2010/08/06(金) – 08/08(日) 田中(L)、小坂
8/6(金)
朝6時、小坂車のお迎えで私の自宅近くのコンビニから芦安駐車場を目指す。9時のバスに乗る予定で無事8時半に到着。
ちょうど来たタクシーに乗り、9時半に広河原到着。さぁ、バットレスだ!と気合をいれたいが、なんせ暑い。
今日は、御池小屋までなので時間はある。汗をだらだら流しながら途中の沢で身体を冷やしつつ歩いていると、擦れ違った男性に、「ピッケルは必要ないよ」。私は登山道のことを言っているのかと思い、「バリですから・・・」と言った後に振り返ると、彼のリュックにはヘルメットが付いていた。
慌てて、「どこを登ったのですか?」。「4尾根」の返事に、すかさず気になっていたbガリー取り付きの雪渓とcガリートラバースの雪渓の事を聞く。
写真をみせてくれ、取り付きの雪渓は左側を巻いて取り付き、cガリーには雪がなかったとのこと。
その言葉に勇気百倍。「よっしゃ~」「やるぜぃ!」
関係ないけど、ハルさんやオーブ君も今頃一人で沢を頑張っているんだ!なんて思いながら・・・。
というのも今年は北も南アルプスも残雪が多いらしく、まず広河原にその旨の警告看板があった。
2週間前のHPの記録写真には、しっかり雪渓があり、2回目の高橋隊長とともに来た7月はじめの雪渓が多くて4尾根テラスにたどり着くのに藪こぎして苦労したことが、今回この時期同じなんではないか?と心配したのである。1ヶ月時期を遅らせようかとの話も出ていた。
なので、4尾根核心のテラスまでの不安がなくなり、あとは最善を尽くして突破するのみだ!
ようやく二股に到着。荷物をデポして、明日の取り付きの偵察。
手ぶらで登山道を歩いていると、やや批判的に聞かれる。「どこまで行くの?」
決して無謀な登山者ではありません。「ちょっと散歩です。」「岩の偵察です。」怪しい者ではありましぇん。
ヒドンガリーを過ぎ、バットレス沢の岩を見てびっくり。
あの2週間前の写真では、岩は半分ぐらい雪に埋まっていたのに、全く雪がないのだ!
登山道から顕著な踏み跡のbガリーへの取り付きにはいる。
そうだ、そうだ。私は4尾根3回目なのだが、1回目は経験者のあとをただ必死に着いていっただけであまり覚えていないが、部分的に記憶があり確かにここを通ったようだ。
迷い込んだのか?登山者がぼーと立っていたりしたが、途中の岩に「トレッキング戻れ」のような内容の文字。そして奥の岩には「バットレス」の文字。
bガリーが見えてきて、雪渓もある。今日の偵察はここまでとし、御池小屋へと戻る。
8/7(土)
3時起床予定が少しグズグズして、3時15分起床。3時40分頃出発。
テント場にヘルメットをもつ男女がいたが、まだ寝ているようだ。
前後誰もいない。bガリーの雪渓まで来ると、左隣のルート「Dガリー奥壁?」を3人組が登っている。
真っ青な空にバットレスがどか~んと立ち、かっこいいなぁ。
雪渓を何歩か蹴りこんで上がり、岩の出ているクレバスから雪渓を降り、左側のガレ場を登り、雪渓の屋根と壁の隙間からbガリーの途中に取り付く事にした。
アプローチ1P:田中リード
ロープを出し、田中がリードする。支点が欲しいなぁ、と思っていたら、左の岩に残置ハーケンがあった。
右の雪渓にピッケルを付きつつ登るが、ロープ一杯になってしまった。
確保支点を雪渓にピッケルで取るが、弱くて、ダメだ。う~ん。う~ん。どうしよう。
万が一引っ張られたら、雪渓の隙間に入り込んで止めようと思って周りを見渡すと、あと1m上の左の岩に残置ハーケンがあった。ロープを結びなおしてどうにかギリギリハーケンに辿り着きホッとする。
アプローチ2P(bガリー1P):小坂リード
クライミングシューズに履き替え、ピッケルをしまい、小坂さんリードで雪渓の屋根をくぐって岩を数歩トラバースしてbガリー途中部分に取り付き、そのまま登る。
アプローチ3P(bガリー2P):田中リード
終了点でロープをしまい、靴に履き替え、上に詰めあがりトラバースして、cガリーに出た。
