■西上州/じじばばの滝 [アイス]

2011/02/20 治田、鈴木

西上州 じじばばの滝
奥深くひっそりたたずむ味わい深い氷だ。
グレードを追いかけないツウの人にうってつけだ。
 当初は西上州最難関の行者返しの滝を狙っていたが、時期的に無理だろうと読んで現地入り。
 まったくその予想通りで、それではと予定通りの隠れ里に変更した。
 が、これも予定?通り見つからず、さらなる予定のじじばばの滝に向ったのだった。

 馬居沢の最上部にそれはある。車を置いてから約1時間20分ほど。半信半疑で詰めていくと、やっとその氷に出会うことができる。
 その滝は単体の氷であり、でかいマルチアイスでもなければ、テクニカルのつらら状でもない。
 あれやこれやと西上州に通いこんだ輩が、次の次の次ぎに行って見ようか、なんていう氷瀑だ。
 そんな所につき合わせてしまって鈴木氏には申し訳ないが、この男もただ単に氷をアイステクニックのみで見ていない、緩急自在に対応できる山屋だと思ったので誘ったしだいなのだ。

 西上州の一連の氷爆開拓者であり、それを世に出した現地の竹田氏と滝田氏(残念ながら既に亡い)の二人の記録の写真とおりにそれは目の前にあった。
 下部は緩い傾斜で分厚い青氷が張り、中部でさらに緩くなって上部は二本の垂直手前の氷柱もどきの氷がつながっている。
 どちらがジジでババかは分からないが、実に見た目も良き氷に写る。
 ロープスケールも35〜40mなので、ここでは先週と違い、基本のリード&懸垂の形として、それぞれ好きなラインを登りこむ。

 先行テクノ鈴木。まずは左ライン。バイルを一、二、三と数回打って決める感じの調子で安定して登っていく。
 落ち口で「あひー、氷が無い」と悲鳴を上げている。
 どうも下からでは伺えない難しい状況があるらしい。

 セカンドは多少は気楽だ。気楽と言うのは上にロープがあるわけで万一は大きな墜落は免れるという点でだ。
 しかし、この気楽を真に受けてはいけない。
 自分がしっかりとリードするという意識をもって臨まないと、この気楽さに甘え万年セカンドになってしまう罠もある。
 さて問題の落ち口はやはりヤバイかった。ベルグラ無く、まったく氷が無くなって水が流れ、浮いた岩やコケの斜面になっている。
 慎重に体重を移していかないと乗り越しのバランスが保てないところだ。

 次ぎに右側。今度はワイだ。こちらは最後のつららが思った以上に立っているので楽しめるところだ。
 ただ短いので支点を数点取ったら一気に登れる気軽さはある。
 トップロープと違い時間はかかるが、支点取りと回収。
 ビレイ点でのやり取りや懸垂下降など一つ一つを確かめながら行う。基本の事柄を再認識するのは重要だ。

 移動に時間がかかり昼過ぎから登り始めて、それぞれ2本ずつリードしたが最後の一本で懸垂のロープが木の根に引っ掛かったのか回収できず登りかえす。
 そんなんで駐車地に着いたのは19時過ぎて、今回もヘッドライトのお世話になってしまった。

【参考グレード】
左側W
右側W+