2010/08/07(土) – 08/08(日) L高橋・佐野・武井
我々でも、全装担いで四尾根ならどうにか登れるということが判り、非常に有意義な山行でした。
日本一(?)のメジャールートですが、富士をバックに3,000mの山頂に抜けるラインは、人気だけのことはあるのです。そりゃ自分たちだけだったら最高だけど、あえてここにくる土日リーマンは無い物ねだりはしません。前後のPが感じ良かったらそれ以上の望みはなく、それさえもなかったらそれはそれでいいのだ。
8/7(土)
国分寺の我が家を3時20分発、武、佐野とピックアップして芦安着6時半。乗合タクシーにせかされて到着後1分で乗車。予定していた装備の取捨選択の時間は霧散しピッケルは高橋だけ持った。
広河原から急いだわけではないが、一本も取らずに二股へ到着。C沢で本日行動用の水1Lと、今晩・明朝・明日の行動用に2Lを各自背負った。バットレス沢まで少し戻って11時頃だったか。Bガリーを目指して登り始めてすぐ足攣りクンがやってきて、今日は敢え無く取りつきでビバークになりそうだと相談するが、その後下部岩壁の渋滞のおかげで回復し、18時過ぎに予定の四尾根終了点までたどり着くことができた。
余談だが、俺の足攣りは一日の登高が1,000mでまずやってくるようだ。息が上がってなくてもやってくるのが、始末に負えない。これがなければもっと登れるのに、なんて思っちゃうが、これは、もっと腕っぷしが強ければとか、寒さに強い体質だったらとかという、誰でもあることの一つなのだろう。
話は戻り、我々の前に5Pくらい列をなしていたが、後ろには無し!1P姿を見せたが登って来ることはなかった。あえて取り付きでビバーク組だったのかも知れないし、時間的に無理と判断し止めたのかもしれない。四尾根のポイントは、横断道からの1P目、上部取りつき(ビバークなら横断道の取りつきより快適)からのピッチ(下から3P目)、上部三角フェースでⅣ+~Vのワンポイントがある(枯れ木テラスに至るピッチはリッジを行けば難しいようだが左のガリーを辿ったので楽勝)が、夫々高橋・佐野・武井がリード。リードは三人で交代交代した。渋滞しているので結び替えの時間はノープロブレムだし、登攀を終えて下山中の田中・小坂組とコールを交わすといううれしいサプライズもあった。
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雪渓はBガリー取りつきにあったが、簡単にまわりこめる。気になったのが、Cガリー横断部の上に残っていた2-3ピッチ分の雪渓だ。これは中央稜を敗退した場合、たどらなければならないのだ。結果的に、ピッケルはツェルトの支柱になっただけだったが、なければ敗退が怖くて中央稜の取りつきに懸垂下降することはできなかったはずだ。
高橋は、マットはザック、ペラペラのICIシュラカバ、イスカ130シュラフ、Tシャツ半袖&長袖、薄いセーター、カッパで寝たが、結構風が吹き3,000mの高度は甘くなく、真夏でも寒くて良く寝ることができなかった。武井、佐野も同様に、寒くて良く寝れなかったらしい。
8/8(日)
4時起床。寝不足&体のこわばりで、こりゃ中央稜無理かなと起き上ったが、外に出るとそれほど風は冷たくなく(とはいえ中央稜登攀中はセーターを脱がなかった)、鳳凰三山の向こうに日の出を拝んでいたら、やる気になってきた。
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飯を食べたり、なんやかやで3人外でふらふらしていたら、5時過ぎ、稜線から男女ペアが軽装で降りてきた!え? 昨日は登山道から肩の小屋に泊まり、今朝早く中央稜をやるためにおりて来たということ。懸垂下降点を聞かれたので、「ここから1P下に降りたところが枯れ木のテラスですよ」と答えたら、「このあたりにもあるはずなんですが」と言う。もしかしたらトイレしながら中央稜を偵察したあそこかなと思ったら、案の定そうだった。知らなかったので目に入らなかったが、残置シュリンゲがあった。彼らに出会えてラッキーだった。 中央稜の傾斜からして、全装担いでは自信がなくなり、泊まり場に要らないものをデポして登攀後稜線から回収に降りて来ることにする。それはそれで敗退したらどうするんだ、という不安が付きまとう。降りたら中央稜を必ず登らなくては戻れない懸垂の開始は、心理的圧迫感がとても強いものだった。 空懸を交え、3Pで取りつきに降り立つ。この下降路は、中央稜2P目のルンゼを辿るので登攀中のパーティがいる場合はネバーだ。四尾根終了点でビバークした我々のようなPが朝一に取りつく場合しか、使ってはならないだろう。取りつきは、少し動いただけで石じゃなく岩がゴロゴロと崩れてCガリーを落ちていく恐ろしい崩壊地で、ますます敗退の余地はなくなった。というのにぽつりと雨が。ひえー。先行パーテイに続いて7時頃、登攀を始める。 |
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・1P 25m(高橋)Ⅴ:核心。出だしがもろく立っていて残置がすくなくエイリアン青使用。トラバースも結構えぐい。
・2P 15m(高橋)Ⅲ:ルンゼを10mくらい。
・3P 20m(高橋)Ⅱ~Ⅳ+:第二ハング下の草付きから、スラブをトラバース。
終了点手前で先行Pの終わるのを待っていたら雨がまた落ちてきて、暗澹たる気分になる。
先行Pのトップは、第二ハングをAOで越えたあと直上して行きづまってしまった。
ビレーヤーは右だと言っていたし俺も右だと思ったけど、行ってしまったものはどうにかするしかない。
・4P 40m(高橋)Ⅴ-:さて我々の番。岩は見た目と裏腹に固く、第二ハングを越えは快適と言える。残置豊富。
因みに、越えたハングの左3Mのところにもコーナーに残置があり、そこも登れそうに見えるが足がなく難しそうだった。
ビレイポイントは、そこのコーナーで行った。
第二ハングを越え、第三ハングはどこを越えるのか観察しながらまずはバンドを右に行ってみてみると、いかにも快適なリッジが延びている。
そもそも中央稜なんだから、第三ハングはパスということに。
・5P 45m(佐野)Ⅳ:快適な固いリッジ。高度感があり最高。一番おいしいピッチ
・6P 45m(佐野)Ⅲ:リッジ脇の凹角。ザイルを引いただけで落石が起こるのでセカンド・サードは息を合わせてぴったりくっつくか並行してフォロー。
とはいえ、ぐいぐい登る感覚はこのピッチにもある。
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ザイルを解いて踏み跡を歩いて、五分で北岳のズバリ頂上標識!11時過ぎ。
頂上で休んでいた四尾根からのPに稜線に出た場所を確認し、デポ地点に戻る。
デポ地点に戻ったら、先行Pはまだ4P目が終わるあたりだった。第二ハングのあたりまで懸垂して戻って登りなおしたようだ。
八本歯経由、広河原15:30の乗合タクシーで帰った。
3人夫々 ヌンチャク3本、フリービナ5、環付き2、シュリンゲ長短計5、ハーケン3。
パーティとして、エイリアン青・緑・黄、 キャメ 0.5・0.75、ピッケル一本 で、登攀具はちょうどよかったし、大樺沢出合時に初日の行動水を含めて、各自3Lの水は過不足なかった。水はもうちょっと減らせるかも。
がんばりました。
記)高橋