雪渓の下をトラバースしたあとは、さぁ、どのルートを行こうか?少し考える。
一番分かりやすいcガリーを上にあがり4尾根の文字から1P登攀のルートにする。
1回目の時は9月だったので全く雪が無く、ガレ場を上に詰めたが、今回は雪がある。
アプローチ4P:小坂リード
雪の上はちょっと危なげなので、岩の上を小坂さんリードでロープを出す。
ちょうど、ビレイ確保に残置ハーケンがあった。しかしアブがものすごい数でぶ~ん、ぶ~んとまとわりつきもうウザイったらない。
アプローチ5P:小坂リード
「4尾根」の文字から5.10のアプローチシューズの小坂さんがそのままリードする。
私がリードだったら、クライミングシューズに履き替えてだな。ここもビレイ中、アブにまとわりつかれる。
支点のシュリンゲの1本の上に岩が乗っていて、ゴロゴロ岩が崩壊しているようである。2年前はもっと安定した足場だった記憶がある。
ようやく4尾根のテラスに到着。ふぅー、ここまで長かった。もうここに到着できただけでうれしい。
4尾根1P:小坂リード
今回は岩登りが以前よりもヘタになった私よりも、フリー大好きな小坂さんに難しい奇数ピッチをリードしてもらうことにして、続けてではあるがリードしてもらった。
4尾根2P:田中リード
前回ルートで大騒ぎしたことを思い出しながら、登った。だって登ればどうみてもこのルートしかないだろう?
4尾根3-4P:小坂リード
ロープが一杯になってもまだ支点に辿り着いていないようで、おかしいなぁとおもいつつ、ビレイ点から2mぐらい上にあがるとようやく解除となった。なんと2P分だったようだ。
4尾根5P:田中リード
当初の計算が狂い、私がリードになってしまったが仕方がない。今回も三角フェース核心の部分は真上に行かず、行けず、ためらいなく右に逃げる。
4尾根6P:小坂リード
懸垂後、クラックからフェース
4尾根7P:田中リード
枯れ木が上に見える。リッジを登るがなかなかスリル満点である。フリクションが利くのがありがたい。
終了点でビレイしながら、右下に懸垂下降点が見えた。これが中央稜へ降りるルートかぁ。
左隣のつるつるしてそうなルート「Dガリー奥壁?」を登る3人組がよく見える。今朝見た彼らだ!
壁も立っているし難しそうだなぁ・・・。ハーケンを打つ音が聞こえる。
4尾根8P:小坂リード
リードしている小坂さんの「なんだこりゃ?」の声が頻繁に聞こえる。きっと岩が挟まっているところで言っているんだろうなぁと思い、聞こえないと思いつつ「岩を越えていくんだよぉ~」。フォローすると、その岩が2年前と比べかなり頼りなく挟まっているように見えた。前は2回とも岩の上を渡ったんだが、今回はその少し上のところを一歩で安全に渡った。
終了点にさっきの彼らがいて、茨城の人たちだった。御池小屋を2時半に朝出発したとのこと。
結局4尾根は前にも後にも人の姿がなく、私達の独占状態。落ち着いて楽しめました。
お昼休憩を取りつつ、ここで高橋さんたちはツェルトビバークかぁ・・・。
御池小屋でさえ、朝は長袖に雨具で歩き出しだのだから、夜は相当寒いだろうなぁ、なんてひとごとながら思った。応援メッセージの紙を持ってくればよかったと今更ながら思った。
まぁ、高橋隊長ならきっとやるだろう。
ヘロヘロと山頂方向へ向かい、八本歯ルートで下山する。
バットレスの壁が見えてきて、高橋隊は今頃登っているのか?
ハシゴを降りている途中から、コール声が聞こえ、何人かの姿が見える。
「ヤマトー」「タケちゃ~ん」と叫ぶと、うれしいことに高橋隊長から「みぽり~ん」「こさかさぁ~ん」返事コール。
「わーい。わーい!」もううれしくって大騒ぎでした。
頑張っているなぁ。でも6ピッチ、懸垂地点から下にも何組も姿があり、どれが高橋隊かわからない。
15時。4尾根テラスにも姿があり、取り付きcガリーの壁からハーケンを打ちながら登っている姿もある。
8/8(日)
下山も長くて結構疲れました。
記)田中