳人に紹介されてしまった。なんだか残念だが、それにしても、最近の岳人。特に裏の「ミニガイド」は結構侮れないところが掲載されていたりするなぁ。この前も、裸山もガイドされてしまったし、、、、山本雅夫氏と金子恒夫氏が執筆陣に加わってから、なんかここのレベル上がった気がする…。
家を出てから1時間後に、妻はようやく起きたらしく、「寝坊した、ごめん!」とメールしてきたが、もちろん、いまさら戻るつもりもない。
関越道を一路、北上。石打ICで降りて、コンビ二でアプローチの林道の入り口だけ立ち読みでチェックして向かう。舗装道路の林道をつめて、飯士山登山口のところに車を停め、準備。
登山道を10分ほど登ると尾根コースと負掛岩コースの分岐。ガイドどおり、右の「尾根コース」に入る。ガイドでは「尾根コースを行きヤブ沢をつめあがるとスラブになる」ような記述になっているので、分岐から5分ほど尾根コースをたどったところに出てくる最初のヤブ沢をつめあがる。
沢を、すでにヘロヘロになって(!)ごまかしながら行くと、なんか、登山道っぽいところに出てしまった…。あれっおかしいなぁ…。尾根コースにぶつかったのかな?目的とするスラブは尾根コースの左側にあるはずなので、左へヤブをこいでトラバースすれば、どうやらスラブの基部にたどり着いたようだった。
クライミングシューズに履き替えてスラブを上り始める。ワンポイントV級程度のスラブで総じて簡単だが、いやーいいね。フリクションで上がっていく、この快感よ。余裕のある高度感にプチスリル感。いやー、スラブサイコー。思わず叫んでしまう。
久々に左手薬指の指輪をはずした開放感もあり、妻のことは完全に忘れ、無我夢中で登っていく。…と、特徴ある負掛岩が右手に見えてきた…。ん?右側に見えるよね??おかしいな、ガイドでは絶対に左側に見えるはずなんだが…。…まぁいいや、気にしない、気にしない。
このスラブを最後まで登っていくと、ヤブこぎなしで再び登山道にたどり着いた。よっしゃ、やったね。
あれっ、でも登山道の右側も、いや、右側の方が圧倒的なスラブ帯だったのね…。もしかして、こっちがガイドされていたスラブ??っあ、取り付きを間違えたようだ。
結構、バテバテなので、ここからわざわざ降りるつもりはないが、「ふっかけ右スラブ」(仮称)はまだまだ上に続いている。登山道から右側にトラバースしてスラブを登る。
さっきの「ふっかけ左スラブ」(仮称)と違って、こっちのほうが規模は大きいが傾斜はゆるく、またブッシュも多く、ワンポイントですらV級というところはない感じな簡単なスラブだ。白毛門沢のつめのスラブという感じか?!ま、それでも快適でフラットソールで快調にでも、バテバテなのでヒィヒィ上がっていく。最後はヤブを5分ほどこぐとまた登山道に再度ついた。山頂まではすぐそこだ。
山頂には、伊勢崎の二人が着ており、同じスラブを登ったとのこと。「いやー、アプローチわからないですよね〜。」「あ、やっぱり岳人のガイドを見てきたんだ?」「東京からわざわざ来てガッカリしたでしょ?」なんて会話して、記念写真をとってあげる。
「ハイ取りますよ〜、1、2、3・・・ん(?)…、9,10,11,12、はい…」
どうしてだか不明だが、おじさんの超旧型のデジカメにはなぜかセルフタイマーがかかっていた。いつも、シャッターを押して10秒間そのままの体勢で保持しているんだろうな。世の中、もっと便利なはずなのに、ハイテク機械の扱いでもあえて試練をいくとは、さすがスラバーです。
帰りは負掛岩コースをたどって帰り、どこで間違えたのか?を確認しようとしたが、ま、結論として、よくわかりませんでしたね。40分で駐車地へ。かなり疲れた。
とにかく、この飯士山は、傾斜がゆるく、ブッシュも多いのであまりすっきりしない。しかし、越後湯沢に入ったとき、一番目立つ山であり、その山頂付近に広がるスラブはとても目立つ。当然、眺めはすばらしく、アプローチも遠くない。リハビリにはちょうどいいのではないでしょうか?
あー、山登りって、スラブ登りって、なかなか楽しかったなぁ。次は、ひそかに「西上州のマッターホルン」碧岩、「房総のマッターホルン」伊予ヶ岳をマスターしている身としては、やはり本命の「上越のマッターホルン」大源太山かな!もちろん、「南会津の」蒲生岳、「阿武隈の」鎌倉山でもいいんだけれど…。頑張ろうっと。
2010.6.14 鮎島 筆
【記録】
6月13日(日)晴
駐車地0815、山頂1000、駐車地1040
【使用装備】
フラットソール
※ふっかけ左スラブにしろ右スラブにしろ、フラットソールがあればロープはいらないと思うが、初心者を連れて行くなら補助ロープぐらいあってもいいかも。
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